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山奥ニートが18人になってわかったこと(山奥ニートの日記)



今回は葉梨はじめさんのブログ『山奥ニートの日記』からご寄稿いただきました。


山奥ニートが18人になってわかったこと(山奥ニートの日記)


取材には、いつもだいたい15人くらいで住んでいると答えてるんだけど、指折り数えてみたら今日現在18人いた。


2018年になってから、5人が新しい住人になった。たった8ヶ月でだ。


最初は2人で始まった山奥ニートが、こんなに早いスピードで増えるなんてびっくりだ。


せっかくだし、最近感じたことをまとめて書いておきます。



1.グループができる


10人前後のときは、分け隔てなく交友があったように見えたけど、18人になるとよく話す人とそうでない人が出てくるみたいだ。


グループができたきっかけは、共生舎に女性が来たことなのかもしれない。今女性は3人住んでいるんだけど、やっぱり女性は女性同士で仲がいい。異性間で同性間のように親しくするのはどうしたって無理がある。そこから派生して、少しグループのようなものができつつある。


とはいえ、共生舎に住み始めた女性たちも少しずつ男性住人との会話に慣れてきたみたいだ。あまり見たことのない組み合わせでお喋りしているのを見ると、僕はなんだか嬉しくなる。


2.お客さん疲れ


山奥ニートが18人と書いたけど、そのうちの3~4人は短期滞在の「お客さん」だ。お客さんは3日~2週間くらいの滞在が多い。便宜上お客さんと呼んでいるけど、NPO共生舎は宿泊所じゃない。お金は最低限の光熱費と食費しかもらっておらず、それによる儲けはない。


お客さんに対応したからって、住人が得することはほとんどない。それでも、お客さんのために前もって布団を干しておいてあげる優しい住人もいる。また、お客さんが来ても、ほぼ無視する住人もいる。今までは持ってきてくれたお土産を対応した人が優先的にもらえる、ということでバランスが取れるんじゃないかと思っていたけど、人数が増えたことでお土産一人分の取り分が少なくなって、お客さん対応の旨味が釣り合わない。


僕が留守にしていた6~7月に、共生舎のことをよくわかっていない人が来て「飯が用意されてないじゃないか」と文句を言ったことがあるそうだ。その方には丁重にお引取り願ったと聞いている。夏休みシーズンでお客さんが多いということもあって、最近の住人は少しお客さんの対応に疲れている。


そういうわけで、とりあえず8月の間は遊びに来るのを控えてもらえると助かります。


3.バンドができた


18人もいると、いろいろできることが増える。いつの間にかバンドができたみたいだ。ギター、ギター、ベース、ドラム(アプリを使ってスピーカーから音を出している)、ボンゴとよくわからない編成だ。僕もメンバーに入りたかったけど、すでにギターが2人もいるからもうギターは要らないと言われてしまった。代わりに最近もらったハーモニカでも練習しようかなぁ。


近いうちにライブをしてくれるようだ。できれば、村の祭りで演奏してほしいな。元気な若者の姿を見せるだけで、村の爺さん婆さんはきっと喜んでくれると思うから。それくらいしかこんな訳わからん若者を受け入れてもらえた事の恩返しができない。



4.ゴミ箱が常にいっぱい


人数が多いから、ゴミ箱を空にしてもまたすぐいっぱいになってしまう。ゴミ箱が満タンでも、自分が捨てるこのゴミくらいは入るだろう、と思うのか溢れ出ている時がある。少ない人数のときは、全体の利益になる行動をすると自分が評価されて株があがったけど、20人近くになると誰かがいいことをしてもそれに気づかない事態が出てきてしまう。そうするとゴミをまとめたり、掃除をすることへのインセンティブが少なくなって、やる人が減ってしまうようだ。


晩ごはんについては「その時やりたい気分の人がやる」という仕組みのままで、毎日ご飯が作られているけど、ひとりで18人分の食材を切ったり混ぜたりするのは負担が大きすぎる気もする。



