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気候の変動が与える健康への脅威とは?「子どもの健康問題としての気候変動セミナー」開催


世界各地で起きている異常気象。過去10万年の中で最も高い気温を観測し「地球沸騰化」という言葉を国連のグテーレス事務総長が発言していることは記憶に新しい。

2023年の夏は日本国内でも異常な程の暑さを記録。北九州市では桜の花が一部開花するなど、異常気象による影響は身近なところでも起きている。

この異常気象が我々人間にもたらす健康への影響について、気候変動と健康に関する国際共同研究事業である「ランセット・カウントダウン(Lancet Countdown)協力のもと、日本初となるLancet Countdown 2023 Japan プレゼンテーション「子どもの健康問題としての気候変動セミナー」が都内で開催された。

 

東京医科⻭科大学・⻑崎大学が共同主催する「子どもの健康問題としての気候変動セミナー」開催

本セミナーは世界的医学誌「ランセット(The Lancet)」が主宰する、気候変動と健康に関する国際共同研究事業「ランセット・カウントダウン(Lancet Countdown)」が協力。

東京医科⻭科大学と⻑崎大学が共同で主催し、日本で初の開催となる「Lancet Countdown 2023 Japan プレゼンテーション」を開催。第1部では気候変動と特に子どもへ与える健康問題などについてのセミナー、続く第2部ではランセットの最新報告や事前に行ったアンケート調査の結果等をもとに、登壇した専門家たちがパネルディスカッションを行った。

ランセットが2015年から行っている「ランセット・カウントダウン」を日本で開催するのは初となる。

はじめに登壇した⻑崎大学 プラネタリーヘルス学環⻑ 教授を務める渡辺知保氏が挨拶し、ランセットカウントダウンの紹介や、気候変動と子どもの健康問題の因果関係などを指摘しつつ、

「今回のセミナーの中では、気候変動を子どもの健康問題として捉えようという1つの意志があります。子どもは様々な環境要因に左右されやすい。環境の変化に対する防御の仕組みがまだ十分に整っていないということもありますし、成長の過程で環境の要因が大きな影響を与えてしまう。」

と、子どもには特に強い影響を与えると説明。

気候変動を単なる「環境問題」として捉えるのではなく、私たち大人自身や子どもたちへの健康に大きな影響を与える問題だということを知ってもらいたいと話した。

セミナーの第1部では、オーストラリアのシドニー大学で暑熱と健康 教授を務めるオリー・ジェイ(Ollie Jay)氏がオンラインで登壇し、ランセット・カウントダウンの「健康と気候変動に関する2023年報告書」を解説する基調講演を行った。

オリー・ジェイ氏の解説を聞いていくと、ランセット・カウントダウンの報告でも、やはり世界各地で多大な影響が出ていることが裏付けられていた。さらにこの気候変動が、人にも大きな健康被害を与えていることも解説している。

特に貧困世帯や外で働く「農家」を営む方へ、多大な影響が出ていることも分かった。

その後は東京大学大学院 医学系研究科 国際保健政策学 教授の橋爪真弘氏が登壇し、日本ではどのような気候変動とそれに伴った健康への影響があり得るのか、についてを解説した。

「日本でも様々な健康への影響が懸念されています。例えば食糧共有が低下することで低中所得者の栄養状態の悪化、猛暑による熱中症の増加、異常気象による災害による負傷や亡くなる可能性、さらにメンタルヘルスへの悪影響が考えられます。」

と解説。

上記が気候変動による健康影響だ。

気温上昇について話した橋爪氏。厳しく対策を行えば今世紀末、つまり2100年頃の気温上昇は1.9度程度の上昇で収まると予測されているものの、このまま何も対策を取らなければ今世紀半ばには2.1度、今世紀末には4.8度もの気温上昇率となってしまうことになる、という予測も発表した。

日本ではあまり流行らないデング熱を媒介する可能性がある「ヒトスジシマカ(藪蚊)」の生息域の拡大も懸念されている。

2000年頃には秋田県、2010年頃には青森県にまでヒトスジシマカが生息域を拡大。対策を講じない場合、2100年頃には北海道にまで生息域を広げる可能性も示唆された。

デング熱は基本輸入症例がメインだが、今後潜在的な流行のリスクは高まってしまっている。

 

第2部では子どもへの悪影響を考えるパネルディスカッションを開催

第2部では、第1部で登壇した渡辺氏と橋爪氏が引き続き登壇。

さらに東京大学 大気海洋研究所 准教授の今田由紀子氏と、モデレーターの日本医療政策機構 副事務局⻑の菅原丈二氏が登壇。一般社団法人 みどりのドクターズ 代表理事の佐々木隆史氏、東京医科⻭科大学 国際健康推進医学分野 教授の藤原武男氏がオンラインにて参加した。

パネルディスカッションでは、今年の夏は異常だと感じた方は81.3%にも及ぶことがわかり、グテーレス事務総長の「地球沸騰化」という言葉にもおよそ7割以上の方が賛同する回答を出している。

しかし「今年の暑さが子どもの健康を損なう危険性を感じたか?」という質問には「感じた」と回答した方は57.6%と、およそ半数を少し超える程度となった。

スライドを紹介した佐々木氏は、

「農作物や気温・海水面への影響はあると感じている方は多いものの、健康にはあまり影響を与えていないと感じている方が多いのかな、という結果となりました。」

と発表。

これに今田氏は、

「気象学者の視点でも、今年の暑さは異常。(この気候変動が)健康へどう影響を与えるのかという意見は興味深いですね。私自身も子どもが2人おりますので、子どもへの影響というものを“想像”しながら考えることで、問題意識が高まるのではないかと思いますね。」

とコメントした。

特に子どもは成長過程で影響を受けやすい。しかし過度に保護をするのもよくはないと今田氏は語っている。

部屋から一歩も出さずに涼しい空間で過ごさせていては、せっかくの教育・アクティビティのチャンスがなくなってしまう。

さらに、今以上に気候変動により異常気象が起きれば、そのチャンスはどんどんと減ってしまうのだ。

このパネルディスカッションでは、登壇者が特に重視したのがこの「想像」だ。

渡辺氏も

「虫・魚・植物にも大きな影響が出ています。これらへ起きている影響は、私たちにも当然影響があるんだと“想像力”を持って考えて欲しい。」

と投げかけている。

「2100年は遥か未来のこと」のように思えるが、“自分の子どもが今から生きて到達する時代なのだ”ということを忘れず、気候変動とそれに影響する健康問題を、他人事ではなく自分事として考えていく必要がある。それは筆者も含めた全ての日本人、さらにこれから子どもが生まれる・子どもを育てている夫婦こそが想像して考えていく必要がある。

 

気候変動の影響は、昨今のゲリラ豪雨や異常気象でも感じられたはず。しかし、それが健康に直接影響を及ぼすと感じた方は日本人にどれくらいいただろうか?

皆さんも、気候変動は環境の変化だけではなく「私たちの健康に悪影響を与える」「子どもには特に影響が大きい」ということを知って、地球温暖化について今一度想像力を持って考えてみて欲しい。

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