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「帰宅部」とは私たちが思っていたよりも奥深いのかもしれない


「帰宅部」とは私たちが思っていたよりも奥深いのかもしれない(画像:photoAC)

 特定の部活に属さない中高生を世間では「帰宅部」と呼ぶことがあります。帰宅部の人は部活動などがないため「放課後はただ帰宅するのみ」というのが一般的考え方。

 しかし当事者の中にはちょっと違う捉え方を持つ人たちもいるようなのです。帰宅部とは「いかに家まで短時間で帰り着けるか」を追求する部である……と。目標は常に「自己ベストの更新」。

■ 最短時間で帰宅できる方法を追求

 実は筆者もつい先日までこの件については知りませんでした。知った理由は中学生の姪っ子から来たLINE。

 「帰宅するのでタイムを計って欲しい」という依頼でした。思わず「どういうこと?」となったのは言うまでもありません。

 姪が中1の頃から「帰宅部」というのは知っていました。詳しく聞くと、これから出先から一人で帰宅するため、自分以外の人にも念のためタイムを計って欲しい。という依頼でした。移動中に誤操作でタイマーを止める可能性を考えてのことだと言います。

 ここまで聞いても頭の中は思わず「?」で一杯でしたが、どうやら普段から帰宅時には「最短ルート」「最短時間」を意識して行動しているそうです。つまり、本人にとっては「帰宅」自体が一種の競技みたいなもの。

 この日は交通機関を使用しての移動だったため、時刻表、電車のドアの配置(階段やエスカレーター付近で開くドアを調べるため)、乗り換え駅の構内図(どのルートを通れば最短距離かを調べるため)も駆使しての移動プランが組まれていました。なお、彼女のルールとしてどれだけ時間がなくとも「乗り換え時にダッシュはしない」というものもあるそうです。あくまで安全に帰ることが重要なのだとか。しっかりしてるなぁ。

 それでも思わず「電車アプリを使えば簡単なんじゃ」と提案したところ、アプリは乗り換え時間に10分ほどの余裕が設定されているため、自分で調べて行動する方が1分でも早くつく、という見解。

 なるほどそうなんだ。そして「そこまでするのはもはや乗り鉄部じゃ……」と思いつつも、サポーターかねてこの日の移動はLINEを通してみまもったのでした。ちなみにこの日は「自己ベスト」が更新できたそうです。

■ 他にもいた!帰宅時間を追求する「帰宅部員」

 これは姪っ子に限ることなんだろうか?気になったのでSNSで「帰宅部 帰宅を追求」などの単語で他にもいないか調べてみたところ……。いました。古いものだと2012年。

 どうやら「帰宅部」の中には昔から帰宅そのものを追求する人たちが一定数いたもよう。また「帰宅部」には「普通に帰る」以外に、特徴ある2つの流派があることもわかりました。

【帰宅部流派】
・帰宅時間を追求する派
・帰宅までの時間にどれだけ寄り道して楽しむかを追求する派

 まず「帰宅時間を追求する派」の意見を見ていくと、「帰宅部とは帰宅時間を追求するもの」「(社会人になった今では帰宅部時代の活動をいかし)どれだけ早く帰れるかを追求している」「己の限界まで迅速に、かつ美しく安全に帰宅するのが帰宅部」などの見解が記されていました。

 どうやら「帰宅時間を追求する派」の中にも、さらに「走る派」「走らず爽やかに(美しく)帰宅する派」などの分派もあるようです。ただし共通事項もあり「安全に帰ること」。どうやらこれは大原則。

 一方の「帰宅までの時間にどれだけ寄り道して楽しむかを追求する派」の人たちは、どのルートを帰って寄り道するか、買い食いするか、かける時間の割合など「楽しさ」を追求。これも「安全に帰ること」が大原則。

 ただ帰っているだけなのに……この2派だけでも「安全に帰ること」以外その特徴は大きく異なります。いつの頃から「普通に帰る」から枝分かれしたのか知るよしもありませんが、帰宅自体に意義を見いだすというのは時間を持て余しがちな「青春時代」ならではの発想。これはこれで有意義な青春の過ごし方。

 また先に紹介した意見にもあるように、帰宅部OB・OGたちの中には現在でも「帰宅時間」を追求する人が存在しているようです。学生時代の部活といえば引退したらハイ終わり、というのが大半ですが、大人になっても続けられるという意味では、「帰宅部」での経験は一生役立つ貴重なものなのかも?しらんけど。

(宮崎美和子)

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