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上方落語に「波乱」起こした鶴瓶弟子の思い 銀瓶「昼席改革」公約270人に郵送 会長候補選


「繁昌亭は聖なる地」と話す笑福亭銀瓶

4月26日、上方落語協会の次期会長候補を決める選挙が行われた。

結果は現会長の笑福亭仁智(71)が、6代桂文枝(80)と笑福亭銀瓶(56)を退け、続投(4期目)となった。同協会が発足したのは1957年(昭32)。初代会長は3代目林家染丸。67年後、今回の会長選挙は画期的な出来事があった。立候補者(銀瓶)が出た。銀瓶に8日、本拠地の大阪・天満天神繁昌亭でインタビューした。【取材・構成=三宅敏】

   ◇  ◇  ◇

銀瓶 繁昌亭の昼席を改革したかった。中堅・若手の噺家(はなしか)でも昼席のトリ、中トリを務められるよう、なんとか変えたかったんです。ただ、その思いが広く浸透しなかった。大ベテラン(仁智、文枝)に任せた方がいい、と考えた人が多かったのでしょう。真剣な思いから声を上げたのですが、SNSでの発信も含めて「あいつ、ちょっと浮かれてるんと違うか?」と誤解された部分があったのかもしれません。

獲得した投票数を見れば「完敗」。それでも、後悔はしていない。昼席改革と「会長選挙を立候補制に」とする公約を書面にまとめ、270人の協会員に郵送した。

銀瓶 自分が訴えたいことだから、そうした作業も苦になりませんでした。実は「会長に当選したら」ということを見越して、ひとつの仕掛けを用意していたんです。わたしの著書「師弟~笑福亭鶴瓶からもらった言葉」「銀瓶人語」を目立つようにド~ンと並べてもらえるよう、梅田(大阪)の紀伊國屋書店さんにお願いしていたんですよ。

結果、選挙には負けたが、書店の好意でささやかな銀瓶コーナーが店内の一角に設けられた。

88年、鶴瓶に入門。以来36年というキャリアを積んだ銀瓶の目には、今の若い噺家とは考え方のズレを感じるという。上方落語協会には天満天神繁昌亭という自前の劇場があり、落語会が連日開催されている。

銀瓶 出番があることが当たり前やと思ってほしくないんです。繁昌亭ができる前(2006年オープン)は、落語会を開いて、お客さんを集めることが大変やったんです。一般市民の皆さんや企業の寄付で完成した繁昌亭は、我々噺家にとって「聖なる地」でしかないのです。昼席に出演できることがステータスなんですよ。繁昌亭では不細工なところを見せたらあかんのです。

銀瓶の不満は「集客に努力しない」噺家に向く。落語会のチラシを作って1枚1枚配って歩き、SNSを駆使して「繁昌亭に来てください」と呼びかけるのが当然。だが、それができていない人がいるのも事実。

銀瓶 努力して、それでもお客さんが増えないなら仕方ない。でも、努力さえしない人を繁昌亭には出してほしくないんです! たまたま「お、落語やってるやん」とチケットを買ってくれるお客さんもおられるでしょう。その時、活気ある劇場だったら「楽しかった。また、来よう」と思ってくれるかもしれません。逆に観客が少なくて寂しかったら「もう、ええわ」となって、2度目はないでしょう。我々はプロの集団なんだから、集客をしっかりしないと。

会長選挙の後「2年後(次の選挙)も出てほしい」という声を各方面から掛けられた。しかし、銀瓶の頭に「次」はない。

銀瓶 今回の会長選挙だからこそ、挑戦したかった。先のことは分からないけど、僕は本来会長になるべき人間やないんです。2年後は桂吉弥(53)にやってほしい。人気、実力、人柄など文句なし。僕らはサポート役に回りたい。さらにその先、10年後は桂二葉(37)が初の女性会長になるのを見たいですね。女性からも男性からも愛される噺家はなかなかいない。師匠の鶴瓶以来の逸材やと思っています。

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