医療業界でもVRの活用事例は増えており、特に医学生のトレーニング目的での導入が進んでいます。

VRトレーニングはコスト削減やプロセスの効率化などのメリットがあると言われていますが、VRトレーニングには実際どの程度の教育効果があるのか、具体的なデータで測定する実験が行われました。


医学生のVRトレーニングはどの程度効果的?

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で行われた実験では、VRを用いたトレーニングと、従来の物理ベースのトレーニングを行った学生、どちらがスキル習熟度が高いかを調査しました。

実験の結果、VRトレーニングを行った学生のほうが、様々なタスクにおいてより高い習熟度を示し、VRトレーニングの効果を具体的に証明するものとなりました。

VRは従来のトレーニングよりも効果的

この取り組みはUCLAのDavid Geffen School of Medicineにて行われたもので、様々な手術プロセスや器具の扱い方をVRで学習します。

使用したのは医療用VRトレーニングツールの「Osso VR」で、同ツールは既に世界中1,000人もの医師・医学生らが利用しています。

被験者を2グループに分けて実験

実験には20人の医学生らが被験者として参加し、それぞれ10人ずつのグループに分けます。

片方のグループはOsso VRでトレーニングを行い、VRヘッドセットとコントローラーを操作して各タスクを学習します。

もう一方のグループは従来医療業界で行ってきた通常のトレーニング手段を使って学習します。

トレーニング後、被験者は人工の骨を使って、学習したスキルの習熟度を確かめるための試験を行いました。

そして、評価者がそれぞれの医学生のスキルを評価しますが、評価基準となったのは以下の5項目です。

・時間と動きの正確さ

・器具の扱い方

・器具に関する知識

・手術フローおよびプランニング

・それぞれのプロセスに関する知識

すべての項目でVRトレーニングのほうが有効

評価の結果、5つの項目すべてにおいて、VRトレーニングを受けた学生のほうが高い習熟度を達成していることが分かりました。

それぞれの項目において、VRトレーニングを受けた学生のほうがタスクの実行精度が38%高く、また完了にかかる時間も20%短かったとのことです。

この結果によって、VRトレーニングはコスト削減や効率化が図れる上、より高い学習効果をもたらすツールであることが判明しました。

医療でも普及進むVRトレーニング

今回行った実験は、様々な分野の医療プロセスのうち、ごく一部を調査したに過ぎず、今後は更に多くの分野での検証が必要になりそうです。

ですが、VRトレーニングの有効性が実証されたのも確かであり、Osso VRのCEOであるJustin Barad氏は、

我々は、現在のヘルスケア業界が直面している様々な困難を解決しようと取り組んでおり、今回の実験結果はその始まりに過ぎません。我々のゴールは、世界中の患者に向けて、プロバイダーや業界が生み出そうとしている、新しい価値を提供することです。

と述べており、今後はより幅広い医療分野においてVRトレーニングの有効性が証明されていきそうです。



VRが医療にもたらすメリット

医療分野では、主に医学生のトレーニング目的としてVRを活用するケースが目立ちますが、患者に対してもVRはメリットをもたらします。

VR空間でAIアシスタントが患者の状態をチェック

通院治療などの場合、患者が病院にいない間に容態が急変することもありますが、この間医師は患者の状態を知ることが出来ません。

ですが、医療用VRアプリ「Luna」では、AI(人工知能)を搭載したバーチャルアシスタントとVR空間でのやり取りを通じて、患者の状態をリアルタイムで把握します。

Lunaを通じて得られたデータはクラウド上でリアルタイムに共有されるので、患者の状態を24時間チェックすることが可能です。

また、収集したデータをアプリが解析するので、重要な情報をより素早く把握することが出来ます。

VRで歯科治療の痛みを和らげる

また、歯科医での治療は大人でも緊張しますが、子供であれば猶更で、治療室に入るのを嫌がったり、治療中に暴れることもあります。

こうした課題のソリューションとして「BiPSEE歯科VRシリーズ」が提供されています。同サービスでは子供向けに、VR動画で治療を行う歯科医の様子を事前に視聴して、歯科医に対するポジティブな印象を与えます。

この他、緊張しがちな待合室でVRゲームをプレイすることで、周囲の状況や緊張感をほぐすことを目的にしたアプリもあり、子供だけでなく大人にも役立ちます。

まとめ

医療業界では医学生のトレーニング目的にVRが活用されています。

UCLAで行われた実験では、VRトレーニングが実際にどの程度効果をもたらすのか検証実験が行われ、非VRトレーニングを受けた医学生よりも全般的なスキル向上に有効であることが分かりました。

VRトレーニングは、従来のようにトレーニングに必要となる施設や設備などを必要としないためコスト削減が図れるほか、プロセスの効率化などの様々なメリットがあります。

ここに加えて、VRトレーニングが従来よりも有効であることが証明されたことによって、医療業界でのVR普及の追い風になりそうです。

参考サイト:Road to VR









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情報提供元:VR Inside
記事名:「VRトレーニングはどの程度効果的?教育効果を調べる実験が実施