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クルマの注目技術は電動化だけじゃない!ディーゼルエンジンの尿素SCRってなんだ?


さまざまな技術により、クルマは日々進化してきました。ハイブリッドやBEV(電気自動車)といった電動化ばかりに目を奪われがちですが、ディーゼルエンジンも目覚ましい進歩を遂げています。 中でも、日本ではややダーティなディーゼルエンジンのイメージを大きく変えた技術が、「尿素SCR」。どうしても電動化ばかりが注目されている時代だからこそ、ディーゼルエンジンの環境と快適性向上に欠かせない尿素SCRについてご紹介していきます。 規制により導入した尿素SCR 尿素SCRとは「Selectiv Catalytic Reduction」の略称でディーゼル車の排気ガスをクリーンにし、大気汚染を抑制するシステムのこと。 元々は火力発電所の排気ガス処理として使用されており、自動車での実用化例はありませんでしたが、2004年に日産ディーゼル工業(現在のUDトラックス)が世界で初めて実用化に成功しました。 それでは、そんな尿素SCRを導入するきっかけとなった法律と、機能について説明していきます。 ディーゼルエンジンを対象とした排気ガス規制 ディーゼルエンジンはトルクが太く燃費が良い反面、排気ガスにNOx(窒素酸化物)やPM(粒子上物質)、HC(炭化水素)といった有害物質が多く、長年問題視されていました。そこで平成17年10月に日本国内で販売されるディーゼル自動車には、平成17年排出ガス規制(新長期規制)という規制が適用されることになります。 規制内容は従来の排気ガス規制値(新短期規制値)と比較して、乗用車ではNOxとHCを55%削減。トラック、バスではPMを85%、NOxを40%、炭化水素を80%削減することが義務付けられ、当時は世界一厳しい排気ガス規制と言われていました。 尿素SCRの仕組み 尿素SCRは排気ガス中のNOxを浄化する技術で、NH3(アンモニア)とNOxを化学反応させることにより、H2(窒素)とH2O(水)に変化させ、NOxを低減させるという原理です。 しかし、アンモニアをそのまま車両に搭載するのは危険なため、「AdBlue」という尿素SCRシステム専用の高品位尿素水を、車両の専用タンクに入れて搭載します。これを直接排気中に噴射することにより、高温な排気ガスにより尿素水が加水分解されることでアンモニアガスを得ることができ、アンモニアを使用した火力発電所等のシステムと同じ機能を得ることができるのです。 規制をクリアした国産乗用車 マツダが2012年に発売したCX-5を筆頭に、クリーンディーゼルと呼ばれるディーゼルエンジンを搭載した乗用車の普及が始まりました。世界で見ると数え切れないほどのラインナップがあるので、今回は国産車の一部を紹介します。 トヨタ ランドクルーザー 車両重量が重たい本格SUVだけに、それなりのエンジン出力も必要なため、ガソリンエンジンではどうしても燃費が悪くなってしまうことがネックだったランドクルーザー。尿素SCRによりディーゼルエンジンを搭載できるようになり、ファン待望の1台となりました。 マツダ・CX-5 クリーンディーゼルの火付け役となったCX-5。「SKYACTIVE-D」というマツダ独自のクリーンディーゼルシステムを採用しており、尿素SCRやNOx触媒といった高価なパーツは使用していません。その分車両価格を安くすることができ、低価格のクリーンディーゼル車として人気となりました。 もう一つのNOx削減システム NOxを削減する装置は、尿素SCRのほか、NOx吸蔵触媒というものもあります。これはエンジンから発生するNOxを排気中に触媒で捕捉し、排気ガスをクリーンにするシステムです。 触媒内にNOxが蓄積されたと車両が判断した場合、エンジンの燃焼行程で燃料を多く噴射。燃料を触媒まで送ることで、蓄積されたNOxを燃焼することにより浄化します。 こちらのメリットは、尿素SCRと比べると、AdBlue専用タンクや噴射システムが不要な分、大幅にコストダウンができることです。 しかし、デメリットが2つあり、1つ目はNOx浄化率が低く、尿素SCRがNOx浄化率99%に対して、NOx吸蔵触媒は80~90%とあまり高くありません。理論上は全て浄化できると言われていましたが、浄化の際に様々な条件があるため、実際にすべてというのは不可能なのです。 2つ目は低燃費車を作るのが難しいということ。NOxを浄化する際に、車両を走行させる燃料に加えNOxを浄化する為の燃料を噴射するので、その分燃費は悪くなります。 まとめ クリーンディーゼルが普及するまで、日本でのディーゼルに対するイメージは「うるさい」「汚い」「重い」というネガティブなものばかり。しかし、尿素SCRの実用化に成功したことで排気ガスがクリーンになり、ディーゼルエンジンのイメージは大きく変わりました。 このシステムを実用化したことにより、国内・国外メーカーでは多くのディーゼル車を開発し、世界中で活躍しています。世界が電動化や水素に舵を切りつつあるものの、これまでディーゼルエンジンには、ガソリンエンジン以上にその時代の最新技術が投入されてきました。 乗用車だけでなく、バスやトラック、さらには鉄道や船舶まで、ディーゼルエンジンはまさに世界の産業と人々の生活を支える縁の下の力持ち。そんなディーゼルエンジンの歴史や最新技術を改めて調べてみると、クルマに関するさらに深い知識を得ることができるのです。 ...続きを読む
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