赤ちゃんの顔に湿疹が出来てしまった!こんな経験のあるママも多いのではないでしょうか?この症状こそ「乳児湿疹」です。実は乳児湿疹の原因はひとつではありません。赤ちゃんの肌は、バリア機能や皮脂分泌がまだまだ未熟です。だからちょっとした刺激が、トラブルの原因になってしまうことも!
乳児湿疹とは
きめ細かい赤ちゃんのお肌は、なめらかですべすべ♡いつまでも触っていたくなりますよね。
それもそのはず!赤ちゃんの肌はとても薄く、大人の約半分しかありません。さらに皮脂分泌やバリア機能も未熟で、非常にデリケート。
だから、些細な刺激ですぐに肌トラブルが起きてしまいます。
特に「乳児湿疹」は良く起こる肌トラブルです。0~1歳くらいの、乳児期の赤ちゃんによく見られます。「あせも」や「新生児ニキビ」なども、広く言えば乳児湿疹の仲間なのです。
新生児ニキビ
新生児ニキビとは、その名の通り、新生児期の赤ちゃんに見られるニキビのこと。生後2週間~生後3ヶ月頃にかけてよく見られます。
新生児ニキビの大きな原因は、胎児のときにママからもらったホルモンの影響です。増えた皮脂が毛穴に詰まり、ニキビが出来てしまうのです。
また、布団の汚れが原因となる場合もあります。
見た目は、大人のニキビにそっくり。赤や白のプツプツができます。
現れる場所も大人と同様で、ほっぺやおでこによく見られます。頭皮やまゆ毛の間などにできる場合もあります。実際私の次男も、おでこに出来ました。
新生児ニキビのケアで大切なのは、「清潔」を保つこと。肌は丁寧に優しく洗ってあげましょう。寝具のこまめな洗濯も大切です。
乳児脂漏性湿疹
新生児期~6ヶ月くらいまでの赤ちゃんは、ホルモンの影響で皮脂の分泌が活発です。
そのため、皮脂腺が多い場所にはさまざまなトラブルが起こります。代表的な症状のひとつが、「乳児脂漏性湿疹」です。
皮脂腺の多いおでこや顔、頭皮などに、赤いプツプツや黄色っぽいかさぶたができます。時にはかゆがる場合も。
症状が現れるのは頭や顔のみで、首から下に出ることはほとんどありません。
一般的には、生後3~4ヶ月頃には落ち着くことが多いと言われています。あまり心配しすぎず、清潔を心がけてあげましょう。
あせも
赤ちゃんはとても汗っかきです。かいた汗をそのままにしておくと、汗腺(汗が出る線)に汚れが溜まり、湿疹が出来てしまいます。これが「あせも」です。
あせもの予防も「清潔」が肝心です。こまめにシャワーや着替えを行い、肌の清潔を保ちましょう。また、汗を良く吸う、綿素材の肌着もおすすめです。
あせもの見た目は、赤いものと白いものの2種類があります。最初は白い小さなぽつぽつが出る場合が多いですが、次第に赤く細かい発疹が現れ、かゆみも出てきます。
時にはかゆみに耐え切れず、かき壊してしまうことも!悪化したあせもはなかなか治りません。長引く時は、できるだけ早く病院を受診することが大切です。
乳児湿疹はいつから出る?
