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犬に生の豚肉がNGな理由とは?豚肉に含まれる栄養素や与える際の注意点を解説!


犬に豚肉は安全か

肉をくわえる犬

Africa Studio/shutterstock.com

ジューシーな脂とヘルシーな栄養素で人気の豚肉は、牛肉と比べて健康リスクが少なく、かつ独特の味わいが好まれています。ギフトなどでも喜ばれる豚肉ですが、犬に食べさせても大丈夫なのでしょうか?

豚肉は加熱済みなら食べても大丈夫

単刀直入に言うならば、犬に豚肉を与えても問題ありません。しかし必ず加熱することが条件です。豚肉そのものには当然毒性や危険性はなく、犬が安心して食べられる食材の一つです。

しかし生の豚肉には危険な病原菌が付着しており、加熱処理で滅菌しなければなりません。厚生労働省の指針では、新鮮かどうかにかかわらず生の豚肉を食べることは避けるべきとしています。

生の豚肉を避けるべき理由

生肉は危険

Firn/shutterstock.com

犬は雑食であるため、加熱しているかどうかにかかわらず何でも食べそうに思えますが、生の豚肉を避けるべきなのはなぜでしょうか?主な理由は、大腸菌とサルモネラ菌です。

大腸菌

大腸菌そのものは、哺乳類や鳥類の大腸に存在する菌であり、人間の大腸にも一定数存在する有益な細菌です。腸内の消化や免疫維持にかかわっており、有益な大腸菌は健康に不可欠です。

しかし一部の大腸菌は人間や犬にとって有害で、約170種類ほどが病原性を示します。最も有名なのはO157でしょう。

豚肉に付着している大腸菌は「腸管出血性大腸菌(EHEC:enterohemorrhagic E. coli)」と呼ばれるもので、ベロ毒素と呼ばれる毒性のタンパク質を生み出します。腸管出血性大腸菌を取り込むと、血便を伴う激しい下痢や腹痛、水様便、やがては血液そのものの排せつや重度の合併症などに至ります。

腸管出血性大腸菌は人間の大腸に常在する菌ではなく、牛や羊、そして豚が保菌しています。そのため、加熱不十分でこれらの肉を食べると、腸管出血性大腸菌に感染するリスクが高まります。

ベロ毒素というタンパク質は細胞を破壊する作用があり、腸管粘膜の細胞を壊すことで出血や血便、下痢の原因となります。ベロ毒素が腎臓に達すると、毛細血管を攻撃してダメージを与え、急性腎不全や血小板減少による出血、溶血性貧血(犬がネギ類を食べると起こる症状として代表的)などを発生させる溶血性尿毒症症候群を引き起こします。

脳やせき髄への影響も懸念され、脳症の原因ともなります。腸管出血性大腸菌によって引き起こされる一連の症状が発生してしまうと、合併症を防ぐ有効な手段はなく、主に対症療法を施すしかないのも危険な理由の一つです。

尿の色が変わったり量が減ったり、あるいはけいれんや昏睡状態になると症状が進行しているしるしです。すぐに動物病院を受診し、適切な治療を受けなければ命にかかわる症状です。

主な治療法としては、点滴による水分や電解質の補給が挙げられます。菌の病原性や進行を食い止める直接的な治療法がないため、重度に症状が進行した場合は犬の体力や抵抗力にも依存します。急性腎不全が悪化した場合は人工透析も必要となります。

一般的に下痢止めは使用すべきではないとされています。食物の腸内滞在時間を延ばしてしまい、腸管出血性大腸菌がそれだけ長く体内に残留してしまうからです。

世界中で様々な対症療法が試みられていますが、日本では抗菌薬を投与することで合併症のリスクを下げるのが一般的です。腸管出血性大腸菌は75℃で1分間加熱することで死滅するため、豚肉は赤みがなくなるまでしっかりと加熱しましょう。

