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お見事?食欲なくす? 飲食物としての「トーストアート」の是非


出典:「Azusaさん(@zahrada123)インスタグラム」より


賢明なるcitrus読者の皆さまは、近ごろインスタ女子のあいだで人気であるそうな「トーストアート」ってヤツをご存じだろうか? 食パンにジャムやチョコなどでかわいいイラストを描く、いわゆる「フォトジェニックグルメ(=映えグルメ)」の一種である。



 



ORICON NEWSによると、そんなトーストアート界の“異端児”として注目を集めている女性がいる……らしい。「食パンに奇妙奇天烈な細工をする人」を自称するAzusaさんという主婦で、今年の3月にフェルメールの名画『真珠の耳飾りの少女』を再現した作品をSNSに投稿すると、「本家を超えてる」「お見事」……など、多くの反響が。ほかにも、浮世絵や能面をモチーフにした作品を精力的に制作、発信し続けている。



 



本記事に掲載されている一連の“タブロー”をチェックしてみると、たしかに「お見事!」と唸らざるを得ない素晴らしい出来であった。その精密な筆致(?)に、食材とは思えない彩度の高い色使いに、大胆なアングル……食パンをキャンバスとするアートとしては、間違いなくトップクラスに属する傑作名画集であろう。



 



ただ、この手のフォトジェニックグルメを「アート」ではなく「食べ物」と解釈した場合、話はまったく別になってくる。ぶっちゃけ「美味しそうじゃない」──むしろ完成度が高くなればなるほど、(少なくとも私は)食欲が減退してしまう。



 



「アートとしての完成度が高い=手が込んでいる=食材をチマチマといじりまくる→調理に時間がかかる=食べ物としての新鮮さが損なわれる」



 



……といった理屈であり、これは一昔前に流行った「キャラ弁」も同様で、ドラえもんが、より忠実にドラえもんっぽくなるほどに、食べる気が失せていく。



 



そもそも私は、飲食物に具象のモチーフを施すこと自体に、じつはあまり賛同できなかったりする。よくおシャンティなカフェとかで出てくる、表面にハートマークが描かれたカプチーノですら「やりすぎ」だと思っている。これから食べよう(飲もう)とするモノに、意味的な“絵”が挿入されている時点で、それは(たとえ一瞬であっても)“鑑賞”の対象となり、単純に「食べるのがもったいない」といった躊躇が生じてしまう。その一拍って、“食事”に関しては不必要……ですよね? だって、揚げたてのトンカツは出されたらすぐ食べたいじゃないですか!



 



やはり、料理のビジュアルは具象より抽象を心がけるべき……いや、味を追求するなら、おのずとビジュアルは抽象的になっていくもの……私はそう考える。画家で言うなら、1940年代後半にアメリカをメインとする美術界を席巻したムーブメントであった「抽象表現主義」の旗手とされているジャクソン・ポロックあたりか?



 



キャンバス(パンだとか米だとかパスタだとか?)に向かって、ひたすら美味しいと直感する食材をブチまけ、オールオーバー(=中心がない)なビジュアルを成していく──カレーに入れる具材は鶏肉にニンジンに玉ねぎに……う〜んジャガイモも入れちゃえ、ついでにオクラもトマトも……あと、隠し味にはシナモン……だけじゃなく醤油もミルクも一滴……ええいチョコレートも半欠片……こうやって、見た目はグダグダであっても美味しい“いつものカレー”が食卓へと並ぶことになるわけだ。あ! インスタントコーヒーの粉も一振り?


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