一般的には生後2週間~6ヶ月くらいの間に起こることが多いと言われています。
新生児期~生後4ヶ月頃までは、皮脂の分泌が活発な時期です。脂漏性湿疹や新生児ニキビなどがよく見られます。
一方生後4ヶ月以降は、皮脂の分泌が落ち着き、肌が乾燥しやすくなります。そのため、乾燥が原因の湿疹が出来やすくなります。
ただし乳児湿疹は非常に個人差が大きく、症状がほとんど出ない赤ちゃんもいれば、顔中に湿疹が出る赤ちゃんもいます。
また、症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返す場合も…。空気が乾燥している寒い時期に、湿疹が悪化するケースもあります。
治らない場合はアトピーの可能性も
ひどい乳児湿疹だと思っていたら、実はアトピー性皮膚炎だった…というケースもあります。ただし症状がよく似ているため、判断が難しい場合も珍しくありません。
慢性的に繰り返す湿疹や、長期間症状が良くならない時は、アトピー性皮膚炎の可能性があります。念のため小児科を受診すると安心でしょう。
また、アレルギーが原因で湿疹が出る場合もあります。特定の食べ物を食べた時や、刺激となる物質(ほこりやダニなど)に接触した時に症状が出る場合も、早めに診察を受けましょう。
いずれにせよ、自己判断は禁物です。
乳児湿疹とアトピーは別物
乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の症状は、非常によく似ています。特に小さい時期はなおさらです。
さらに、赤ちゃんは自分で症状を訴えることができません。医師にも判断は難しく、アトピーなのか乳児湿疹なのかわからない…という場合もあります。
そのため、1歳を過ぎるまでは、はっきりとした診断を行わない医師も多いです。
どちらが原因の場合でも、適切なケアを行うことが大切です。症状が長引く時は、早めの受診をおすすめします。
アトピー性皮膚炎の特徴
そもそもアトピー性皮膚炎とは、強いかゆみを伴う湿疹が、特定の部位に、繰り返し現れる状態を言います。
日本皮膚科学会が定めた「アトピー性皮膚炎の定義・診断基準」は、診断に良く用いられる指標のひとつです。
以下の3つの基準を満たしている場合、アトピー性皮膚炎と診断されます。
①そう痒(かゆみ)
②特徴的皮疹と分布(ジュクジュクした赤い湿疹や、カサカサの乾いた発疹。おでこや口の周り、首、ひじや膝の裏側など特定の場所に出る)
③慢性・反復性経過(症状が2ヶ月以上続く。良くなったり悪くなったりを繰り返す)
乳児湿疹がひどいとアトピー性皮膚炎になっちゃうの?
必ずしも、乳児湿疹からアトピー性皮膚炎になるわけではありません。安心してくださいね。
ただし、かゆみの伴う乳児湿疹の場合は少し注意が必要です。赤ちゃんが湿疹をかいて傷がつくと、皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。皮膚が炎症を起こし、赤くなってしまうことも。
さらにアレルゲンにも要注意です。ダニやハウスダストなどのアレルゲンが体の中に入ることで、アレルギー症状が悪化する可能性があります。例えば、かゆみが激しくなったり、咳が止まらなくなったり…。
このような状態を避けるためにも、まずはスキンケアをしっかりと行うことが大切です。
乳児湿疹への対処法とスキンケア
難しそうに感じる乳児湿疹のスキンケアですが、実はとても簡単なのです。基本は「洗浄」と「保湿」。まずは方法をおさらいしておきましょう。
このスキンケア方法は、顔からお尻に至るまで、すべての部分に応用できます。乳児湿疹が気になる時はぜひ試してみてください。
肌を清潔に保つ
まず大切なのは、肌の清潔を保つことです。
汗をかいたときは、こまめにシャワーや着替えをしましょう。この時、石鹸が肌に残らないよう十分に洗い流してください。
口の周りの汚れにも注意が必要です。食事や授乳のあとは、優しくガーゼで拭いてあげましょう。
スキンケア方法
乳児湿疹のスキンケアは、実はとても簡単!いつものお世話に、ほんのひと手間加えるだけです。一緒に確認してみましょう。
まずは石鹸を良く泡立てましょう。ふわふわの泡で、優しくなでるように身体を洗います。ゴシゴシこすらないように注意してください。
できるだけ低刺激の、肌に優しい石鹸やベビーソープを使用すると良いでしょう。
ひじやひざの関節や、首のしわの間、わきの下などは汚れが溜まりやすい場所です。しっかりと洗ってあげましょう。
洗い終わったら、十分にシャワーで流します。石鹸が肌に残らないよう、注意してくださいね。
入浴後は、タオルで水分を拭き取ります。トントンと軽くたたくように押さえ拭きしましょう。ゴシゴシこするのは禁物です。
肌の乾燥は乳児湿疹の大敵!入浴後は保湿を忘れずに行いましょう。
保湿剤は、必ず赤ちゃん用の製品を選ぶようにします。大人用の保湿剤は刺激が強いため、症状が悪化する可能性があるためです。
保湿はできるだけスピーディーに!できれば入浴後5分以内に行いましょう。
肌の上に保湿剤を点々と置き、優しくなでるように広げていきます。こすらないように十分注意してくださいね。
また、乾燥が気になる時は、こまめに保湿剤を使用します。特に寒い時期は空気も乾燥しやすく、肌の水分も奪われがちです。外出時も保湿剤を持参するとよいでしょう。
保湿が大事
赤ちゃんの肌は大人よりも薄く繊細なので、すぐに乾燥してしまいます。入浴後はすぐに保湿を行い、肌の乾燥を予防しましょう。
「肌を清潔に!」と、洗うことに重点を置きがちですが、保湿もとても大切なケア。皮膚のバリア機能が低下しないよう、きれいに洗った後はしっかりと保湿してあげましょう。
爪切り
赤ちゃんの爪は、意外と鋭いものです。ほんの少し掻くだけで、肌に傷がついてしまうことも…!
