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喜劇参加20年、「笑点」司会…64歳春風亭昇太とかけて落語若手界の長老ととく、そのココロは


かわいらしいサクランボのシャツで熱海五郎一座について語った春風亭昇太(撮影・中島郁夫)

落語家春風亭昇太(64)が、恒例の熱海五郎一座・新橋演舞場シリーズ第10弾の東京喜劇「スマイルフォーエバー~ちょいワル淑女と愛の魔法~」(6月2~27日)に出演する。前身の「伊東四朗一座」旗揚げ公演から20年。落語芸術協会会長、そして日本テレビ系「笑点」(日曜午後5時30分)の司会を務める落語界のリーダーに聞いてみた。【小谷野俊哉】

★「落語、演劇区別はしてない」喜劇参加20年

東京の軽演劇の継承を目指した2004年(平16)の「伊東四朗一座」旗揚げ公演「喜劇 熱海迷宮事件」に昇太が参加してから20年がたった。座長だった伊東四朗(86)が参加しない場合は「伊東」を電車で先の「熱海」に、「四朗」を「五郎」にして「熱海五郎一座」。今年は伊東が、13年ぶりに出演する。

「いや、びっくりしました。まさかね、伊東さんが出てくれることになるとは。大きな会場がそんなにお好きでないみたいで、今までもずっと出てなかったですし。喜劇ですからね、やっぱり、もうちょっと小さいところの方が好きだったんですけど。新橋演舞場で一緒にやることはないんじゃないかなと思ってましたから。でも、お元気です。やっぱり舞台人は鍛えてるから」

昇太自身も、この20年で大きく変わった。

「変わらずにやっているんですけどもね。でも、本当に喜劇って面白いなって思う。僕は役者じゃなく、落語家ですけど、言葉の組み合わせを変えただけ、ちょっと間を変えるだけでウケ方が変わる。それは、落語でもあることなんですけど。毎回、台本が来て、読んで、これはどこでウケるのかなと思うんだけど、三宅(裕司)さんが演出をやるんですけど、いつの間にか爆笑劇になっている」

今回は滑舌を良くするため、マジックの学校に通う落語好きの男の役。

「滑舌の悪い落語好きの役。落語もカテゴリーでいうと演劇で、演劇でやってることを1人でやるのが落語。僕の中では、あんまり区別はしてない。特別なことやってるっていう気持ちはないんですけどね」

この20年で44歳だった昇太も還暦を迎え、64歳になった。落語芸術協会会長。「笑点」司会と、重きをなすようになった。

「いや、あのね、皆さん、楽屋で話すのが病気とか年金のことになった(笑い)。だいぶ年はとってきたんですけど、なんか僕は、この人はもっと年をとったら、どうなるんだろうと思って。すごい楽しみにしてるところがある」

★「ひと言で回答者のウケ方が倍に」笑点6代目司会者

東海大に入学して落語研究会に入部。それまでは落語に興味がなかった。

「そうですね、嫌いでしたから。あんな古くさいのなんかって思っていたので。たまたま、ラテンアメリカ研究会に行ったら人がいなくて、隣の落研の人が声をかけてくれた。話をしてたら面白かったんで、ここでいいやと思った。落研に入ってから、落語を始めました」

それが、4年後には5代目春風亭柳昇に入門した。

「いや、とにかく生で聞いたら面白かった。それまで、おじいさんが黒い着物を着てボソボソしゃべってるのが落語だったんですけどね、生の落語を初めて聞いた時の衝撃がすごくて。当時、二つ目だった(春風亭)小朝さんが、すごい面白くて。それで、一気に落語というものに興味を持ち始めた」

数ある落語家の中から、春風亭柳昇師匠を選んで入門した。

「新作をやってたってこともあるんですけど、他の落語家さんにはない間でしゃべってたんです。で、面白い。お弟子さんたちを見に行ったら、みんなやり方が違うんですよね。ああ、この師匠は落語はこういう風にやりなさいって言うタイプの人じゃないんだと思って。頼みに行ったらOKだった。師匠は年を重ねても、言うことは面白かったですからね。最後はね、ご飯食べてる姿を見ても面白かった」

