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凍ったフロントガラスを安全に溶かすには?有効な方法とやってはいけないタブー


東京23区で大雪警報が発令されるなど、日本各地で厳しい寒さが続いています。

朝、車に乗ろうとすると「フロントガラスが凍結していた」という方も少なくないでしょう。

こんな時、大雪に慣れていない地域だと、どう対処すればいいのか意外に分からないものです。

安易にお湯をかけてしまうと窓ガラスが割れてしまう恐れもあります。

そこで今回は、車のガラスが凍結した際にやってはいけないことや、誰でも簡単かつ安全に凍結を溶かす方法について見ていきます。

目次

  • フロントガラスはどうして凍結するのか?
  • アルコールをかけると簡単に溶ける!ただし注意点も

フロントガラスはどうして凍結するのか?

フロントガラスが凍結する原因とは?
フロントガラスが凍結する原因とは? / Credit: canva

冬は空気が乾燥していますが、なぜそうなるかというと気温が低いと空気が保持できる水蒸気量が低下するためです。

空気中には常に一定量の水蒸気が含まれていますが、空気が保持できる水蒸気の量には限界があり、これを「飽和水蒸気量」といいます。

そしてこの飽和水蒸気量は、気温とともにどんどん下がっていくのです。

飽和水蒸気圧曲線
飽和水蒸気圧曲線 / Credit:Wikipedia

そして冬の夜には「放射冷却」という非常に気温が下がる現象が起こります。

これは、昼間に太陽光から受け取った地表の熱が、夜間になって空気中に逃げることで地表の温度が急激に低下する現象を指します。

この効果は積雪がある場合、より強くなります。空気を含んだ雪は断熱効果が高く地面の熱を封じてしまう上、冷えた表面からの赤外線放射は大気中の熱を宇宙空間へ逃してしまうためです。

冷えて飽和水蒸気量が下がった空気中では低温で結露が発生します。これが車のガラスの表面上で凍結し、霜を作り出すのです。

そのため大雪が降ったりする冬時期は放射冷却の作用と相まって、路面やガラスがカチカチに凍りやすくなるのです。

フロントガラスの凍結時にやってはいけないこと

「急いで出社しないといけないのに、車のガラスが凍っていた…」

早朝からこんなにテンションが下がることはありませんね。

しかもガラスが凍結したまま車を走らせると、視界が悪いので事故リスクも高まりますし、霜を放置すればワイパーのゴムを破損させたりフロントガラスを傷つける原因にもなります。

凍結を溶かす際のNG行動とは
凍結を溶かす際のNG行動とは / Credit: canva

そこでガラスの凍結を溶かす必要があるわけですが、ここであまり雪や寒さに慣れていない人がやりがちな誤りが「熱湯をかける」という行為です。

簡単に手早く氷を溶かせると思って熱湯をかけてしまうと、急激な温度差が発生し、ガラスの一部分だけが熱膨張を起こします。

すると、その膨張した部分が冷たいままの周辺部との圧力差に耐えられなくなって、ガラスを劣化させたり破損させる場合があります。

では、誰もが安全かつ簡単にできる正しい対処法とはどんなものでしょうか?

アルコールをかけると簡単に溶ける!ただし注意点も

凍結にはアルコールが効く?
凍結にはアルコールが効く? / Credit: canva

まず最も安全で確実な方法は、車のエンジンを始動させて暖房で車内を温めながら「デフロスター」をかけることです。

デフロスターとはダッシュボードの吹き出し口から温風を出してくれる機能で、どの車にも付いています。

これでおおよそ10〜15分ほどで凍結はなくなります。

しかし「会社に遅れるので15分も待てない」という場合もありますよね。

そんな際に手軽にできるのが「ぬるま湯をかける」ことです。

だいたい15〜30℃のぬるま湯であれば、熱湯のような膨張を起こすことがないので、安全に凍結を溶かすことができます。

ただし気温があまりに低いときは、ぬるま湯がかけた瞬間に凍ってしまい状況を悪くするだけになってしまいます。

加えて、15〜30℃という微妙な温度調節も面倒でしょう。

そこでオススメされるのが「アルコールと水を混ぜたスプレー」です。

これはアルコールの特性を活かした方法であり、アルコールは水よりも氷点温度が低く、0℃では凍らないので、ガラスの凍結を効果的に溶かしてくれます。

具体的な方法としては、一般的な消毒用アルコール(濃度70%)と水を2:1の割合でスプレー用ボトルに入れて、窓ガラスに拭きかけます。

今のご時世であれば、家庭に消毒用アルコールを常備している方も多いでしょうから、時間をかけずに手早く準備できます。

雪国でもないのに突然の積雪と低温で、朝フロントガラスが凍っていたと慌ててしまった場合は、有効な手段かもしれません。

同じ原理を利用して商品化したのが「解氷スプレー」なので、大雪が降りそうな時期のために1本常備しておくのもいいかもしれません。

アルコールスプレーを使う際の注意点!

一方で、アルコールスプレーの使用にも一定のリスクがあります。

特にアルコールにはゴムを傷めたり、車の部品を劣化させる作用が少なからずあるため、注意が必要です。

そこでアルコールスプレーを吹きかける際は、ワイパーを立てた状態にするか、タオルで覆うなどしてアルコールが付着しないようにしましょう。

また解凍し終わった段階で、ガラスに残った液体を拭き取っておくと完璧です。

それから窓ガラスの際に残った霜などは、クレジットカードをうまく使うとこそげ取れるようなので、少し集めの不要なカード類が家にある場合は、ライフハックとして活用してみるといいかもしれません。

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参考文献

How can I get ice off my car? An engineer who studies airborne particles shares some quick and easy techniques
https://theconversation.com/how-can-i-get-ice-off-my-car-an-engineer-who-studies-airborne-particles-shares-some-quick-and-easy-techniques-220818

This trick will defrost your windshield in seconds (and other snow hacks)
https://foxsanantonio.com/this-trick-will-defrost-your-windshield-in-seconds-and-other-snow-hacks

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

海沼 賢: 以前はKAIN名義で記事投稿をしていましたが、現在はナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

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