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【JVSR3】VR市場の将来を悲観する必要はない!ソニー、MS、HTCによるJVSR3セッションレポート




2017年10月12日、VRをグリー株式会社と一般社団法人VRコンソーシアムが主催、日経BPが共催するイベント「Japan VR Summit 3」(JVRS3)が東京ビッグサイトで開催された。


イベント内容はXR関連技術やプロダクトを取り巻く市場環境について、各業界の第一線で活躍する人物がそれぞれの立場から語るというもの。XR市場の将来的な変動を予想する上で、様々に示唆に富む話を聞くことができた。


当日開催されたセッションの中から、本記事では「グローバルVR/AR市場 12兆円市場へのロードマップ」についてその内容をレポートする。


登壇者紹介




当日のセッション登壇者は以下の通り。

(写真左から順に)


[モデレーター]

一般社団法人コンソーシアム代表理事:藤井 直敬氏


[パネリスト]

ソニー・インタラクティブエンターテイメント グローバル商品企画部担当課長:高橋 泰生氏


日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員本部長:三上 智子氏


HTC Corporation VP / VR New Technology:レイモンド パオ氏


パネリストによる会社紹介


セッション冒頭、まずパネリストが自社のVRプロダクト・サービスの展開と今後の狙いについて、それぞれ紹介をおこなった。



高橋氏はVR分野におけるソニーの動向として、従来機よりもユーザビリティを向上させたPSVR最新モデルを新価格で発売開始したことに触れた。また今後のPSVRの狙いとして家庭以外でもVRを楽しめる環境づくりを目的に、ロケーションベースVR開発への意欲も覗かせていた。


三上氏はマイクロフトが開発するMRヘッドセット「Hololens」を取り上げ、同製品が業務用途で多く使われていることなどを説明した。またマイクロソフトはARとVRを組み合わせた「MR」の市場展開に期待しているとして、「Windows Mixed Reality ヘッドセット」のリリースを通じて「MR」のプラットフォームとしての役割を担っていきたいとも語っていた。



パオ氏はVRヘッドセット「VIVE」を中心に、HTCがVRコンテンツプラットフォーム「 VIVEPORT」やVRコンテンツ開発会社「VIVESTUDIO」などを構成要素とする、独自のVR市場のエコシステムの形成を狙っていると語った。またIDCのVR市場調査レポートから、VRコマース分野の成長率が高いことを指摘した。同分野が今後のVR市場における成長の要となると考えているようだ。


市場の伸びがスローであることへの悲観的な意見に対して一言




藤井氏はまず、VR市場が幻滅期に入ったことを指摘する。その上でパネリストらに「VR市場の成長に対して悲観的な見解を持っているか?」と問いかけた。


するとパネリストは全員「No」と回答した。


たとえば三上氏は2、3年後にはXR市場について、AR市場/VR市場といったカテゴライズで区切る意味自体が消失するのではないかと指摘。一般的には先端技術とみなされているVR技術が日常生活上で一般化すること、、また、スクリーンから抜け出したイマーシブ体験が一般化すると予測した。


またパオ氏はVR市場成長のためのエコシステム形成の重要性を再度強調し、そのためにHTCがVRコンテンツプラットフォ―ムを作っていることを指摘した。


VRが日常生活に浸透するためには?




VR市場が拡大を遂げていくためには、当然VRユーザー数を増やすことが大切だ。その延長線上で生じる問いとして、日常生活にVRが溶け込むためには必要なこととは何だろうか。


この点に対するパネリストの反応は様々で興味深いものがあった。


まず高橋氏はVRヘッドセットの「被る」という動作は、VRに慣れていない人にとっては障壁として働いてしまう可能性があると懸念を示した。その上で、VR普及のアプローチとして、「人々の日常に溶け込む」ことを目指すのではなく、「VR体験が演出する非日常感を前面に押し出す」という市場戦略もありえると述べた。


これに対してパオ氏は、VR普及のロードマップには大別して2つの方向性がありうると指摘する。1つが教育・医療を含む「専門機関・エンタープライズ向け」に売り込むこと、もう一方がゲームなど「コンシューマ向け」に売り込むという戦略だ。パオ氏はこの2つの戦略をそれぞれ大事にしていくことの重要を説く。要するに「人々の日常生活に溶け込むにはどうすればいいか」を考えることも大事だが、「専門機関・エンタープライズ向け」VRにおける需要の大きさも見逃してはならないということだろう。



こうしたパオ氏の考えには三上氏も賛意を示す。ゲームを始め日常生活で十分楽しめるコンテンツを制作できるかということも大事だが、コマーシャル分野、業務分野、BtoB BtoC系の市場の盛り上がりにも注目すべきだ、と述べた。


相互にプラットフォームを褒め合う場面も




セッション中には藤井氏の促しに応じて、各パネリストらがお互いのプラットフォームがもつ特徴点を挙げ、その魅力について語るという一幕もあった。


たとえば高橋氏はWindows MRヘッドセットの使用感として、ヘッドセット使用時に細かい設定をする必要がなく、PCにプラグインして繋ぐだけで使用できる点を評価した。これにより一般ユーザーがVRに触れるハードルをぐんと下げたのではないか、とも指摘した。


このほか三上氏はHTC VIVEをVRプラットフォームのイノベーターと位置づけ、エコシステムに対して大きなインパクトを与えたと語り、またパオ氏はPSVRのIPコンテンツをクリエイティブだと評し、リリースされる度に感銘を受けていると述べた。


「日常生活への浸透」をそこまで重視しなくても良い?


最後に藤井氏は、VRが人間の生活を根底から変える。世界に対して、今までにないインパクトを与える可能性があることについて触れつつセッションを総括した。


個人的にセッション全体で一番収穫だったのは、VR市場におけるシェア拡大を目指すプレイヤーの戦略として、「日常生活に技術が浸透した状態」をビジョンとして掲げる必要は(少なくとも現時点では)無いかも知れない、と気づきを得られた点だ。


パオ氏や三上氏が述べたように、VRの成長分野はゲームだけではない。専門機関・エンタープライズ向けのVRコンテンツ展開、またコマース分野へのVR技術への応用といった取り組みを通じて市場拡大の道を模索する必要もあろう。


もちろんこうした選択肢はコンシューマ向けのハードウェア・コンテンツをVR分野でのメイン事業とするソニーにとっては容易く採用できるものではない。


結局は「専門機関・エンタープライズ向け」、「コンシューマ向け」のVRコンテンツ・サービス市場が共生し、共に成長していくこと。これがVR市場が「12兆円市場」へと発展を遂げる上で鍵となるだろう。


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