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アフリカ中部の大規模緑化計画、ニジェールで成果 砂漠に生命戻る


【シミリAFP=時事】西アフリカ・ニジェールの南西部。かつては荒涼としていたシミリの台地が、今ではちょっとした動植物の楽園となっている。(写真は「巨大な緑の壁」プロジェクトで植樹されたアカシアの木。ニジェール南西部シミリで) アカシアの実をヤギがかみ砕き、地面にはリスやヤマウズラの足跡が点々と残る。木の枝にぶら下がるカマキリ。青々とした草をむさぼるバッタの群れ。 「小さな森林が奇跡的に生き返りました」。シミリ地区の首長ムサ・アダモウ氏は誇らしげだ。 この変化をもたらしたのは、アフリカ連合が推進する「巨大な緑の壁」プロジェクトだ。西はセネガルから東はジブチまで全長約8000キロ、総面積1億ヘクタールの乾燥地を植樹などで2030年までに緑化する計画で、ニジェールも含まれている。 耕作可能な土地は、内陸国ニジェールにとって極めて貴重だ。国土の4分の3が砂漠で覆われている一方で、人口の80%が自給農業に頼っているからだ。 世界銀行の予測では、ニジェールの人口は2019年の2300万人から2030年には3000万人へ、さらに2050年には7000万人に達する。つまり「緑の壁」の重要度は増すばかりだ。■ニジェールは植樹で貢献 ニジェールは主にユーカリやマメ科のバウヒニアの植樹によって「緑の壁」プロジェクトに貢献している。どちらも干ばつに強く、高さ12メートル程度まで成長する。村人は盛り土をして苗木の周りに雨水をため、日照り続きでも生育できるようにした。 「葉や実はタンパク質が豊富で、家畜の飼料に適しています」と言うのはシミリの農民、ガルバ・ムサさん。「調理したり干したりしておいて、厳しい食糧難の時には私たちも非常食として食べます」 首長のアダモウ氏によると、シミリの植樹事業が始まった2013年以来、狩猟動物やキリンまでもが柔らかいアカシアの葉を食べるために、首都ニアメー南方の生息地からはるばる移動して来る。 国連環境計画(UNEP)によると、ニジェール南部の森林は総面積の3分の1が消失し、今では国土のわずか1~2%を占めるだけだ。 「緑の壁」プロジェクトのニジェール事務局長、マイシャロウ・アブドゥ氏によると、目標は2030年までに360万ヘクタール、つまり国土の37.5%を緑化することだ。昨年までに目標全体の8~12%は達成したが、計画は「長距離レースだ」と強調した。■イスラム過激派の脅威 世界最貧国の一つのニジェールが夢のような計画を実現するためには、4550億CFAフラン(約900億円)が必要だとアブドゥ氏は言う。欧州連合(EU)や国連食糧農業機関(FAO)、世界銀行などはすでに資金提供を行っている。 「巨大な緑の壁」は砂漠化の阻止に加え、水へのアクセス、太陽光発電、さらに市場向け野菜栽培から養魚、家畜飼育、養鶏場まで、地元住民に雇用機会を提供する社会経済開発に焦点を合わせている。 地域のNGOも取り組みに参加している。NGO「環境のための若者ボランティア」のイッサ・ガルバ氏は、100ヘクタールを再森林化し、養魚場を作り、井戸を掘る計画を明かした。 しかし「緑の壁」関係諸国を苦しめているイスラム過激派の攻撃が、プロジェクトを危機にさらす可能性もある。専門家からは、過激派を恐れて、再森林化や樹木管理の活動に参加できない農民もいるとの指摘も上がっている。 「不安定な状態が、計画の遂行に大きな打撃を与えている」とガルバ氏は語る。「すべての国が、不安定な状態をなくすために闘っている」【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕(2021/12/15-12:38)
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