悪夢振り払った高川学園＝成長示した終盤の戦い―高校サッカー

　後半３３分に同点とされた高川学園イレブンの脳裏に苦い記憶がよみがえった。前回大会の１回戦。昌平（埼玉）に終了間際に２点を奪われて追い付かれ、ＰＫ戦の末に敗退した。 　この１年間は「昌平戦を忘れるな」が、チームの合言葉だった。前回の悔しさを経験した林晴は「成長を見せるには、点を取って勝ち切ることが一番」。嫌な流れでも下を向かなかった。 　５分後、中央左でボールを受けると、ドリブルで持ち込み、相手の股の間を抜く技ありシュート。この日２点目となるゴールで勝ち越すと、直後に中山が追加点を奪って勝利を決定づけた。 　強豪の星稜に、苦しい時間帯の底力で上回った。江本監督は「１年間ずっと厳しく、心技体において求め続けた部分」と言葉に実感を込めた。 　ピッチに立てない仲間の思いも背負った。前日の開会式で選手宣誓を務めた主将の奥野は大会前、左膝に大けがをした。林晴が「自分たちでやるしかない。キャプテンのためにも勝とうと、ひとつになった」と言うように、チームの結束をぐっと高める１勝にもなった。（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、先制ゴールを決め、喜ぶ高川学園の林晴（左）＝２９日、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場