「HoloLens」「Magic Leap One」など、発売中のARヘッドセットの大半は産業用途向けですが、現在では一般ユーザーが手軽に使える軽量のARグラス開発も進んでいます。

一般向けARグラスを開発中で知られるFacebookは、デバイスをより手軽かつ直感的に使うための技術を開発中で、先日は脳波を読み取ってデバイス操作を行う技術について言及しています。


脳波でARグラスを操作する技術、Facebookが開発中

2019年7月30日付でFacebookの技術ブログにて公開された記事によると、同社による独自ARグラスの目標として、「スタイリッシュなARグラスの究極のデザイン」を掲げています。

ここでいうデザインとは外見のみでなく、デバイスの操作方法も含みます。そして有効な操作方法の一つとして、脳波でコンピューターを操作するBCI(Brain Computer Interface)を挙げています。

ARグラスの理想的な操作方法とは

既存のARヘッドセットの操作は、HoloLensのように音声コマンドやジェスチャー操作、またMagic Leap Oneではコントローラーを使用しますが、一般向けARグラスはより快適でハンズフリーな操作方法が必要になります。

というのも、ARグラスは装着したまま外出する機会が増えるため、コントローラーを常に持ち歩くのは実用的でなく、また音声操作にしても、群衆の中でデバイスに向かってブツブツと喋りかけることに抵抗感を抱く人は多いでしょう。

このため、ARグラスでは既存のVR/ARデバイスと異なる操作方法が必要になり、そこでFacebookが注目したのがBCIというわけです。

脳波を直接デバイスが読み取る

BCI技術では、専用のセンサーでユーザーの脳波を読み取ります。それによって、ユーザーは考えるだけで文字をタイプしたり、アプリの起動・操作などが行えます。

ブログでは、

今から数十年後には、ユーザーの脳から直接タイピングを行う機能は広く受け入れられているかもしれません。(中略)少し前までは、このような技術はSFのように聞こえましたが、現在ではそれが実現可能になりつつあります。

と述べています。



開発が進むBCI技術

技術進化に伴ってBCI技術の開発も進み、先日Elon Musk氏が設立した企業Neuralinkが発表したBCI技術は大きな話題になりました。

Neuralinkの技術では、人間の脳に電極を直接埋め込み、思考するだけで電話やスマートフォンを操作できるというもので、主に身体が不自由な人向けの使用を想定しているとのことです。

ですが、健常者のユーザーにとって、手術によって脳にデバイスを埋め込むことは障壁が極めて高く、実用的とは言えません。このため、Facebookは非埋め込み型のデバイス、いわゆる非侵襲性のBCI技術を開発しています。

考えた言葉の7割を検知

同社のBCI技術開発をリードするのはMark Chevillet氏で、元ジョンズ・ホプキンス大学の神経科学部で教授・プログラムマネージャーを務めていた人物です。

現在、Chevillet氏はカリフォルニア大学神経学部のEdward Chang氏と共同でBCI技術の開発を進めており、同氏らによる技術コンセプトでは、ユーザーが思考内で発話した言葉のうち76%を検知出来たとのことです。

この技術は非侵襲性なのでユーザーの体内にデバイスを埋め込む必要はなく、現時点ではまだ限られたレベルでの単語やフレーズのみを読み取れるとのことで、今後さらなる開発改良を進めるとのことです。

プライバシー保護に対する懸念も

音声コマンドすら必要なく、思考のみでデバイス操作できる技術自体は画期的ですが、実用面を考えると様々な課題があり、その代表例がプライバシーの保護です。

Facebookはユーザーが投稿した個人情報を収集していることで度々批判されていますが、ユーザーの思考まで読み取るとなると、プライバシー保護に関する議論は更に白熱するかもしれません。

Chevillet氏は、

この技術に関連するあらゆる倫理的課題を、我々のみで予測したり解決することは出来ません。(中略)神経倫理に関する課題は我々のプログラムの中でも重要な位置を占めています。開発中の技術には常に透明性を保ちたいし、それによって人々がこの技術に対してどう考えているかを知ることが出来ます。

と述べており、今後はFacebookだけでなく、様々な企業・団体を巻き込んでの議論が必要になりそうです。

まとめ

Facebookは独自のARグラスを開発していますが、同社が重要視しているのがデバイスの操作性で、より一般ユーザーにとって便利で、直感的に使える機能開発を進めています。

その答えの一つがBCIで、ユーザーは思考するだけで文章をタイプしたり、アプリの操作が行えます。同社が開発した技術コンセプトは既にある程度の成果を上げています。

まるでSFのような話ですが、10年後にはBCIを使用したデバイスやユースケースが一般的になっているかもしれません。ARが普及した未来を垣間見せてくれます。

参考サイト:UploadVR









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情報提供元:VR Inside
記事名:「考えるだけでARグラスを操作!SFのような技術をFacebookが開発中