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VRヘッドセットが産業用ロボットによる動作の学習を促進する


VRヘッドセットを使ってロボットを教育する

VRヘッドセットを使ってロボットを教育する


工業の世界では、しばしばVRヘッドセットが活用されている。新人エンジニアが精密機械の組み立てやメンテナンスを安全に学ぶためにVRを使う方法は有効であり、自動車メーカーでは異なる国にある支社のエンジニアがバーチャル空間に集まって新製品のデザインを検討している。


人間の従業員を教育するために使えるVRヘッドセットは、産業用ロボットに複雑な動作を教えるときにも利用できるようだ。ただし、VRヘッドセットを付けるのはロボットではない。教育を担当する人間が、VR映像を見ながら動作を教えるのだ。


ロボットの教育にVRデバイスを使う


ロボットの学習をVRで支援する

ロボットの学習をVRで支援する


スタートアップ企業Embodied Intelligenceの創業者であり代表も務めるPieter Abbeelは、VRヘッドセットが産業用ロボットの教育を効率的に進めるための道具になると考えている。VRを活用することで、より短い時間で、より複雑な作業を教え込むことができるようになるかもしれない。


AIの学習を助ける


Embodied Intelligenceの開発しているソフトウェアは、AIを活用して産業用のロボットアームに新しい動きを覚えさせることが可能だ。VRヘッドセットとハンドトラッキングコントローラーを使う教師役の人間が行った動作を、同社のソフトウェアが真似ることで学習していく。


人間がVR映像を見ながら取った動作と同じことを、ロボットが実行する。この方法の優れた点は、ユーザが実現したい動作を簡単にロボットに伝えられるところだ。複雑なプログラムで人間の動きを表現しなくても、トラッキングされた動作そのものをAIが模倣してくれる。


効率的な学習


これまで、ロボットアームに新しいものを掴む方法を覚えさせるには反復が必要だった。何度もアームを動かしてみては失敗して、「失敗した理由」を見つけ出して避け、最も上手くいく方法を学ぶ必要があったのだ。


強化学習と呼ばれるこの方法は有効だが、繰り返しが必要になるのが難点だ。新しい作業を正しく実行できるようになるまでには、長い時間がかかる。


その点、Embodied Intelligenceの方法は効率的だ。最初に人間が手本を示すことで、ロボットは正しい動きを覚えられる。目標とする動きを知っている状態で強化学習を行えば、上達は早くなる。人間が新しいことを学ぶのとよく似た構図だ。


より複雑なロボットにも?


Embodied Intelligenceが現在扱っているのは、シンプルなロボットアームだ。彼らが特に力を入れているアーム本体の動きはやや複雑だが、「手」に至っては開いている状態と閉じている状態しかない。人間の手ほど複雑な動きはできないが、それゆえ扱いを学ぶのも簡単だ。


同社は手の動きではなく、腕の位置や角度の調整をAIに教えることに注力している。正しくものを掴むためには掴みたいものに合わせて腕の伸ばし方を細かく調整しなければならず、この部分がロボットにとって難しいようだ。


この腕の動きを教えるには、VRデバイスが都合が良い。ハンドトラッキングコントローラーを使うことで人間の手の位置や向きを伝えられるため、見本を示しやすいのだ。


学習の効率化が進めば、より複雑な動きが可能なロボットの教育も可能になっていくだろう。現在のVRデバイスでは手の動きまでしか伝えることができないが、フィンガートラッキングデバイスを使えば人間の指先を使った繊細な動きも同様に教えられるはずだ。


ロボットの操縦もVRで


ロボットアームをVRで操作する様子

ロボットアームをVRで操作する様子


Embodied IntelligenceはAIに動作を学習させることで、ロボットが自動的に決められた作業を進められるようにしようとしている。同社の方法の長所は、一度動作を教えてしまえば人間がロボットアームを操作する必要がないところだ。製造業のラインをロボットに任せて従業員を減らせば、人件費を抑えて製造コストを下げることが可能となる。


一方で、VRデバイスを使って人間がロボットを操縦する方式の研究も進められている。定型的な作業は自動化したいところだが、AIには判断が難しい作業は人間が行った方が効率が良いだろう。


人間以上の力を発揮するロボット


操縦者が必要となるため人件費の削減はできないが、この場合は人間の能力をロボット技術とVR技術が拡張するというイメージで捉えるのが良いだろう。高所での作業や毒性物質を扱う作業をロボットに行わせたり、一人では運べない重い物を運んだりといった用途での活躍が期待される。


ロボットの操作が比較的簡単になることもポイントだ。VRヘッドセットとハンドトラッキングコントローラーを使うことで直感的に操縦できるため、オペレーターの学習に要する時間も短縮できる。


AIの苦手なこと



ロボットに同じ作業だけを繰り返し行わせるなら、AIが新たなことを学ぶのにかかる時間を気にする必要はない。定形の製品を製造する工場のオートメーション化は進んでおり、これはロボットの得意分野だ。


だが、ロボットに様々な作業を行わせたいならば彼らの学習効率が低いことがネックとなる。単純な強化学習によってAIが新しい動きをマスターするまでには長い時間がかかるため、作業量次第ではAIに教えるよりも方法を知っている人間が済ませた方が早いということもあるだろう。


最近のAIは、紐を認識して結ぶといった動作も覚えられるようになっている。Embodied Intelligenceの技術によって学習時間を短縮できれば、今以上に多くの仕事を任せられるようになるはずだ。


AIに作業を代わってもらうためにも、人間がロボットを操縦するためにも、VRデバイスは利用できる。発展を続けるVR技術を組み合わせることで、産業用ロボットはさらに便利で頼れる存在になっていきそうだ。


 


参照元サイト:IEEE Spectrum

参照元サイト:Quartz


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