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ADHDの人は政治に参加する可能性が高いと判明!


ADHDと政治には不思議な関係があるようです。

イスラエルのハイファ大学(University of Haifa)で行われた研究により、注意欠陥/多動性障害 (ADHD)の人々は普通の人々に比べて、政治参加のレベルが高くなっていることが示されました。

本記事では、彼らが明らかにしたADHDの人々の政治参加とその特性、そしてそれが社会全体にどのような影響を及ぼす可能性があるかについて説明します。

いったいなぜADHDの人々は政治参加に積極的なのでしょうか?

研究内容の詳細は『PLOS ONE』にて公開されています。

目次

  • ADHDの人は政治に参加する可能性が高い!
  • ADHDの政治家が必要な理由

ADHDの人は政治に参加する可能性が高い!

ADHDの人は政治に参加する可能性が高いと判明!
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

注意欠陥/多動性障害 (ADHD) は、注意不足、多動性、衝動性を特徴とする精神疾患の一種であり、成人人口の1~7.3%が相当するメジャーな症状です。

ADHDの原因は主に前頭葉の発達の遅れによって、ドーパミンやノルアドレナリンなどの重要な神経伝達物質の枯渇が起こっているせいだとされています。

これらの伝達物質は注意力や集中力を維持したり、欲望を抑えたりするのに重要な役割をしており、枯渇は社会的な成功において不利に働く傾向があります。

実際、ADHDの人々を調べた研究では、ADHDが教育レベルの低さ、失業率の高さ、収入の低さ、さらに自動車事故や犯罪行為の多さと関連していることが示されています。

しかしADHDと政治の関係について調べた研究はほとんどありません。

特に普通の人とADHDの人で、言論の自由さ、複数の意見や声に対する寛容さ、政府機関への信頼感、そして自分の国の政治家への評価をどう感じているかについては全く知られていませんでした。

そこで今回、ハイファ大学の研究者たちは、ADHDが政治参加にどのような影響を与えるかを調べることにしました。

調査に当たっては2019年4月に行われたイスラエル国政選挙前に収集された1369人のデータを利用されました。

このデータでは被験者たちの ADHD の症状を測定する評価に加えて、さまざまな政治活動にどのように参加していたかや、政治に対する態度も調べられました。

結果、ADHDの傾向が強い被験者たちは、従来型の活動(デモ参加や政治家との接触など)とデジタル型の活動(ネットでの政治活動)の両方で、普通の人より高いレベルの政治参加をしていることがわかりました。

また政治における態度を比較したところ、ADHDの人々は他人の意見に対する寛容性が低下しており、他の意見を沈黙させ、自分と同じ意見だけを認めさせたいという意欲が強くなっていました。

これまでの研究でADHDの人は他人の意見に対して短気や不寛容であり、他人の話を遮ろうとする傾向が強くなることが示されており、同じ現象が政治的な意見対立でも起きていると考えられます。

また過去に行われた研究では、ADHDの人は公正感受性(Justice Sensitivity)が高いことが示されています。

公正感受性とは不正や悪に対する敏感さを示しています。

ADHDの人は正義や公正を乱す存在に敏感になっています
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

公正感受性が強いことは必ずしも悪いことではありませんが、しばしば対立する意見に対して過度に敏感になり、妥協を許さない姿勢がとられます。

そのためADHDの人が何らかの政治的な考えを持っている場合、異なる意見に強く反応し、結果的に政治参加を促していた可能性があります。

また対立する意見への妥協なき姿勢は、不寛容さの原因にもなっていると考えられます。

一方、政治に関する情報収集については、ADHDの人々は一般の人々と大差はなく、むしろ多くの人々が閲覧するニュースに触れる傾向がありました。

この結果は、ADHDの人々は政治参加のレベルが高いものの、肝心の政治に関する情報収集は消極的であることを示しています。

研究者たちは精神疾患を持つ人々の政治参加のスタイルを知ることは、精神疾患の理解においても重要であると述べています。

ADHDの政治家が必要な理由

ADHDの政治家が必要な理由
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

ここまでADHDにかんするネガティブな情報が続いてきましたが、ADHDの特性は武器になることもあり、しばしば偉人を生み出してきました。

たとえばダヴィンチやアインシュタイン、ピカソ、モーツァルト、ゲーテなどの記録を調べると、ADHDを疑われるようなものが多くみられます。

またアメリカの大統領だったケネディやアップルの創設者として知られるスティーブ・ジョブズ氏もADHDだったと考えられています。

ADHDの注意力不足は、脳内で常に多くの考え事が進行していたり、情報をフィルタリングせずに注目してしまう傾向によるものです。

しかし、これらの特性は反対に考えれば、独自のアイデアを生み出す可能性を高め、どんな情報も新鮮な視点で捉えるという強みにもなります。

ADHDの人がしばしば高い創造性と多角的思考を発揮するのは、注意力が固定されていないからだと言えるでしょう。

また多動性や衝動性は常識にとらわれずに行動したり、常人ならばためらうような計画を実行できるという強みになります。

通常の人はリスクを恐れて大胆な計画を実行できませんが、ADHDの人はドーパミンが枯渇していおり、新規性やスリルを求めて冒険的な行動が行えます。

政治の場では、ADHDの持つ強い公正感受性や妥協しない不寛容さは、折れない信念となり、大きな政治目標の達成に有利に働きます。

歴史上にみられる「信念を曲げずに偉業を成し遂げた政治家」たちの多くが、ひそかにADHDだった可能性は否定できません。

もちろんこれらの利点を全てのADHDの人が持つわけではありません。

ただ人類の進歩は、一般の人々の持続的な努力とADHDの持つ独特の特性が組み合わさることにより、大きく加速してきたと言えるでしょう。

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参考文献

Individuals with ADHD are more likely to participate in politics, study finds https://www.psypost.org/2023/07/individuals-with-adhd-are-more-likely-to-participate-in-politics-study-finds-166562

元論文

ADHD and political participation: An observational study https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0280445
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