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「ギャル」が消えてから、渋谷は「騒動の街」となった




AbemaTIMESが『“ハロウィン狂騒”なぜ渋谷で起きるのかを考える』といったテーマで、何人かの識者の推測的意見を集めた記事を掲載していた



 



私も過去一回だけハロウィン当日の夜8時から深夜0時前までの、いわゆる“ゴールデンタイム”に渋谷の、それもセンター街へと不覚にも足を運んでしまった経験がある。偶然、東急ハンズ手前で営業していた友人のダイニングバーがこの日に閉店する……ってことで、その“ラストパーティ”に参加したのであった。



 



行きは渋谷の駅を出てセンター街を抜けるのに、通常だと5分もかからないのに、40分かかった。帰りは1分に1メートル進めるか進めないかといった気が遠くなるような牛歩のペースだったため、やはり20分ほどかけてようやく道玄坂へとたどり着いてタクシーを拾い、自宅の方向とは逆回りになるのを承知で道玄坂を上がってもらった(不思議なことにタクシーは空車がいっぱいあった。おそらく、ほとんどの若者たちは朝までオールする覚悟だったんだろう)。外は寿司詰めなのに、私が行ったダイニングバーはガラガラで、私ら以外は一人も客が来なかった。ここ数年、ハロウィンの日はいつもこんな状態だと友人の店主は言っていた。ハロウィンで渋谷に集まる若者たちの多くは、あくまで「夜通し街を練り歩く」のが目的で、「店に入って仲間同士だけで仮装を競争し合うことで完結する」といった発想がないらしい。ちなみに、この日の私の服装は、おカタい役所系の仕事を終えてそのパーティに直行したので、グレーのスーツに白シャツとネクタイ。ジャージや短パンを普段着とする私にとっては、ある意味「サラリーマン」というコンセプトのコスプレだったのかもしれない(笑)。



 



渋谷区の長谷部健区長は11月1日の午前、「ハロウィンはイベントじゃなくて騒動になっている。来年以降は積極的に手を打たなきゃいけない」と苦言を呈した……のだそう。そんななか、AbemaTIMESによると、私が敬愛する編集者の一人である都築響一氏が自身のメールマガジンへと投稿し、SNSで拡散された次のような分析が注目を集めているという。



 




「たとえば銀座に、歌舞伎町や池袋北口にさえ存在する、住んでいなくても『オレらの街』という感覚が、渋谷には決定的に欠けてしまっている。(中略)いま渋谷を急速度で変貌(整形手術)させている再開発は、渋谷から渋谷ならではの魅力を完全に消し去って、ただの集金装置にしてしまった。渋谷にひと晩だけ集合して、暴れて逃げ去る子たちは、それを本能的に見切ってしまっている。そこにある混沌を尊ぶ慎ましさも、闇を理解する感性もないディベロッパーたちが、寄ってたかってつくりあげたハリボテの街」(以上抜粋)




 



たしかに、まだ渋谷でマルキュー(109)が“聖地”として君臨していた時代は、コスプレ一歩手前のエロいファッションで完全武装していた若者こそたくさん生息していたものの、今のようなハロウィン集中現象はなかった……と記憶する。当時は「そこまでハロウィンが一般的に浸透していなかった」のが、その一番の理由として挙げられるのは間違いないけれど、なによりあのころの渋谷は「ギャルの街」であり、結果として、見た目が奇抜でいささかおっかないギャルやギャル男たちが「オレら(アタシら)の街を汚すな!」と自警団的な役目を果たしていたのではなかろうか。



 



あと、昨今は外国人観光客にとっても人気スポットとなりつつある「スクランブル交差点」の存在が「ハロウィン狂騒」の要因として、大きな一端を担っているのではないか……と私は考える。年に一度のハロウィンで、自慢のコスプレを披露する若者たちにとってスクランブル交差点は、ファッションショーでモデルがもっとも脚光を浴びるランウェイにも似た「日本有数の巨大なステージ」なのである。だからといってモチロンのこと、そのステージにやむを得ず彷徨い込んでしまった軽トラックを横転させてもいいはずもない。渋谷区長のコメントどおり、「来年以降は積極的に手を打たなきゃいけない」との苦言には、私も猛烈に同意したい。


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