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ソーダ税が課される前に! 1缶で推奨量オーバー、清涼飲料水の”見えない砂糖”に要注意。


世界の最新医学論文から、現役医師の気になるトピックをお届けします。



「ソーダ税」で甘味飲料の消費が激減!


初夏を感じる気候、炭酸飲料が飲みたくなってきますよね。経産省によるデータでも、炭酸飲料の売り上げはこれから7〜8月をピークに上がっていくことが示されています(※1)。


その炭酸飲料について、ひとつ気になるニュースがあがっています。


「『ソーダ税」で消費4割減=肥満対策でやり玉-米研究チーム」

(時事ドットコムニュース/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018042900319&g=int)


こちらの記事によると、



・米ペンシルベニア州にて、甘味飲料に「ソーダ税」を課税したところ、約2カ月で炭酸飲料の消費は40%、エナジードリンクは64%減少した。


・一方、ボトル入り飲料水の消費は58%増え、「課税を機に、糖分を加えた飲料の代わりに水を飲む傾向が顕著に確認」された。



というのです。


 


いずれ日本も?世界中で導入され始めた「肥満税」


「ソーダ税」、日本ではまだ聞き慣れない言葉だと思います。


しかし現在、生活習慣病対策の一環として、世界的に加糖飲料への課税が進んでおり、他国ではすでに結果が出始めているのです。


加糖飲料だけでなくジャンクフードへの課税を進めている国もあります。それら肥満を増加させ、健康に悪影響を与えるおそれのある飲食品に対しての課税は「肥満税」とも呼ばれ、台湾、ルーマニア、メキシコ、フランス、イギリスなどでも導入されています。


ちなみに、2018年6月現在、日本ではまだ肥満税は導入されておりません。


 



 


自覚なく大量の砂糖を摂取している現代人


飲料、調味料、菓子、その他の数多の加工食品……


「砂糖自体を好んで摂る」という人はあまりいないかもしれませんが、現代では私達は自分でも気がつかないうちに、「砂糖が入っているもの」を摂っています。


しかし、それらはわかりやすい「砂糖」としての姿を現さないため、1日にどれくらいの砂糖を摂っているのか、当然イメージは沸きづらいでしょう。


農林水産省によると、「平成29年10月からの1年間の砂糖(+異性化糖(※2))の消費量の見通しは、一人あたり1日約42.5g(※3)」ですが、これ以外に飲料や加工食品に含まれている砂糖などを含むと、砂糖の正確な消費量を出すことはなかなか難しいです。


 


1缶で推奨量オーバー? 見えない砂糖たっぷりの加糖飲料


糖、とりわけフリーシュガー(飲料や加工食品、調理のときに加える砂糖や果汁、シロップ、蜂蜜を含む。野菜や果物に自然に含まれているものは入らない)は、特に肥満や虫歯と関連しています。


WHO(世界保健機関)では、「フリーシュガーを総エネルギー摂取量の10%未満に抑える」ように強く推奨しています。さらに、「健康増進のためには5%未満(成人で1日25g程度)に抑える」ことも奨めています(※4)。


同様にアメリカ心臓協会でも、「砂糖の摂取は男性36g/日未満、女性25g/日未満」を奨めています(※5)。


しかし、多くの清涼飲料水やエナジードリンクには「1缶(250ml)に25g程度」、「1ペットボトル(500ml)に50g程度」の砂糖が含まれており(※6)、基本の食事分を考えると1缶飲んだだけでも推奨量を超えてしまいそうです。


 



 


砂糖は健康にどんな悪影響を与えるのか?


ではなぜ、これほど砂糖を減らすよう警鐘が鳴らされているのか。


砂糖が健康に与える影響について、過去の研究から以下のことが示されています。




  • 加糖飲料の摂取は肥満と関連あり(※7)


加糖飲料を8週間以上摂取させた2つの研究において、加糖飲料を摂取した群は摂取していない群に比べ、2.73kg体重が増加していた。(8週間未満の研究10つにおいても体重増加と砂糖の摂取は関連あり)



  • 加糖飲料とメタボリックシンドローム(※8)


12の研究のメタ解析では、加糖飲料によりメタボリックシンドロームになるリスクが46%高かった。



  • 加糖飲料は糖尿病のリスク(※9)


