４個の中性子で「原子核」＝観測に成功―理研など国際チーム

　物質を構成する原子核は通常、陽子とほぼ同数の中性子から成っているが、理化学研究所などの国際研究チームは２８日までに、陽子がなく、中性子４個だけからなる「原子核」（テトラ中性子核）の観測に成功したと発表した。 　成果は、複数の中性子間に働く核力（原子核内で陽子や中性子を結び付ける力）や相互作用を知る上での手掛かりになるといい、大量、高密度の中性子で構成される中性子星の構造解明などにもつながるという。論文は英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。 　理研仁科加速器科学研究センターの大津秀暁チームリーダーらは、加速器で発生させたヘリウム８原子核（陽子２個、中性子６個）を水素原子中の陽子と衝突させ、ヘリウム４原子核（陽子２個、中性子２個）がたたき出される現象を観測。たたき出されたヘリウム４原子核のエネルギーなどの測定から逆算し、残された中性子４個が、原子核のような一塊のテトラ中性子核と見なせる状態になっていたと結論付けた。 　原子核理論の研究者からは、今回の実験結果からは必ずしもテトラ中性子核とは見なせないとの指摘もあるという。大津さんは「実験結果を受け、多くの研究者の間で議論と追試がなされていくと考える」とコメントしている。　（了）【時事通信社】