92年、真打ち昇進。06年に「笑点」の大喜利のメンバーになった。

「『笑点』に入る時は悩んだ。お化け番組なので、今までやってきたことがやりづらくなる可能性があった。そこそこ食べていく自信はあったので、どうしようかなと。でも、この話に乗らない手はないなと思った。『笑点』っていう別の武器ができたので、仕事には恵まれてますからね」

16年に桂歌丸を継いで「笑点」6代目司会に就任。

「司会とか好きじゃなかった。回答者の方が全然好き。でもまあ僕らは、こうやってくれって言われてやるのが仕事なので。司会の楽しみを、最近感じてますね。司会者っていうのは、自分がウケるわけじゃない。回答者は、自分のことだけ考えて答えればいいんですけど。でも、回答者が答えを言った後の司会者のひと言で、ウケ方が倍になったりする。難しい立場ではあるんですけど、仲間の人たちがすごい個性的で面白い人たちなんで、今はすごく楽しんでやってます」

★「若手に勢いあってうれしい」落語芸術協会会長

19年(令元)には落語芸術協会会長に就任した。

「まあ、会長やりたい人なんかいないんですよ。僕も正直、やりたくなかった。副会長が(三遊亭)小遊三師匠だったので、やってくれると思っていたんですよ。だけど、70歳をすぎて体も丈夫じゃないっていうから、しょうがないなって。今、うちの協会員、若手がすごくいいんですよ。本当に若手に勢いがあって、それはうれしいです」

落語芸術協会会長就任直後に結婚。59歳だった。

「まあまあ楽しくやってます。僕は1人でずっと過ごしてたので、最初の頃は慣れなかったんです。人と暮らしたことなかったから。今、日本では、別に1人暮らしも大変じゃないじゃないですか。だから1人でいいやと思ってたんですけどね」

今年暮れに65歳になる。

「落語家っていうのは、座ってしゃべれれば、仕事ができるんでね。まあ今のところ大丈夫そうなんで。大丈夫なうちはやります。普通だったら定年退職の年代に、まだまだ現役。しかも長老みたいなことを言われない仕事って、なかなかない。ちょっと前ですけど“若手界の長老”って言われましたから(笑い)。お客さんも若い方に変わっている。聞く年齢層が若返ると、若い噺(はなし)家さんが注目されるのも必然。今は、いい若手が多いですから、このまま盛り上がってくればいいなと思っています」

気負わず自然体。偉ぶらない、明るく自由なリーダーだ。

▼三宅裕司

「東京喜劇の一座に噺家の春風亭昇太師匠に参加してもらったのはなぜですか?」とよく聞かれるがいつもこう答えている。「なんか面白そうだから」。あやふやな答えだが喜劇役者にとっては大事なことで、俗に言う「フラがある」というやつだ。そして昇太師匠は落語芸術協会会長でありながらそのオーラをまったく感じさせない、っていうか、ない。そのことが安心感を与え心を許したお客さんは知らないうちに彼を愛してしまい、どんな失敗も笑いで包み込んでしまう。実に得な性格だ。しかし、これがすべて計算された芸だとしたら春風亭昇太は末恐ろしい。結婚詐欺師のような喜劇役者だ。

◆春風亭昇太(しゅんぷうてい・しょうた)

本名・田ノ下雄二。1959年(昭34)12月9日、静岡県清水市(現静岡市)生まれ。78年に東海大文学部入学、落語研究会入部。82年に5代目春風亭柳昇に入門。前座名は昇八。86年二つ目昇進、昇太に改める。92年(平4)真打ち昇進。00年文化庁芸術祭大賞など受賞多数。06年から日本テレビ系「笑点」の大喜利レギュラー、16年5月から同番組の第6代司会。19年(令元)6月に落語芸術協会会長に就任。同年7月に元宝塚雪組娘役宝珠小夏の莉惠と結婚。163センチ、60キロ。

◆「スマイルフォーエバー~ちょいワル淑女と愛の魔法~」

銀行強盗事件で、被弾した孤独な老人(伊東四朗)は魔法使いだった。老人はさらなる高度な技を求めて魔法魔術学校の夜間学部に入学する。その望みを知った生徒や教師たちは一致団結する。

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