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倫理なきVR・ARデザインはディストピアを招く


海外メディアYourStoryは、VR・ARデザインと倫理の関係に関する記事を掲載した。


映画「Wall-E」のディストピア的なシーン画像

映画「Wall-E」のディストピア的なシーン画像


「リアル」でないからといって全てが許されるわけではない


同メディアは、2017年11月10日から11日までインド・バンガロールで開催されたUIデザインに関するカンファレンスDesignUp conference 2017において、UIデザイナーにして以前Magic Leapのインタラクション・デザイン部門でシニア・ディレクターを務めていたAlysha Naples女史の講演内容を掲載した。


人間性を奪うARデザインの事例


同女史は、UIデザインにも倫理観が伴ってなければ、デバイスを使用するユーザの人間性を奪うことを力説していた。


同女史は、人間性を奪うARデザインの事例をふたつ挙げた。ひとつめは、すでに有名となっている過剰なAR社会を風刺した動画「HYPER-REALITY」だ。



同動画は、ARが過剰に進化し、ヒトが眠らないかぎりAR表示された情報が大量に押し寄せてくる様子をリアルに表現している。同動画は、見るもの全てにAR広告が付加され、ARオブジェクトに絶えずリアクションを求められる日常生活が果たして快適で人間的か、と問いかけている。


好ましくないARデザインのもうひとつの事例は、映画「Wall-E(ウォーリー)」のなかで描かれる人類の生活だ(トップ画像参照)。同映画では、人類は汚染された地球を放棄し宇宙船で生活しているのだが、人々は一人乗りの移動式イスに乗り、顔の正面にあるARディスプレイを見つめ続けている。ほとんど動く必要のない生活になっているので、人々はみな肥満だ。そして、生活のほとんどをARディスプレイの操作に費やしている。


「HYPER-REALITY」で描かれた社会と映画「Wall-E」における人類の生活は、利便性や快適さを求めた結果、生まれたものと理解できる。そして、この利便性や快適さの追求は、リアルな社会でも行われることなのだ。それゆえ、同女史が事例として引用したものは、決して現実社会と無縁なものではない。


もっとも、以上のような行き過ぎたAR社会が実現する可能性は低いと思われる。しかしながら、近い将来、AR広告が大挙して押し寄せて来る時代の到来は想像に難くないだろう。その時、どのように人間性を守るかは、ARデザインにかかっているのだ。


VR空間は無法地帯ではない


同女史は、VR空間における危険性にも警鐘を鳴らした。その危険性とは、VR空間における犯罪行為だ。


VR空間における犯罪行為の事例として、同女史はVRアクションゲーム「QuiVr」のプレイ中に起こった痴漢行為を報告した。


同ゲームは、弓を武器にして戦うマルチプレイのアクションゲームなのだが、ある女性プレイヤーはプレイ中に男性と思われるプレイヤーに過剰に接近され、バーチャルな痴漢行為を受けたと感じた。VR空間内での出来事なので、無論、リアルに触られたという感覚はない。しかしながら、一線を超えて接近されるという体験は、たとえVR空間内であっても不快や苦痛を感じるものである。


この女性は、自分の身に起きたことを同ゲームを開発したゲームスタジオに報告したところ、同スタジオはプレイヤーどうしが過度に近づけないようにする新機能「フォース・フィールド」を実装して事件の再発を防いだ。


VR空間内でのエチケットあるいは倫理は、これから真剣に考えなければならないことである。というのも、今後VRが普及するにつれて、ソーシャルなVR体験をする機会が増えることが予想されるからだ。VR空間はリアルとは違うとは言っても、何をしてもいいわけではない。むしろ、VR体験は従来のメディアに比べて圧倒的にリアルに近いからこそ、リアルと同じようなエチケットと倫理が適用されてしかるべき、と考えることもできるのではなかろうか。


VR・ARの倫理をめぐる議論


VR・ARの倫理をめぐる議論に関して、本メディアでも過去記事で報じている。


ARとプライバシー



2017年2月25日にアメリカ・ニューヨークで開催されたカンファレンス「Version2017」で実施されたパネル・ディスカッションでは、「ARとプライバシー」について論じられた


ディスカッションでは、作家兼ハーバード大学所属フェローのJudith Donath女史が、2010年にニューヨークタイムズ年間ベスト作品に選ばれたSF小説「スーパー・サッド・トゥルー・ラブ・ストーリー」を引用しながら、次のような問題提起をした。


同小説では、ヒトにかざすだけで、そのヒトの個人情報から性的魅力度といった測定が困難なコトまで全て数値化してAR表示するデバイスäppärats(アパラット)が登場する。そして、今日のARテクノロジーにも、潜在的にアパラットのようにプライバシーを裸にしてしまう危険性がある、と同女史は指摘した。


VRの倫理規範


海外メディアMother Boardは、ドイツにあるヨハネス・グーテンベルク大学マインツの哲学者Michael MadaryとThomas Metzingerが提唱したVRを利用する際の倫理規範を紹介した。その倫理規範とは、以下のような6項目にまとめられる。



  • 1. 実験対象に害を与えない

  • 2. 実験が持つ行動に対する影響について説明する

  • 3. 過剰な宣伝を避ける

  • 4. 二次的利用の制限

  • 5. 商業VRにおけるプライバシーの確保

  • 6. 広告におけるプライバシーの確保


VR・ARの可能性を正しく広げるためにも、今後VR・AR利用に関する倫理規範の議論を真剣に行うべきだろう。


ソース:YourStory

https://yourstory.com/2017/11/design-without-ethics-vr-ar-will-lead-dystopia-says-alysha-naples/


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