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唐十郎さん、アングラ演劇の旗手 野外に仮設の紅テント 作品には社会的な弱者多く登場/評伝


唐組公演のちらしを手にした唐十郎さん。来年の復帰を目指してリハビリに励んでいた(2012年9月撮影)

アングラ演劇の旗手として知られる劇作家唐十郎(から・じゅうろう)さん(本名大鶴義英=おおつる・よしひで)が4日午後9時1分、急性硬膜下血腫のため、都内病院で亡くなった。84歳。

5日、主宰する劇団唐組が発表し、座長代行が取材に応じた。1日に自宅で転倒し救急搬送されたという。長男で俳優大鶴義丹(56)も舞台出演後、都内で取材に応じてコメントした。通夜、葬儀は近親者で執り行う。亡くなった5月4日は、アングラ劇団ブームでしのぎを削った寺山修司さんの命日でもあった。

   ◇   ◇   ◇

戦後の演劇界に旋風を巻き起こした人だった。

新劇など既存の演劇に飽き足らず、明大卒業後の1963年(昭38)に23歳で「状況劇場」を旗揚げした。新劇の台本に忠実な正統的演技とは一線を画し、俳優が前面に出た破天荒な演技で多くの若者たちの支持を集めた。また、上演場所も通常の劇場ではなく、花園神社など野外に仮設の紅(あか)テントを設営して上演するスタイルで注目を集めた。その作品に登場するのは娼婦だったり、同性愛者だったり、社会的な弱者が多く、その姿を通して社会的な矛盾や弱者の悲哀を浮き彫りにした。

60年代から70年代にかけて、天井桟敷の寺山修司さんとともにアングラ演劇の旗手として脚光を浴び、根津甚八さん、小林薫、佐野史郎、六平直政など個性的な俳優を育て上げた。演劇活動の一方で、小説も書き始め、83年にはパリの日本人留学生が起こした人肉事件を題材にした「狭川君からの手紙」で芥川賞を受賞した。

88年に「状況劇場」を解散し、「劇団唐組」を旗揚げした。同時期に妻だった李麗仙さんと離婚し、20歳年下の女性と再婚した。97年から横浜国立大学の教授に就任。実践的な演劇の授業を行い、指導を受けた生徒たちは「劇団唐ゼミ☆」を結成した。【林尚之】

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