3人目をインドで産むことに決めたとき、一番驚いたのは胎児の性別を絶対に教えてくれないことでした。それにはインドならではのお国事情が絡んでいたのですが、私は日本人です。どうにかしてわが子の性別を知りたい!と頑張ってみたのですが…
性別判断のチャンスはたったの4回
性別を知るにはエコーが一番です。でもインドでは妊娠初期に1回、中期に1回、そして後期に3回と、合計5回しか検査がありません。
性別を判断できるのは中期以降なのでチャンスは4回だけ!常に目を皿のようにして、必死でベビーのお股を観察していました。モニターを録画するのも忘れません!
夫も私も、なんとか性別を見極めようと一生懸命でした。
百戦錬磨の先生との真剣勝負
男女どちらも産んでいる経験と知識を総動員して、エコー画像をにらむ私。
先生も手慣れたもので、念入りにベビーの骨や内臓をチェックしているにも関わらず、肝心のお股に差し掛かった瞬間、そこだけ超高速で通り過ぎていきます。
性別を悟らせないテクニックは、もはや神業でした。完敗です。
ダメもとで毎回検査後に「男の子?女の子?」と先生に訊くのですが「インドの法律で禁止されているから教えられないのよ」と答えてくれません。
性別を教えることを厳しく禁じるわけ
インドでは、男の子は稼ぎ手として小さいころから重宝されます。その一方で、女の子は稼ぎ手にならずにお嫁に行ってしまうこと、嫁入りのときにお金が掛かることが理由で敬遠されてしまうという歴史があります。
悲しいことですが、授かったのが女の子だとわかると堕胎してしまうケースが後を絶ちません。そこで、医師が胎児の性別を教えることを法律で禁じるようになったのです。
「私は外国人だから文化も思想も違う」とお願いしてみましたが、先生は決して譲りませんでした。それは医師として立派なことなのだと私も最後には納得しました。
両方の可能性に備える
「性別は生まれてからのお楽しみでもいいよね」と夫とも納得したのですが、困ったことに気付きました。
「名前どうしよう」
男の子と、女の子と、名前を2通り考えなくてはいけません。ベビー服も、どちらが着てもいいように色やデザインがユニセックスなものを探さなくてはいけません。
どちらが生まれてもいいように、最低限の準備だけをするというのは、上の子たちのときには悩む必要のなかった問題でした。
そんな私の悩みをよそに、上の子たちはベビーの性別がどっちかで議論しては、長男は男の子の名前でお腹に呼びかけ、長女は女の子の名前で呼びかけ、楽しんでいました。
夢のお告げは当たらない?
ちょっと話は遡って、3人目を授かったときのことです。私は、妙にハッキリとした、女の子を産む夢を見ました。
その夢で妊娠に気付いた私は「ベビーは女の子に違いない!」と確信!
ですが、エコーの度に私の目に映っていたのは、腿の骨を計測するときに脚の付け根にチラリと見える丸いなにか。
「もしかしてこれは男の子の印かも?」
「あれ?女の子じゃないの?」となんだかモヤッとしましたが「産まれてくるわが子が健康なら性別なんて関係ない!」と前向きに捉えて、ベビーの誕生を心待ちにしていました。
そして生まれてきたのは
運命の出産当日。立ち会っていた夫が、生まれ出たわが子を一目見た瞬間に叫びました。
「女の子だ!」
第一声がそれかい!と心の中で突っ込みつつも、驚いたのは私も同じです。ほぼ男の子だろうという前提で、お腹に話しかけるときも男の子の名前で呼んでいましたから(笑)
よく見ると、大陰唇が大きくぷっくりとしていて、どうやらそれがエコーで見えていたようです。最初は驚きましたが、1週間が過ぎるころにはみるみる縮み、今は面影もありません。
やっぱりわが子はかわいい!
夢のお告げで女の子を授かったと思ったのは、結果的に間違いではありませんでした。それでも、エコーの度に必死になって観察したり、あれこれ想像してみたり、夫と名前を考えるのに苦労したりしたのは、今となればどれも楽しい思い出です。
きっと私の母の世代はみんな、このドキドキ感を楽しんでいたのでしょう。私もインドで貴重な体験をしたことで、わが子への愛情がより深まりました。
男の子も女の子も、自分の子ならかわいいのは変わらないものですね。