爪はこまめに整え、伸びすぎないように注意してください。眠っている時に掻いてしまう時は、ミトンを着用するのもひとつの方法です。
首や顎にできている場合にはスタイをまめに変えてみて
首やあごの乳児湿疹は、「スタイ」が原因となっている場合があります。我が家の子ども達もこれでした。
濡れたスタイをいつまでも付けていると、肌が刺激を受けてかぶれてしまいます。いわゆる「よだれかぶれ」の状態です。
これは、唾液の消化酵唾が肌荒れを誘発するため。特によだれが多い赤ちゃんは、こまめにスタイを交換するようにしましょう。
また、スタイの生地自体が刺激となっている場合も。ついつい可愛らしいスタイを着用したくなりますが、できるだけ肌に優しい素材のものを選びましょう。
母乳が原因で乳児湿疹になるの?
母乳と乳児湿疹の因果関係はありません。医学的にも根拠がない、噂程度のものです。
しかし残念ながら、母乳に原因があると思っている人も一定数います…。
そのため乳児湿疹がひどくなると、「卵や乳製品は控えた方がいい」などと言われることもあるかもしれません。実は私も言われました。
しかし、この発言には、医学的な根拠はありません。神経質になりすぎず、聞き流しましょう!
母乳は赤ちゃんにとってなくてはならないもの。食事の栄養バランスに気を付けながら、自信をもって授乳をしてくださいね。
病院へ行くタイミングは?
発疹以外の症状がなく、赤ちゃんの機嫌が良い時は、家で少し様子を見ましょう。シャワーを浴びたり、保湿をしたりすることで、発疹が治まる場合も多いです。
ただし発熱や咳などの症状を伴う時は、できるだけ早く受診することをおすすめします。発疹を伴う感染症は多いです。
また、何かを食べたり触ったりした後に、発疹が出た時も注意が必要です。時には、息苦しさや脱力感を感じる場合も。このような時はすぐに病院へ行き、医師にしっかりと診断してもらいましょう。
日々のケアで乳児湿疹を予防・対策しよう!
赤ちゃんのツルツル肌を守るためには、「清潔」と「保湿」が大切です。スキンシップをしながら、楽しくやってみてください。
赤ちゃんの肌に湿疹ができると、とても辛いですよね。しかし乳児湿疹は、決して珍しいものではありません。
ほとんどの場合は、時間の経過とともに良くなっていきます。まさに「日にち薬」なのです。
症状が気になる時には、病院を受診するのもひとつの方法。早めに薬を使用することで、症状の悪化を防ぐことができますよ。
少しでも早く乳児湿疹が良くなるように、赤ちゃんをサポートしてあげましょう!
■出典■
すこやかアレルギークリニック
http://www.sukoyaka-allergy.jp/topics/details.php?id=3459
乳児湿疹の原因と症状は?スキンケア方法と薬の使い方【皮膚科医監修】
https://millymilly.jp/column/51264
すがいこどもクリニックhttps://sugai-kodomo.jp/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%BC%E6%80%A7%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E
公益社団法人 日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa1/index.html
かわだ小児科アレルギークリニック
http://www.kawada-ca-clinic.com/page3.html
スキンケア大学 乳児湿疹のピークと完治までの期間!いつまで繰り返す?
https://www.skincare-univ.com/article/009903/
ハッピー・ノートドットコム 乳児しっしんってどんな病気?
https://www.happy-note.com/doctor/015-050.html
プロアクティブ 新生児(赤ちゃん)ニキビの原因とケア
https://proactiv.jp/about-acne/acne-age006.html
ドクターシーラボ 皮膚科医推奨!新生児期にできる赤ちゃんニキビの対策
https://www.ci-labo.com/item/bodycare/babycare/article/00000128/
スキンケア大学 赤ちゃんにできる「新生児ニキビ」原因とケア方法
https://www.skincare-univ.com/article/000622/