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すべてが規格外! 映画の価値をさらに更新したクリストファー・ノーラン『TENET テネット』IMAXレビュー



コロナ禍により、世界的に映画館も軒並みロックダウンするという事態に。中には、劇場公開を断念し、配信での公開に踏み切る作品も現れる中で、いつどういう形で公開されるのか、映画業界の未来を左右する役割すら担っていたクリストファー・ノーラン監督の最新作、『TENET』。


全米での公開が度々延期される中、先駆けて8月末にヨーロッパとアジアで公開され、9月上旬にアメリカの一部で公開、日本では9月18日公開という、異例の公開スケジュールとなった。トム・クルーズがロンドンの映画館に出向いて『TENET』を鑑賞し、その模様を撮影したムービーとともに「Big Movie. Big Screen. Loved It」というコメントを公開し、世界中の映画ファンが湧いたことも記憶に新しい。


クリストファー・ノーランとは、前作『ダンケルク』が本編映像の7割以上がIMAXフィルムカメラで撮影されていたことに象徴されるが、IMAXの申し子のような監督である。『TENET』でももちろんIMAXカメラが使用され、エストニア、イタリア、インド、デンマーク、ノルウェー、イギリス、アメリカの7か国でロケを敢行している。予告に付けられたノーラン監督のインタビューでも、「映画の力」「非日常的な旅」「未知なる映像体験」という言葉が発せられ、映画とは、映画館の椅子に座り、何ものにも邪魔されずに数時間没頭することで生まれる特別な体験なのだ、ということを伝える内容となっている。ノーランの作品は、テレビやPC、ましてやスマホで鑑賞するものでは決してないのだ。


自分はありがたいことに、日本最速でIMAX版が体験できる完成披露試写会で本作を観ることができたのだが、まさにIMAXで観てこそ味わえる未曾有の映画体験だった。

冒頭のキエフのオペラハウスでのテロのシーンから、1秒1秒、1シーン1シーン、異常な緊張感と密度とテンポ感。時間の逆行がテーマとなっており、主人公である名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)の目的は、「TENET」というキーワードを使い、第三次世界大戦を防ぐこと、という基本設定はわかるが、とにかく「感じる」ことが重要である、とセリフでもある通り、脳での理解はすぐには到底追いつかない。


「原因と結果が逆」「青い部屋と赤い部屋での時の流れ方」「出入り口である回転ドア」「逆行している際に装着するマスク」といった、本作の主軸になっている“時間”にまつわる様々なプロットが目まぐるしく現れる中で、実際に購入したという大型旅客機ボーイング747が爆発したり、ヘリが飛び交う銃撃戦や派手なカーチェイスにおいて時間の逆行と順行が入り混じる等、「そこまでする?」という、興奮と笑いがこみ上げてくるようなノーランならではの過剰なシーンも大いに堪能できる。


親子愛、仲間愛、仕事愛といったドラマを盛り込みながら、これまでのキャリアを注ぎ込み、映画とはこうあるべきだ、と言わんばかりの執着心と映画愛が通底している。

IMAXの音響におけるトラヴィス・スコットのリード・トラック「The Plan」の鳴りも凄まじいものがあるし、とにかくあらゆる面で規格外。映画の価値がさらに更新されている。


【書いた人】小松香里

編集者。音楽・映画・アート等。ご連絡はDMまたは komkaori@gmail~ まで

https://twitter.com/komatsukaori_

https://www.instagram.com/_komatsukaori/



『TENET テネット』9月18日(金)全国ロードショー

(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved


監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン 

製作:エマ・トーマス 製作総指揮:トーマス・ヘイスリップ

出演:ジョン・デイビッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、クレマンス・ポエジー、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナー

配給:ワーナー・ブラザース映画


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