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あぁ、 勘違いしてたかも… 「自分のことに『お』をつける=バカ」は間違いだった!【大人の敬語力】




人間は「思い込む動物」です。その内容が「ちょっと威張れそうな知識」の場合、思い込みが恐ろしい状況を招きかねません。間違った思い込みを元に、鬼の首を取ったように「それは間違いだ」と指摘してみたり、ドヤ顔で「もっと勉強しろ」と非難してみたり……。ああ、想像するだに背筋が凍りつきます。



 



そんな事態が起きがちなのが、敬語にまつわるエリア。昔から「自分のことに『お』や『御』をつけてはいけない。そんなことも知らないのか、この無知蒙昧の輩め!」と言いたがる人は、少なからずいます。たしかに「私のお子様は5歳です」とか「ウチの御両親は御健在です」なんて言ったら、たぶん心の中にある鼻で笑われるでしょう。



 



かといって、「自分のことに『お』や『御』をつける=バカ丸出しの間違い」というわけではないようです。たとえば「私はお料理が得意です」「私が御説明をしたいと思います」と言う場合、料理も説明も「自分のこと」ですが、「私は料理が得意です」や「私が説明をしたいと思います」にすべきなのか。後者はより丁寧に言うなら「私が御説明申し上げたいと思います」ですが、その場合も「私が説明申し上げたいと思います」なのか。



 



 



■文化庁も「つけていい場合もある」と言ってくれている



 



「お」や「御」がなくても失礼に当たるわけではなさそうですけど、何となく違和感があります。そのへんの疑問にスパッと答えてくれているのが、文化庁のHPにある「敬語おもしろ相談室」のコーナー。そこの〈第四話「間違いやすい敬語(1)~尊敬語 VS 謙譲語I」〉のページに、こんな問題が載っています。上の例文は、ここからお借りしました。



 




次のような言い方を耳にするけれど、適切でない言い方はどれでしょうか?



 



(ア)私のお考えを発表します。



(イ)私はお料理が得意です。



(ウ)私が御説明をしたいと思います。




理由をスパッと説明できなくても、一読してヘンなのは明らかに(ア)です。むしろ、頭で考えて「自分のことに『お』や『御』をつけてはいけない」という公式を当てはめようとすると、こんがらがってわからなくなったり、全部不適切に見えてきたりするでしょう。なぜ(ア)が正解なのか。文化庁の解説は以下のとおり。



 




「私のお考え」は「考え」の向かう先がなく尊敬語で、「私」を立てることになり、適切ではありません。「お料理」は美化語、「御説明」は「説明」という行為の向かう先(説明される人)を立てる謙譲語Iで、適切です。




「私のお考え」は自分を持ち上げていることになるけど、「お料理」は丁寧に言っているだけだし、「御説明」は説明する相手に敬意を表しているわけだからOKということですね。お客様に「のちほど、お電話いたします」と言って、あとで上司に「自分がかけるのに『お電話』と言うな!」と怒られたときは、このことを教えてあげましょう。いや、教えてあげるのがいいのか、適当に聞き流すのがいいのかは、その上司の性格次第ですね。



 



解説にある「美化語」とは、上品に言い表わしたいときの言い方。「謙譲語Ⅰ」は、話し手が自分側から相手や第三者に向かう行為・物事について、向かう先の人物を高めて使う敬語のこと。「伺う」「差し上げる」など特別な語を使うこともあれば、「御説明」の「御」のように敬語的成分を添えることもあります。「謙譲語Ⅱ」は、「参る」「申す」「拙者」など、自分側の行為・物事について丁寧に述べる言葉のことです。



 



 



■間違いに目くじら立てるのは敬語スピリッツへの冒涜!?



 



とはいえ、自分を立てているのか相手を立てているのか、その境目はけっこう微妙。「なかなかお仕事が終わらなくて」は、ややアウトよりでしょうか。大人として大切なのは、「間違えないように気を付けつつ、他人や自分の間違いに寛容であること」。間違いを教えてあげるのはいいとして、非難したりあざ笑ったりするのは、そもそも「お互いに相手を尊重し敬意を持って接しましょう」という敬語の基本精神に反しています。



 



その人の本性を垣間見せてしまうのは、何を間違えるかより、他人の間違いにどういう態度を取るか。間違いや勘違いはお互い様です。「自分のことに『お』や『御』をつけてはいけない……とは限らない」と知ったからといって、勘違いしている人を非難したいという誘惑に負けないように、くれぐれもお気を付けください。いや、この原稿こそ、勘違いしている人を遠回しに非難しているじゃないかと言われたら、まあそのとおりなんですけど。


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