火を通しすぎると固くなってしまうのが豚肉ですが、菌を死滅させるためしっかり調理することがカギとなります。

サルモネラ菌

次に危険なのはサルモネラ菌です。言わずと知れた食中毒の代表のようなサルモネラ菌ですが、牛や豚、鶏の腸内で保菌される他、河川や下水にも広く分布しているのが特徴です。実に2,500種類もの血清型が見られ、少量の菌でも食中毒を引き起こします。

毎年7~9月の暑い時期に発生するのが特徴で、日本の食中毒の原因としては常に1,2位を争う頻度で表れます。

興味深いことに、胃腸炎を起こすサルモネラ亜種I以外は、病原性を持たない非病原性菌とされています。しかし、牛にも豚にも腸内常在菌として存在するため、生で豚肉を食べると非常に高い確率で食中毒を引き起こします。

サルモネラ菌に感染すると、大抵の場合急性胃腸炎を発症します。8~48日程度の潜伏期間を経て発症します。近年では、4日後に発症した例も珍しくなくなってきています。適切な治療を受けると、3~4日程度で症状は穏やかになります。

しかし人間の場合は、幼児が感染すると重症化しやすく、回復にも時間がかかる傾向が見られ、一日に頻発する下痢や腹痛、血便などが見られる場合、まずサルモネラ菌が疑われます。

治療法は、これも腸管出血性大腸菌の場合と同じで対症療法を主体として治療を施します。下痢止めは使用しないのが原則です。やはり菌の滞在時間を長くしてしまい、さらには腸管の動きを鈍くする麻痺性イレウスを引き起こすこともあります。

発熱や下痢などの一般的な症状が見られる場合、脱水経の対策として点滴などによる水分と電解質の補給や、腹痛緩和のため胃腸炎対策を施します。解熱剤は、脱水症状を悪化させる恐れがあるためあまり使用されません。

サルモネラ菌による食中毒を防ぐには、やはり75℃で1分間以上加熱するのが最善です。肉の表面に付着していることが多いため、全体をまんべんなく加熱してやると安全です。フライパンの端であまり熱が通っていない肉や、厚みの違いによる火の通り加減には十分に注意してください。

腸管出血性大腸菌の場合もそうですが、ミンチ肉や細切れの肉を重ねた結着肉の場合、内部まで菌が入り込んでいることがあります。料理のバリエーションを増やしてくれるためつい出番が多くなりがちなミンチや結着肉ですが、調理の際は完全に火が通っていることを確認しなければなりません。

犬には切れ端や余りものを与えることもあるかもしれませんが、その小さい肉片にも火が通っているかどうかを確認しましょう。当然ながら、生肉を扱ったまな板や包丁、トングなどの調理器具の殺菌や厳重な管理も必要です。

あまり神経質になる必要もない

矛盾するようですが、あまり神経質に菌を恐れても意味がないとも言えます。そもそも、目に見えないミクロの病原菌を見分けることも、完全に防ぐことも不可能です。

法律で厳重に管理された衛生基準を守っている日本の給食やレストランでさえ、時折食中毒が発生するのが現実です。肉を恐れて暮らすことに意味はなく、食事の楽しみを奪ってしまうことにもなりかねません。

あくまでも危険性を理解し、出来るだけ避けた上で最善の対策を施すことが重要となります。食中毒を起こす病原性の菌でも、1~2個の菌を摂取しただけでは発症には至りません。それだけ人間の体も犬の体も強くできており、多少の病原菌は免疫システムが排除してくれるからです。

しかし、増殖した大量の菌を取り込むと中毒症状が発生します。菌の増殖を防ぐのは滅菌と同じほど大切であるため、普段の肉の管理や調理法などが重要です。一般的にマイナス15以下で菌の増殖は停止し、10度以下で遅延するとされています。

常に冷蔵か冷凍で肉を管理し、調理時にはしっかりと全体を加熱すれば、かなりの確率で食中毒を防ぐことが出来るでしょう。







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