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文鳥は「目ヂカラ」を強くして恋人に「繁殖準備OK」のサインを出していた


文鳥は好きな相手といると、目ヂカラが強くなるようです。

文鳥の目は羽のないピンク色の皮膚で囲まれており、この部分は「アイリング」と呼ばれています。

しかしこれまで、文鳥のアイリングに何かの機能があるのか、仲間との交流や繁殖に役立つのかどうかは不明でした。

そんな中、北海道大学の最新研究で、文鳥のアイリングは好きな異性と関係をはぐくむ中で、徐々に派手になっていくことが判明したのです。

こうした目ヂカラの強化は、つがい相手にとって繁殖準備OKのサインになると考えられています。

研究の詳細は、2023年10月25日付で科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されました。

目次

  • 文鳥は「繁殖準備OK」のサインをどう出すのか?
  • 好きな相手といると「目ヂカラ」が強くなる!

文鳥は「繁殖準備OK」のサインをどう出すのか?

夏目漱石の小説にも登場する文鳥(ブンチョウ)は、私たち日本人にとって馴染み深い鳥です。

主に東南アジアの熱帯地方を原産とする文鳥は、江戸時代の初期に日本へと輸入され、飼育種として高い人気を得るようになりました。

訓練すれば手にも乗る人懐っこさ(手乗り文鳥)に加え、オスとメスのつがいが長期にわたって添い遂げるという美しい習性も、日本人の感性に触れるところがあったのかもしれません。

文鳥は日本人にも人気の鳥
Credit: canva

その一方で、文鳥はヒナから成鳥に至るまで、オスとメスで見た目に大きな違いがありません。

鳥類は一般に、オスとメスで姿が異なる「性的二形」の種が多く見られるグループであり、オスはその外見を利用してメスに求愛します。

代表的なのはクジャクで、オスが色鮮やかで派手な羽毛をもつのに対し、メスにはそれがなく、かなり地味です。

しかしこの見た目の性差のおかげで、メスは求愛してくるオスを識別し、最良のパートナーを吟味することができます。

では、そうした見た目の性差がない文鳥は、繁殖の準備ができたことを互いにどうやって伝え合っているのでしょうか?

これは鳥類学者にとって長年の疑問でしたが、新しい研究によると、実はそれが目ヂカラにあるというのです。

好きな相手といると「目ヂカラ」が強くなる!

実のところ文鳥の求愛の方法として「アイリングが繁殖準備OKのサインに使われているのではないか」という仮説は以前から主張されてきました。

文鳥のアイリングは、目のまわりの羽の生えていない環状に皮膚が盛り上がった部分で、血色による濃いピンク色をしています。

文鳥のアイリング
Credit: ja.wikipedia

そして研究者らは「オスメスともに繁殖準備が整うとアイリングを赤く太くする」と予想していたのです。

実際、時間を要する体の羽の生え変わりなどと違って、アイリングは比較的短期間で色や大きさを変えられるメリットがあると考えられます。

そこで北海道大学の研究チームは、この仮説を検証すべく、飼育下の文鳥を対象に実験を行いました。

チームはまず、文鳥を以下の3つのグループに分けました。

1:好みの異性個体と一緒にして、つがい形成させるグループ

2:仲が悪く、好みでない異性個体と一緒にしておくグループ

3:1羽単独でいさせる対照群グループ

この状態で、アイリングの大きさが時間の経過ごとにどう変化するかを比較観察します。

期間中は1週間に1回ずつ文鳥の顔写真を撮り、アイリングの面積の変化を測定しました。

その結果、文鳥は好みの相手とつがいを形成したときにのみ、およそ2〜3カ月をかけて少しずつアイリングを肥大させていることが判明したのです。

この変化はオスメスともに見られました。

好きな相手と一緒にいたオスのアイリング変化(左;5週目、右:12週目)
Credit: Jenna Onaga et al., PLOS ONE(2023)

他方で、仲の悪い相手と一緒にいたり、1羽単独でいる場合にはアイリングに変化が起こりませんでした。

この結果から、文鳥はつがいとなったオスとメスの間で、繁殖準備OKであることを相手に伝える信号として、アイリングを進化させてきた可能性が支持されました。

これまでの多くの研究で、鳥類における色鮮やかな見た目の特徴は、繁殖パートナーを選ぶ際の手がかりとして有効であることが分かっています。

しかし今回の結果はそれと対照的で、文鳥は繁殖パートナーの決定後、つまり特定の相手とつがいになった後に目ヂカラを強くしており、鳥の顔が伝える情報に知られざる多様性があることを明らかにするものです。

文鳥は繁殖準備のOKをアイリングの変化で伝えていた
Credit:川勝康弘,ナゾロジー編集部,canva

つがいを実際に作った後でないと見られない特徴だったため、これまで予測はあっても明確に確認されていない性質だったのかもしれません。

研究者はこれについて「霊長類のメスでは繁殖期にお尻が赤く腫れることがよく知られていますが、それと似た変化が鳥で起こることを示した初めての成果だ」と述べています。

もし自宅で飼っている文鳥の目ヂカラが強くなったなら、そろそろ交尾を始めるタイミングかもしれません。

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参考文献

鳥の目ヂカラは相手次第~鳥類の顔の特徴の多様性理解に貢献~ https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/10/post-1338.html

元論文

Eyes of love: Java sparrows increase eye ring conspicuousness when pair-bonded https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0292074
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