VR/ARが活用できる分野の一つに軍事・防衛分野があり、現在、世界各国にてVR/ARの軍事利用の研究が行われています。

同様の取り組みは英国海軍も行っており、ARを活用した新型の戦闘システムを艦船の乗組員向けに開発しています。


英国海軍がARを用いた戦闘システムを導入予定

英国の国防・航空宇宙関連企業であるBAE Systemsは、英国海軍の艦船で使用するAR戦闘システムを開発しており、先日行われたメディア向けの発表会にて公開しました。

このARシステムは、おもに艦船のブリッジの監視官が使用することを想定しており、レーダーやソナーから得られる情報の収集や、乗組員同士の指示伝達をより迅速・効率化することを目的にしています。

ARで、乗組員の業務負担を軽減

ブリッジの監視官の業務は様々な情報を一度に把握する必要がありハードなものになりやすく、ここにARを用いることで業務プロセスを簡略化できるといいます。

BAEで海軍戦闘システムの技術開発を率いるFrank Cotton氏は、

ブリッジの監視官は、専用のヘッドセットを装着するよりも、軽量なARグラスを使うべきだ。

と、述べています。このAR戦闘システムにはマイクロソフトのMRデバイス、HoloLensを使用していますが、将来的にはHoloLensよりも軽量で、かつ装着しやすいデバイスを用いることを計画しています。

まるでSF映画のようなUI

このAR戦闘システムの実用例として、以下のようなものが考えられます。

艦船に乗船している監視官が任務に就くと、HoloLensを装着して、AR表示された専用のUIを通して様々な情報を取得します。このUIはBAEによってコンセプト写真が公開されていますが、様々な情報が空間にAR表示されており、さながらSF映画のワンシーンのようです。

監視官は収集した情報に基づいて判断を下しますが、判断の決定に必要な人員を減らすことが可能になり、より効率的に作業を行うことができます。

AIを活用した正確なデータ分析

また、収集したデータはAI(人工知能)によって分類を行い、その結果が監視官のHoloLens上に表示されます。

この時、もし監視官が実際に見ているものと分析データが一致しない場合、データを変更することもできます。こうしたプロセスを通じて、遠方にある目標が何なのかを、より正確に把握します。

そして、検知した目標が危険なものであると判断した場合、他の乗組員に伝えずにフラグを立てることが可能です。このように、ARを活用することで従来の業務プロセスをより効率的に行うことが出来ます。



実用化には課題も

ですが、実用化にあたっては課題もあり、たとえば海面に太陽光が反射して、その光によってAR表示されたデータが見えにくくなる、といった問題が挙げられます。

BAEが開発するこのAR戦闘システムは、先進的な戦闘システム技術を開発する防衛請負企業への投資として、英国海軍が2,000万ポンド(約30億円)の費用を投じており、今後も更なる改良・開発が進んでいきそうです。

また、2019年からは英国海軍の23型フリゲート艦にて実地テストを行う予定で、2019年後半からは英国海軍すべての軍艦での実戦配備を予定しています。

VR/ARの実用化を進める英国海軍

BAEが今回発表したAR戦闘システムは、既に英国海軍が実用化している技術が基になっており、基盤となる技術は英国海軍のパイロットが使用する「Striker Ⅱ」というHUD付きのヘルメットに採用されています。

Striker Ⅱでは従来のパイロット用ヘルメットよりも進んだ機能を実装しており、たとえば視認する機体が敵・味方なのかをデジタル情報を通じて把握できます。また、従来は数分を要していたストライクゾーンの計算を数秒に短縮することも可能とのこと。

英国海軍ではARやAI(人工知能)の活用を進めると共に、VRにも注目しています。タッチ操作、ジェスチャー操作、音声操作など、これらの技術のうちのいくつかは導入が可能だと、Cotton氏は述べています。

まとめ

英国海軍が導入を検討している、ARを用いた新型の戦闘システムが発表されました。

これはブリッジ上の監視官が、様々な情報を収集して判断を下す際のプロセスをより簡略化、効率化するもので、マイクロソフトのMRデバイスHoloLensを使用します。

HoloLensに表示された専用のUIを用いて情報収集や判断決定を行いますが、まるでSF映画に登場しそうな近未来的なUIのコンセプト写真が公開されています。

従来は、膨大な情報を把握してリアルタイムで指示を下す監視官の業務は大きな負担を伴うものでしたが、ARを用いることによって情報の収集や整理が容易になり、かつAI(人工知能)を用いることでデータ分析も効率的に行えます。

VR/ARは軍事分野においても活用が進んでいます。近い将来、現場で活動する兵士や乗組員がヘッドマウントディスプレイを装着するのが当たり前になる日は、そう遠くないのかもしれませんね。

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情報提供元:VR Inside
記事名:「ARを用いた戦闘システムを英国海軍が2019年から配備予定