ミルクを飲んでいる子はげっぷをさせ、母乳の子は必ずしもげっぷを出さないでいい、というのがママの定説としてよく聞かれます。しかし、母乳なのにげっぷを必ずさせた方がいい赤ちゃんがいます。それはなぜなのか原因や理由を探っていきましょう。大事な赤ちゃんが吐かずにしっかり栄養を取る配慮ができるようこの記事で確認しておいてください。
母乳よりも完全ミルクの方がゲップをしやすい
ミルクは哺乳瓶で飲むものですが、その際大量の空気も一緒に飲み込んでしまいます。
哺乳瓶は瓶の中にミルクと空気が入っていますので、ミルクを飲もうとすると空気も飲み込んでしまうことになります。その反面、母乳はおっぱいに口をつけますが、おっぱいの中には母乳が詰まっており哺乳瓶のように空気はありません。
そのため、ミルクを飲んでいる赤ちゃんは飲み込んでしまう空気が多いために、完全母乳の赤ちゃんよりもゲップをする機会が多くなってしまいます。
哺乳瓶の乳首がゲップ誘発の原因
哺乳瓶でミルクを飲む赤ちゃんは、大量の空気と共にミルクを飲み込んでいます。中には吸う力が強い赤ちゃんもいて、一気飲みしてしまい通常の哺乳瓶での摂取よりも多くの空気を吸うケースもあるでしょう。
そのように、多くの空気を飲み込んでしまうと赤ちゃんにとってよくないことが起こります。
ミルクだけでなく、空気もお腹にたまっているので苦しい状態になります。
息苦しい状態や、器官に空気がつっかえた状態は、ミルクの逆流を催し吐き戻しをしてしまいます。赤ちゃんの胃は、入り口がしまっておらず入ってきたものの容量が増えると吐き出そうとする働きがあります。
吐き戻しをしてしまうと、せっかく飲んだミルクも吸収しないことになります。
このような状態を防ぐために、ミルクを飲ませたら早めにゲップを出して吐き戻しを防止してあげることが重要です。
母乳を飲ませているのにゲップが出る子の原因
ミルクを哺乳瓶で飲む子はゲップをしやすいことがわかりましたが、空気をあまり含まない母乳の赤ちゃんでもげっぷをよくするという子がいます。その原因はなんなのでしょうか。
飲み方が下手
生まれて間もない頃の赤ちゃんは、飲み方が下手な場合が多いです。具体的に、どんな原因で下手なのかご案内します。
母乳を吸うために必要な筋肉が発達していない
赤ちゃんは、全身の筋肉がまだまだ発達していません。おっぱいを吸う顎まわりや口の筋肉も同じく発達していません。おっぱいを吸うことを経験して顔まわり(側頭筋・口輪筋・舌骨筋・咬筋)を鍛えていきます。なので、新生児はおっぱいを吸う力が未熟なのです。
赤ちゃんはおっぱいをくわえる時に、下顎をうまく使っています。もぐもぐと噛んでいるような咀嚼に似た動きをします。
これをうくうくと飲んでいるといった表現もします。この動きは、後に固形物を食べる時の練習になり、口周りの筋肉を発達させるための準備になります。母乳を飲む動きを繰り返すことで、だんだんと飲む力がつき、量も多く飲めるようになっていきます。
この動きができるくらい筋肉が発達するまでは飲み方が下手だと言えます。下手なので、母乳と一緒に空気を飲み込んでしまうというわけです。
吸い方がわかっていない
母乳がよく出ているのに、うまく吸えない子も中にはいます。舌の使い方がわからなかったり、チュッチュと軽く吸い付くだけで母乳を出せず飲めていないなどいろんな状態があります。
おっぱいを含んでいる時の、赤ちゃんの様子をよく観察してみましょう。ママの指を舐めさせてどんな動きをしているか観察することができます。
まずは手を清潔に洗い、指の腹を赤ちゃんの口の上顎に沿って奥に入れてみましょう。その時、赤ちらゃんの舌が指に巻きついて下顎を前後させ指を喉の奥に持って行こうとする動きがみられると思います。
この動きが強いと吸う力がしっかり備わっている証拠になります。あまりに弱い場合は、筋力がないか、または吸い方がわからない状態です。そんな時、いい練習方法があります。赤ちゃんの嫌がらない範囲でこれらの方法を試してみてください。
ーほっぺの刺激 耳の方から口の方向に向かって撫ぜる
ー口の周りをくるくるとマッサージ
ー清潔にした人差し指で、赤ちゃんの上顎の天井を前歯裏から喉の方に向かって撫ぜる