11の研究のメタ解析では、加糖飲料を1日330ml飲むことは糖尿病リスクを20%高くしていた。人工甘味料入りドリンクでも、1日330ml飲むと糖尿病になるリスクは13%高くなっていた。



  • 加糖飲料は高血圧にも悪影響(※11)


7つの研究のメタ解析では、加糖飲料を1日1サービング<食物や飲料について「一人が一回に摂る分」としてよくアメリカで使用される、目安の単位(※10)>以上飲む群は、ほとんど飲まない(0.6サービング/月以下)群に比べて、高血圧になるリスクが12%高かった。加糖飲料の摂取が1日1サービング増えるごとに高血圧リスクは8%増加。


人工甘味料入りドリンクでも、1日1サービング以上飲む群はほとんど飲まない群に比べて高血圧になるリスクが14%高く、これは1日1サービング増えるごとに9%増加していた。



以上のように、加糖飲料の様々な健康被害が研究で明らかになっています。


 



 


まとめ−ソーダ税が課される前に、自分で砂糖をコントロール!


まとめると、




  • 加糖飲料は肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧のリスクとなる

  • 加糖飲料への課税は、加糖飲料消費量減少に効果がある



ということです。


暑い日やお風呂上りに炭酸飲料を飲みたくなる気持ちはわかりますが、習慣として飲むならば無糖の炭酸水にしてみてはいかがでしょうか?


コーヒも微糖ではなく、無糖がオススメです。


福田芽森 Fukuda Memori

慶應義塾大学病院 循環器内科勤務。東京女子医科大学卒。日本医師会認定産業医、ACLS(アメリカ心臓協会二次救命処置)インストラクター、JMECC(日本内科学会認定内科救急・ICLS講習会)インストラクター。高校時代にアメリカ、大学時代にベルギーに短期留学。食育アドバイザーの資格も持ち、生活習慣病予防の観点から食育活動も行っている。趣味は登山、芸術鑑賞。

<注釈・参考資料>



  • ※1 総務省「家計調査」(一世帯当たり年間の品目別支出金額(二人以上の世帯))2015~2016年の2年間のデータによる経産省作成資料「飲料の品目別支出金額の季節パターン」より

  • ※2 異性化糖とは、「でん粉をアミラーゼ等の酵素又は酸により加水分解して得られた主としてぶどう糖からなる糖液を、グルコースイソメラーゼ又はアルカリにより異性化したぶどう糖又は果糖を主成分とする液状の糖」と定義(農林水産省 異性化液糖及び砂糖混合異性化液糖の日本農林規格より)。

  • ※3 平成29砂糖年度における砂糖および異性加藤の需給見通し(第3回)「砂糖及び異性化糖の需給総括表」(平成30年3月農林水産省資料)より概算

  • ※4 Guideline: Sugars intake for adults and children. Geneva: World Health Organization;2015.

  • ※5 Johnson RK, Appel LJ, Brands M, et al. Dietary sugars intake and cardiovascular health: a scientific statement from the American Heart Association. Circulation. 2009;120(11):1011-20.

  • ※6 例:レッドブル製品サイトに100mlあたり砂糖11gの記載あり。Dole® オレンジ100%製品サイトに200mlあたり糖質7gの記載あり。

  • ※7 Te morenga L, Mallard S, Mann J. Dietary sugars and body weight: systematic review and meta-analyses of randomised controlled trials and cohort studies. BMJ. 2012;346:e7492.

  • ※8 Narain A, Kwok CS, Mamas MA. Soft drink intake and the risk of metabolic syndrome: A systematic review and meta-analysis. Int J Clin Pract. 2017;71(2)

  • ※9 Greenwood DC, Threapleton DE, Evans CE, et al. Association between sugar-sweetened and artificially sweetened soft drinks and type 2 diabetes: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. Br J Nutr. 2014;112(5):725-34.

  • ※10 明確な定義はありませんがメタ解析の中の一つの論文(J Gen Intern Med. 2012 Sep;27(9): 1127–1134.)では「A serving was defined as a “bottle, glass, or can”.」とされています。また、米国食品医薬品庁(FDA)のChanges to the Nutrition Facts Labelという発表を参考にすると、炭酸飲料で8オンス(約240ml)〜12オンス(約360m)程度と推測されます。

  • ※11 Kim Y, Je Y. Prospective association of sugar-sweetened and artificially sweetened beverage intake with risk of hypertension. Arch Cardiovasc Dis. 2016;109(4):242-53.


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