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EUの脱石炭、ブルガリア炭鉱労働者の不安


【スタラザゴラAFP=時事】ブルガリアの炭鉱でこれまで12年間、働いてきたニコライ・ディネフさん(34)は将来に不安を感じている。(写真はブルガリア最大の火力発電所「マリッツァ・イーストⅡ」を背にたなびく欧州旗) 13日に閉幕した国連(UN)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、欧州連合(EU)全域の石炭からの脱却について話し合われた。 「大変なことになる。(中略)閉鎖は避けられない」。炭鉱と火力発電所が集まるブルガリア中部のマリッツァ・イースト地区で、ディネフさんはAFPに語った。 2007年にEUに加盟したブルガリアは、今も域内最貧国の一つであると同時に石炭依存国でもある。政府は石炭火力発電を廃止する期限の提示を長い間避けてきた。しかし10月にようやく、EU域内の新たな成長政策「欧州グリーンディール」の下で、2038年もしくは2040年を廃止予定期限として提示する方針を発表した。 これに対し炭鉱関連の労働組合は首都ソフィアで抗議行動を展開し、約3万人が雇用されている石炭産業を救うよう政府に要求した。 マリッツァ・イースト地区だけでも1万2000人が雇用され、ブルガリアの電気需要の3分の1以上を満たしている。露天掘り鉱山と石炭火力発電所は、何十年にもわたって同地区最大の収入源だ。 当地の褐炭層は19世紀中期にフランスの地質学者が発見し、その後、ロシアの技術陣によって開発された。エネルギー省のデータによれば、まだ15億トンの石炭が眠っている。■「おそらく外国に行く」 ブルガリア政府は、炭鉱地帯を造成して工業団地を造る国営企業を立ち上げ、炭鉱労働者を再雇用する計画を提案している。しかしディネフさんの願いは、閉山の時期を自分が定年を迎える「30年先まで遅らせる」ことだ。 ディネフさんは最近まで炭鉱のチームリーダーになることを希望していた。昇進を目指し、ソフィアにある鉱山・地質大学のオンラインコースを受講し始めていたほどだ。 しかし今は別の計画を思い描いている。共産主義体制が1989年に崩壊して以降、より良い機会を求めて西欧諸国へ渡った多数のブルガリア人と同じように「おそらく外国に行くと思う」と言う。 軍の兵士として500レバ(約3万3000円)の月給を受け取っていたディネフさんは、倍の額を提示されて炭鉱へ移った。父親も31年間、炭鉱で働いていた。 現在は1日12時間、設備の修理をしている。月給は1500レバ(約10万円)。EUの貧困国ブルガリアでは平均水準だ。それでも貯蓄をして両親や妻、10歳の娘のために家を建てることができた。果物や野菜を育て、ニワトリやウサギを飼っている。だが、大きなプールを持つ夢は宙に浮いた。■「これからどうなるのか」 炭鉱の閉鎖はブルガリア全体に影響を及ぼすことが予想される。「炭鉱労働者だけではなく、彼らに頼っているすべての人々に影響する。うちの車の整備士も不安がっている」とディネフさん。 同じ地区で20年近く働いている電気技師のジフコ・デメルジェフさん(40)も「楽観できない状況です」と語る。妻も炭鉱で経理の仕事をしている。 二人は毎朝、夜が明ける前に起床し、午前5時50分のバスに乗る。夕方、3人の娘を学校から連れ帰る時は保護者の中で最後だ。 「あらゆる類いの情報やうわさが飛び交っています」とデメルジェフさん。「これからどうなるのか、はっきりした見通しが欲しい。炭鉱が閉鎖してから働き口があるのかどうかも」【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕(2021/11/16-13:21)
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