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【コンピューターゲームの20世紀 58】爽快感と数々の謎が話題となった80年代を代表するSTGのひとつ「スターフォース」



 100円玉不足や専門店「インベーダーハウス」の乱立など、社会現象にまでなったシューティングゲーム(STG)『スペースインベーダー』が登場したのは1978年のこと。この空前の大ブームに触発される形で70年代後半からは様々なメーカーからSTGがリリースされ、1980年代中頃にSTGは黄金期を迎える。

 スペースインベーダーの他にも『スクランブル』や『ムーンクレスタ』など、STGの歴史に影響を与えたゲームは幾つか存在するが、中でも83年登場の『ゼビウス』のインパクトは抜きん出ている。それまでのSTGは“撃ち合い”に特化した、いかにもゲーム然とした内容で、ストーリーやキャラクター設定などは必要最低限しか持ち合わせていなかったのだが、ゼビウスには一冊の小説が書けてしまうほどの入念な世界設定が用意されており、プレイヤーの想像力を大いに刺激した。本作の登場によってSTGの進化の歴史の針は一気に進み、その後、STGは80年代の終わり頃まで最も人気のあるゲームジャンルのひとつとして君臨し続けることになる。

 今回紹介する『スターフォース』は、他の多くのSTGがそうであったように、多少なりともゼビウスの影響を受けてはいるのだが、目指す方向性は大きく異なり、ゼビウスにはない“爽快感”を強く押し出したゲーム性がウリとなっていた。より強い爽快感を実現するため、本作ではゼビウスのように地対空を撃ち分ける必要がなく、8方向レバーとショットのみの単純な操作系となっている。ショット1つで空中物と地上物の双方を撃破できることに加え、ほとんどの敵がショット一発で倒せることも、特有の爽快感に繋がっていると言えるだろう。さらに、友軍機のパーサーと合体すると連射性能が1.5倍にアップ。また、アップテンポのBGMも、爽快感を演出するのにひと役買っていた。

 本作はALPHA(Α)からOMEGA(Ω)の全24エリア構成で、Ωエリア後はINFINITY(∞)エリアが繰り返されるループ方式。そのため、この∞エリアへの突入がひとつの目標とも言えるのだが、さらなる高みを目指す生粋のシューターなどには、スコアも重要な要素となる。自らのハイスコアの更新や、1000万点オーバーを至上の命題として、日夜ゲームセンターに通い詰めた方も多いだろう。

 敵の出現順とそのアルゴリズムを完璧に把握しておくのは、STGにおいてハイスコア&1000万点を目指す際の基本中の基本である。本作の場合、空中物の出現順とその種類はあらかじめ決まっていることに加え、ボスキャラの登場タイミングは敵の撃破率によって制御されている。そのため、プレイの仕方で空中敵の出現パターンが異なるのである。つまり、ボーナスキャラの密集地帯等で厄介な空中敵と出会わないように、プレイヤー側でその出現タイミングを自在にコントロールすることも可能ということ。8方向レバーとショットのみのシンプルな操作系とは対照的に、ゲームシステムはとことんまで考え抜かれている。

 また、ゼビウスで初めて採用された「隠れキャラ」要素も強化。ショットを当てることで出現する地上物「ヒドン」や「?」型をしたマジッカ、そのマジッカにショットを4発打ち込むことで出現の可能性があるエクステンドアイテム「ケラ」、地上物「ジムダ」が縦2列に連なる謎めいた地帯「ジムダ・ステギ」(片側1列のみを連続で破壊すると8万点ボーナス)など、ゲーム中には多種多様な秘密が隠されている。

 そんな本作の最大の謎とされたのが「100万点ボーナス」(クレオパトラ)の存在だ。クレオパトラが隠されていたのは、とある砂漠地帯の古代魚の視線の先。ここにショットを8発撃つとクレオパトラが姿を現し、さらに追加で8発ショットを撃ち込むことでこれを撃破=一気に100万点が加算される。なお、撃破時にはファンファーレとともにメッセージが流れ、プレイヤーを祝福してくれるという粋な演出が用意されていた。

 本作はその後、SG-1000やファミコンといったコンシューマー機にも移植され、さらに人気は拡大。なお、ファミコン版はハドソンの第1回全国キャラバン公式ソフトでもある。さらに、ファミコンでは続編となる『スーパースターフォース』も発売されるに至った。これがなかなかの力作で、個人的には好きなレトロゲームのひとつなのだが、アクションRPG的な要素も加わっているので、純粋なSTGを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。(内田@ゲイム脳=隔週月曜日に掲載)

■DATA
発売日…1984年
メーカー…テーカン
ハード…アーケード
ジャンル…STG
(C) 1984 TEHKAN LTD.

【記事提供:リアルライブ】
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