違法線引き「明確に」＝被告のウェブデザイナー―暗号資産「無断採掘」

　「何が犯罪で、何が犯罪ではないのか。線引きをしてほしい」。暗号資産「無断採掘」事件で不正指令電磁的記録保管罪に問われたウェブデザイナーの男性（３４）は時事通信の取材に対し、最高裁が明確に判断するよう訴えた。 　違法性が争われたプログラム「コインハイブ」を、男性が仕事で運営していたウェブサイトに設置したのは２０１７年９月。サイトは広告収入だけでは赤字で、デザインを邪魔しないコインハイブを新たな収入源として試験導入した。 　コインハイブは閲覧者のパソコンを無断使用することから、当時ネット上で問題視する声もあったが、捜査機関による摘発例はなかった。男性は「大抵のものは賛否両論があり、違法になるとは全く考えなかった」と振り返る。約１カ月半で８００円程度の利益しかなく、同年１１月に削除した。 　存在も忘れかけていた１８年２月、警察の家宅捜索を受けた。罰金の略式命令を受け入れず、裁判に移行。横浜地裁では無罪とされたが、東京高裁で逆転有罪となり上告した。 　男性は告知など閲覧者への配慮が足りなかったとしながらも、「裁判官でも意見が分かれ、このままでは安心して開発ができない。クリエイターを萎縮させないよう明確な線引きを」と語った。（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕暗号資産「無断採掘」事件の判決を前に、取材に応じるウェブデザイナーの男性＝１４日、東京都町田市