海辺の町に住む兄妹の壮絶すぎる貧困!知的障害者の妹が売春!それを足の悪い無職の兄が生活費のために斡旋!そんな悲惨ながらもどっこい生きる人間の滑稽なまでのタフさを描いた映画『岬の兄妹』が“激ヤバ”だ。

香川照之、高良健吾、池松壮亮ら“わかってる系俳優”のほか、シンガーソングライター・あいみょんもTwitterで「しぶとく愛おしかった」と呟いてしまうほどの腰の抜かしようだが、ストーリーのみを指して“激ヤバ”と表しているわけではない。

『岬の兄妹』は、これが長編映画監督デビュー作となる片山慎三監督の自腹300万円で製作された完全自主制作映画。キャスト陣もほぼ無名。金ナシ有名どころナシの(ヾノ・∀・`)ナイナイ尽くしにも関わらず、3月1日の公開初日以降、6館での公開の予定がジワジワと上映劇場館数を増やし、公開館数63館合わせて2万人の観客を動員。興行収入はナント、3千万円に手が届く“激ヤバ”な勢いなのだ。

前述した著名人の応援コメントに加え、映画を観た観客によるSNSでの広がりが結び付けた驚異的数字である。しかしすべては、片山監督のデビュー作とは思えぬ演出家としての確かな手腕、完成度、衝撃度、笑撃度、兄妹を演じた松浦祐也&和田光沙の“もしかして本当にそういう人たちなの?”感バリバリの憑依度&演技力の高さゆえの、当然の結果ともいえる。

あの古舘伊知郎がオールナイトニッポンで行った「勝手にアカデミー賞」では、和田が主演女優賞を受賞。本物の各映画賞の反応にも期待が高まるところだ。このような広がりもあり、『岬の兄妹』は同じくインディペンデント発の爆発的大ヒット映画『カメラを止めるな!』にかけて“第2のカメ止め!”とも呼ばれている。

11日は片山慎三監督と本作で実力を遺憾なく発揮した主演女優の和田光沙が、2万人突破記念舞台挨拶を池袋シネマ・ロサで敢行!2万人突破に片山監督は「作ったときはここまで観てもらえるとは思わず、嬉しい反面恥ずかしい」と率直な思いを口にし、和田も「撮影時は完成するかどうかもわからないくらいだったので、観客の皆さんが広げてくれた結果。当初は都内での上映も危ぶまれたけれど、どんどん劇場が増えて嬉しい」と快挙を喜んだ。

喜びの一方で片山監督は、映画業界はもとより、エンターテインメント業界が抱える切実な問題に対して口火を切った。「約300万円で作った本作の現段階での興行収益は3千万円。しかしそれが作り手にどれほど還元されるのか。2万人を動員し、大ヒットといわれても自分には300万円の制作費が戻った程度の利益しかない。僕と同じように映画をやっている人たちは、みんなお金に困っています」と赤裸々に現状を訴えた。

そして「初めて自分の撮った映画が配給会社などを通して興行されてみて、映画産業がいかに厳しい現実であるのかを思い知らされた。還元のシステムに対して誰も問題視していないけれど、これからも映画を撮る身としては、その点もしっかりと考えていきたい」と“激ヤバ”な映画興行のカラクリを告白しつつ、クリエイターの権利向上に思いを馳せていた。作り手に利益がもたらされなければ、才能の芽は摘まれていくばかりだ。片山監督の最後の発言は、広く議論されるべき問題をはらんでいる。

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Fujisan.co.jpより

情報提供元:マガジンサミット
記事名:「【激ヤバ注意】知的障害女性の壮絶売春を2万人が目撃…でも作った人の利益はほとんどない!?