全日本仕様のフリーで好演＝天命待つ小松原夫婦―全日本フィギュア

　激戦のアイスダンスを僅差で制したのは、小松原組だった。得点が発表されると、美里は小さな声で「やった」。夫で米国出身の尊と、涙ながらに喜びを分かち合った。 　フリーで自己ベストを上回らなければ、直前に滑った村元、高橋組に逆転を許す状況だった。尊は「いい演技ができるだろうか」と不安も募ったという。そんな中でも、ＲＤで美里にミスが出たツイズルは最高難度のレベル４を獲得。リフトには、重圧を振り払うような力強さがあった。 　フリーの衣装は高貴な色とされる紫に一新した。「ＳＡＹＵＲＩ」の曲中、これまで英語だったナレーションは、今大会仕様として女優の夏木マリさんに日本語で依頼。重厚感のある語りに乗って、情感を込めて舞った。振り付けの助言を受けてきた歌舞伎役者の片岡孝太郎さんとともに、夏木さんも会場で観戦。演技と結果で恩返しができた。 　五輪代表争いでは村元と高橋にリードを許していたが、選考基準を満たした項目数では五分。「スケーターとしてするべきことはやった」と美里。あとは天命を待つ。（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕アイスダンスのフリーの演技を終え、抱き合う小松原美里（手前）、小松原尊組＝２５日、さいたまスーパーアリーナ 〔写真説明〕アイスダンスのフリーで演技する小松原美里（右）、小松原尊組＝２５日、さいたまスーパーアリーナ