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「ブギウギ」と「虎に翼」にちょっと嫌な感じで登場 朝ドラ2作連続で気になる記者の存在感


みのすけ(2014年6月撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

NHK連続テレビ小説に、2作品続けて「記者」が登場し、それなりの役割を担っている。仕事柄、どうしてもその言動が気になっている。

「ブギウギ」ではゴシップ誌「真相夫人」の芸能記者、鮫島がスズ子(趣里)の周辺に現れて、ライバル茨田(菊地凛子)や新進歌手、水城アユミ(吉柳咲良)との対立をあおる記事を書いていた。

鼻の効く「敏腕」だが、かなり嫌なヤツ。世間が芸能記者に抱くイメージを思いっきり増幅した感じだ。演じたのが劇団「ナイロン100℃」の看板俳優みのすけ(59)で、見事なまでに面の皮の厚い感じを出していた。

人の気持ちに土足で踏み込む取材手法は今では考えられないが、SNSはもちろん、テレビの情報番組も無い時代にその影響力の大きさはちょっとうらやましい気がした。

当時の芸能界をリアルタイムで取材したルポライター、竹中労氏(91年63歳没)に生前、インタビューする機会があった。

弱者の側に立った独特のルポで知られ、後年歌番組の審査員もしていたが、もともと美空ひばりとその母親の信頼が厚かった。公私の相談にも乗る関係だったので、ひばりの素顔に迫った逸話の数々に驚かされたことを覚えている。

半面、先輩歌手としてひばりにとっては「壁」のような存在だったスズ子のモデル、笠置シヅ子のことは決して良く言わなかった。ひばりをモデルに劇中に登場した水城アユミとの「確執」は、竹中氏的視点からすればかなり見え方が違う。その話に説得力があったこともあり、正直に言えば、「ブギウギ」の始まった頃は、スズ子になかなか感情移入できなかった。良くも悪しくも、当時の記者のクセの強さを体現した人だった。

「虎に翼」に登場しているのは「帝都新聞」の記者で、同じ名字の竹中。こちらの竹中は、当時の感覚を体現するように寅子(伊藤沙莉)たちの「女性進出」をからかうような記事を書く。一方で、父直言(岡部たかし)の冤罪(えんざい)事件では、背景の「スジ読み」を開陳して、正義感も垣間(かいま)みせた。

寅子のモデルとなった三淵嘉子はくしくも笠置シヅ子と同じ1914年(大3)生まれ。芸能界と法曹界という対照的な世界を舞台にしながら、実は同時代の物語なのでる。

竹中を演じているのは、ドラマにこわもて刑事としてよく登場する高橋努(45)。こちらも演劇チーム「渋谷ハチ公前」を主宰する実力派だ。同時代らしく「ブギウギ」の鮫島に似た嫌な感じと、どこか世の動きを俯瞰(ふかん)する視野の広さも見せている。いろいろと含みのある記者役にはどちらも演技巧者が配されているのだ。

そういえば、スズ子の引退会見の後、寂しそうな顔をする鮫島がちょっといい感じだったことを思い出す。クセ強だが、どこか憎めなく思ってしまうのは、妙な同業意識があるからかもしれない。【相原斎】

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