5.ボードゲームがより盛んになった


共生舎にはボードゲームが好きな人が多い。初対面でも話題に困らないし、下手な会話をするよりよっぽどその人の考え方がわかる。


だけど、ボードゲームは基本的にひとりじゃできない。人数がいても、苦手な人や気分じゃない人がいたりして、4人以上で行うボードゲームはなかなか成立しなかった。でも最近はリビングの隅と隅で別のボードゲームをやっているくらい盛んだ。


最近人気なのはカタンかな。何度プレイしても底が見えない。卓が立ちやすいから、繰り返し遊べるものが流行ってるみたいだ。


ボードゲームじゃないけど、パネポンも人気です。


6.畑をやる人は相変わらず少ない


4月に住み始めた新人の子が独りで畑をやっているけど、大きな規模で農業をやろうという感じではない。NPO共生舎の活動内容に「休耕地の有効利用」って項目があるんだけど、あまり今まで出来ていないから、できれば畑を活かそうという人が住んで欲しいなーと思う。「お金があまりかからず住める」というのはそれだけで十分な利点なんだけど、どうせなら他の利点も使ってくれると嬉しいな。でも僕自身あまり畑仕事に精を出すタイプではないので、強くは言えない。


個人的に、初夏ごろプランターにナスとトマトとキュウリを植えた。どうせならいっぱい栄養入れたれ、と思って肥料やりまくったらキュウリは枯れてしまった。1ヶ月くらい山を降りている間に、トマトはどこかに消えていた。ナスは放置していたのにちゃんと実が成った。えらい。品種改良はすごいなぁ。



畑をやる気が起きない原因は、共生舎の畑まで、徒歩30分、車で5分と少し距離があることだろう。共生舎の周りには使われていない空き地がたくさんあるので、それらを貸してもらって畑にできたら、やりたいという人が増えるかもしれない。とりあえず今は土地主が草刈りなどに来たときに、散歩のフリして近づいていって「暑いですね―」とか話しかけることで怪しい集団ではないアピールをしている。


7.リビングに座る場所がない


ご飯できたよーと言われてリビングに行って、自分のをよそってさぁ食べようと思ったのに、座る場所がなくてあたりをうろうろ。数えてみたら、リビングだけで16人いた。ひとつの空間に16人の人間がいるのは凄いことだ。どの方向を見ても人がいる。ここは限界集落だろう。


人が集まる原因はクーラーだ。山奥とはいえ日中はやっぱり暑いので、リビングに人が集まっている時はクーラーをつけている。冷風を求めて、山奥ニートが集まってくる。それでもあれだけの人口密度なのに自分の部屋に戻らないのは、やっぱり居心地がいいんだろう。それは嬉しいことだけど、やっぱりむさ苦しい。


洗濯機やお風呂、食器洗いも順番を待たなければいけない。まぁこれはしょうがないね。洗濯機もう一台買うお金はないし。


8.それでもやっぱり働かない


夏の間は、近くのキャンプ場から仕事をもらっている。山奥ニート内でローテーションして、かわりばんこに行く。内容は主にロッジの掃除だ。職場のおばちゃんはとってもいい人だし、仕事もそんなに辛くない(暑いこと以外は)。時給もまぁ普通だ。


それなのに、行きたいという人が少ない。前日まで誰が行くか決まらないことがよくある。みんな働きたくないらしい。お金に困ってる人が少ないということだから、悪いことじゃない。全員お金なくて仕事の奪いあいになるよりはよっぽどマシだ。


だけど、こんなに人いるのに、仕事が余るのかーとちょっと驚きだ。来年は断ろうか、なんて話も出ている。山奥でできる仕事は貴重なのでもったいないと思うけど、じゃあ僕が毎日出るかと言われると、他にやりたい事がたくさんあるし、という感じでうーん。


執筆: この記事は葉梨はじめさんのブログ『山奥ニートの日記』からご寄稿いただきました。


寄稿いただいた記事は2018年08月10日時点のものです。


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