ー清潔にした人差し指で、赤ちゃんの舌にあて、喉の奥から前歯側に向かって撫ぜる
これを繰り返すと、赤ちゃんの舌が上手に前に出るようになり、おっぱいを吸う力とやり方が身につくそうです。
母親の乳首の形が飲みやすい形ではない
おっぱいを吸うのに、赤ちゃん側の問題だけでなくママのおっぱいの形にも問題があることがあります。
赤ちゃんの母乳の飲み方を分解してみてみましょう。
(1)吸着
口を開けて、乳輪部分までしっかりくわえ込みます。哺乳窩(ほにゅうか)といって、上顎の真ん中あたり窪みがあり、ここでくわえます。哺乳窩は赤ちゃん時期だけにある窪みです。
(2)吸啜(きゅうてつ)
下と顎を使って、おっぱいを押しつぶし母乳を絞り出す動きをします。
(3)嚥下(えんげ)
母乳を飲み込む動き。口の中から喉へ押し込む動きで、大人も食べ物を飲み込む時に行う動きです。
この3つの動きを繰り返すことで、母乳を飲んでいます。
おっぱいの作りを他の女性と比べることはなかなかないので、自分の乳首が正常なのか考える機会はないと思います。どんな乳首が母乳を飲むのに向いていないのか解説していきます。
・扁平乳頭
乳首の部分が平らで、乳輪との境がはっきりしていない。
・短乳頭
乳首が短い
・陥没乳首
乳首がはっきりしておらず、へこんだ状態。
・巨大乳頭
乳首が大きすぎる状態
・小乳頭
乳首が小さすぎる状態
・理想的なおっぱい
乳頭を引っ張ると、柔らかく伸びるのが良い状態であり、乳首は1センチ前後が良いとされています。
初めから理想の状態にある人はそう多くありません。お手入れすることにより乳頭が柔らかくなって開通しやすくなるので妊娠中からケアしましょう。
乳頭マッサージの開始は妊娠28週頃が理想です。切迫早産の危険がある場合は、乳頭マッサージで子宮収縮が促されてしまうので、生産期(36週)に入ってからマッサージを開始しましょう。マッサージは敏感な乳頭を守るためオイルやクリームを使いましょう。妊娠線予防クリームをおっぱいマッサージに使っても良いでしょう。
使う指は、親指・人差し指・中指です。乳首を指3本でつまみ、柔らかい方で3秒硬い方は10秒ほど圧迫します。方向や力加減を変えながら何度か圧迫をおこなってください。
圧迫を繰り返したあとは、伸ばす動きをします。横と縦どちらにもつまむ感じで揉みます。痛みを感じるようでしたら、初めは弱く行ってください。慣れてきたら少し強めに行い、ほぐすことを意識してください。繰り返すことで、乳首は柔らかくなっていきます。
おっぱいの中にある乳腺から乳首を通って母乳は出てくるので、詰まっていては出るものも出てきません。乳首を柔らかくすることで、通りもよくなりますので継続してマッサージを行いましょう。
母乳が少ししか出なくて空気を飲んでしまっている
母乳の出が悪いと、一生懸命出そうとして赤ちゃんは頑張ります。それでも出ない場合は、空気を飲み込んでしまいお腹の張りにつながることがあります。
これは空気嚥下症と呼ばれる症状で、母乳と一緒に空気をたくさん飲み込んでいます。大人にもみられるもので、飲食や唾液を飲み込む時にも空気を多く飲んでしまい、お腹がパンパンになる症状です。
赤ちゃんにこれが起こると、母乳の吐き戻しを起こし栄養不足につながりかねません。母乳をしっかりと出して、赤ちゃんが余計な空気を吸わないで済むようにしてあげたいですね。
母乳が出る仕組み解説
赤ちゃんがしっかり母乳が飲めるよう、たくさん母乳を作って出せるようにしましょう。母乳はどう作られ、どう出ているのか詳しく解説してきます。
母乳は元はママの血液から作られています。おっぱいの中にある乳腺には、乳腺房と呼ばれる袋状の器官があります。ここには血管が多く走っていて、母乳ホルモンが働くと血液が母乳に変わるのです。
母乳の成分は、主にタンパク質や白血球、栄養素です。元は血液なのに、なぜ母乳は白いの?と思われるかもしれませんが赤い色の元になる赤血球を含まないので、白くなります。
