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『プーと大人になった僕』は『劇画オバQ』なのか?



9月14日(金)、いよいよディズニー映画最新作『プーと大人になった僕』が公開されます。


この作品は「くまのプーさんと、大人になった親友クリストファー・ロビンの奇跡の再会から始まる感動の物語。大人になって忘れかけていた“大切なモノ”を思い出させてくれる映画」なのです。



かつて、全ての時間を共有したといっても過言ではない“友人”プー。


しかしクリストファー・ロビンは大人になり、家庭も含めた新たな生活があり、別の人生を歩んでいました。


幼き頃の無垢な心を持ったままのプー、そしてビジネスマンとしてシビアな生活を送るクリストファー・ロビン。とあることから再開した二人ですが、離れて過ごしていた時間は少々長かったようです。


お互い時間の溝を抱えたままの再開当初、ふたりの間にはすれ違いが続きます。


――さて、実は似た状況のお話が、藤子F不二雄先生の作品にもあるのをご存知でしょうか。そのタイトルは『劇画オバQ』。


この作品は漫画『オバケのQ太郎』のスピンアウトとして1973年に『ビッグコミック』で発表されました。『オバケのQ太郎』と言えば、正ちゃんこと正太くんとオバケのQ太郎が織りなす生活ギャグマンガ。

そんな正ちゃんの少年時代を共に過ごしたQちゃんは、ドジながらも純粋無垢で憎めないキャラクターでした。


『劇画オバQ』では、大人のサラリーマンとなった正ちゃんとQちゃんが15年ぶりに再会するところから物語は始まります(ちなみにタイトル通り、登場人物はちょっと固い線のシリアスタッチで描かれています)。


Qちゃんは今までのように正ちゃんの家に居候し始めますが、すでに結婚している正ちゃんの家庭は昔と勝手が違います。毎食20杯のご飯をたいらげるQちゃんに、正ちゃんの奥さんは良い顔をしません。そんなことも知らず、Qちゃんは忙しい二人に対して、子供のように話しかけ続けます。


――どうでしょう。ここまででもだいぶ『劇画オバQ』と『プーと大人になった僕』の共通点が見られるのではないでしょうか。


実写映画である『プー僕』でも、プーや100エーカーの森の仲間たちが“程よいリアルさ”で登場します。そして、彼ら彼女らは全員、びっくりするほど無垢なままなのです。

先にも書きましたが、クリストファー・ロビンもまた、びっくりするほど正論の大人になっています。この両者のコントラストはそのまま、画面の中のプーと、観客である僕らにも当てはまってしまいます。


ビジネスマンのクリストファー・ロビン、サラリーマンの正ちゃん、ふたりが共通して発するのは「もうあの頃とは違うんだ」という、悲しいけどこれ現実なのよねと言わんばかりのメッセージ。


『劇画オバQ』でQちゃんは、正ちゃんに子供ができたことを知ります。新しい生活を歩み始めた正ちゃんの姿を見て「正ちゃんはもう子どもじゃないってことだな……」とオバケの国へ帰っていきます。


“成長”(変化)していた正ちゃんに、“戻る”ということを一切求めることなく去っていくQちゃん。その後姿は、もう子供に戻れない寂しさの象徴として読者の心に何とも言えない悲しみを残します。


さて、もう一方の『プー僕』はどうなるのでしょうか。


クリストファー・ロビンの“成長”を、プーはどんな風にとらえるのでしょうか。そして、クリストファー・ロビンはプーを見て“変わる”ことを拒み続けるのでしょうか。


そこから先は、実際に映画を観て確かめてみてほしいです。

Qちゃんが受け入れた現実とは別の、“もう一つの現実”が『プー僕』にはあるはずです。


どちらも素晴らしい作品なので、それぞれ見比べて(読み比べて)いただきたいな、と思います。


プーと大人になった僕|映画|ディズニー公式

https://www.disney.co.jp/movie/pooh-boku.html


※イメージは筆者による


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