明生、経験を糧に＝また貴景勝撃破―大相撲初場所

　集中力は切らさなかった。明生が先場所に続いて貴景勝を撃破。押し込まれたものの、うまく右に回り込んで突き落とし。大関の圧力に屈せずに白星をつかみ取り、「やれることをやった」と、静かに勝利の味をかみしめた。 　昨年は、最後に悔しさを経験した。けがもあり、十両に落ちていた２０２０年の７月場所から、６場所連続で勝ち越して新小結に昇進したが、関脇２場所目の先場所で負け越した。久々の苦さを一年の納めで味わう中、収穫はあった。 　鹿児島県の奄美大島出身の明生にとって、九州場所は準ご当所。熱心なファンを前に勝ちを意識し、硬くなることもあったという。それでも、負け越しが決まった後の終盤は、肩の力も抜けて本来の相撲を取り戻した。「自然体で土俵に上がれていた」。苦境で気付けた境地が、貴景勝との一番にもつながっているのだろう。 　三役は４場所目。次の目標は「もう一つ上の番付」と言う。今年の初白星を大関戦で挙げ、「まずは自分の相撲を信じてやっていきたい」と、決意を新たにした。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕明生（奥）は貴景勝を突き落としで破る＝１０日、東京・両国国技館