次に、作られた母乳がどうやって出てくるかというお話です。これには大事なホルモンであるオキシトシンが関係します。オキシトシンは、おっぱいの筋肉を収縮させて乳首を通して母乳をだすのにとても重要な働きをします。ツーンとした感覚があり、母乳が染み出してくる経験を多くのママがしますが、このホルモンの影響によるものです。
母乳は血液からできるものですから、血液循環をよくすることが大事です。入浴時に行うのが効果的です。
バレーボールをもつ要領で、指を広げておっぱいを持ち上げ、ゆっくりと押し上げる動きを数回繰り返してください。左右どちらのおっぱいも同じようにマッサージします。
縦横斜めと、動かす方向を変えて何度か持ち上げる動きを繰り返すのがコツです。
母乳育児の赤ちゃんにうまく飲ませるコツ
母乳がしっかりでるようになったら、赤ちゃんがうまく飲めるようにママも飲ませ方を工夫しましょう。赤ちゃんは勝手におっぱいを飲めるようになるのではなく、ママとの協力によって上手に飲めるようになっていくのでコツをつかみましょう。
赤ちゃんの口をおっぱいと密着させる
乳首だけを口に含んでもおっぱいは飲めません。赤ちゃんは乳輪の部分からしっかり口に含んでいますか?母乳は乳輪のそばにある乳管から出てきます。そこを赤ちゃんの口で刺激することによって、乳首を通って出てくるのです。
なので、しっかりと乳輪部分からくわえる必要があるのです。おっぱいと赤ちゃんの口をしっかり密着させ、顎を使ってしぼる動きをさせることで母乳が出ますので、口と乳輪が離れていないかチェックしましょう。
げっぷが必要か否かを見極める方
赤ちゃんの吐き戻しや息苦しさを防ぐために、げっぷが重要ですがうちの子はげっぷさせた方がいいの?と判断に迷う場合の見分け方をご説明します。
お腹は膨れているか
胃に空気がたまってしまっている場合、お腹が異様にポッコリとしている時があります。また、空気がたまっていると便秘気味になることもあるのでお腹の様子はよく観察しましょう。
頻繁にポッコリして空気がたまっているようなら、授乳後のげっぷが必要かもしれません。
機嫌がいいかどうか見る
母乳育児をしていて、お腹の様子に変化がなく、機嫌が悪くもなければ無理にげっぷをさせる必要はありません。空気はおならとして出ることもあるのでお腹の中にたまってはいないと言えます。
げっぷのさせ方
母乳育児の方も、ミルクを飲ませている方もげっぷのさせ方はマスターしておきたいものです。赤ちゃんもママもハッピーなげっぷのさせ方を覚えておきましょう。
げっぷのさせ方は2パターン
それでは、正しいげっぷのさせ方をご案内します。
・赤ちゃんを縦抱きにし、肩に軽く乗せる。
イメージは、口から食道、胃の通り道をまっすぐな線にする感じです。
<さする時のポイント>
背中を撫でる時は、優しく上下に撫でてください。それでもげっぷが出ない場合は、トントンと叩く。優しい力で大丈夫です。強く叩くと体が緊張して余計に出なくなってしまいます。
また、母乳を吐き戻してしまうかもしれないので肩にタオルを乗せてから行いましょう。
出典 YouTube
助産師さんや看護師さんはげっぷをさせる機会が多いので、肩に抱くよりも膝の上でげっぷさせる方法を用いるようです。
・赤ちゃんを横向きに座らせます。
・次に、ママの手に赤ちゃんをもたれかかるような感じにし、背中を上下にさすります。
<さする時のポイント>
さする時は、肩でげっぷさせるのと同様に上下に撫でることと優しく行うことを意識してください。
出典 YouTube
縦抱きにして5〜10分ほどそのままにしておくことで、げっぷが自然にでることも多いです。撫でたりトントンしても出ない時は、縦抱きにしても良いでしょう。
無理にゲップをさせようとしないで
げっぷが出ないから不安だと思って、無理にさせることはありません。出さなくてもいい、出した方がいいを見極めましょう。
赤ちゃんの期限、お腹の様子、普段の吐き戻し状況をしっかり観察していれば授乳後のげっぷをさせた方がいいかわかります。
また、おすわりができるようになってくると、自然と縦抱きの状態になるのでげっぷが勝手に出るようになり、ママがげっぷをさせる必要が無くなります。
生後4ヶ月頃までは、1人でげっぷがしにくいのでママがしっかり観察してげっぷを出させてあげてください。