はじめに


都心から気軽に行ける旅先として人気の熱海。実は、日本で最も早く桜を楽しめる場所なんです。温泉やグルメ、パワースポットなどに加え、1月に満開の桜が楽しめる冬の熱海は、見どころが満載。今回は、そんな桜シーズンの熱海をリーズナブルに楽しめるゲストハウスと、その周辺の観光スポットをご紹介します。

Text&Photo: Jin(ゲストハウスマニア / ホテルマーケター)


ひと足先に満開! 日本で最も早咲きの「あたみ桜」


あたみ桜とは、明治初期にイタリア人によって熱海に持ち込まれたと言われる品種。開花時期は1月と、沖縄のカンヒザクラと並んで日本で最も早咲きの桜です。花は一つひとつが大きく、やや濃いめのピンク色。1つの枝に開花時期の異なる2種類の花芽が生えることから、開花時期が2月中旬までと長い期間に及ぶのもあたみ桜の嬉しい特徴です。


そんなあたみ桜の開花時期に開催されるのが「あたみ桜糸川桜まつり」です。熱海市の中心部を流れる糸川のほとりに、約300mにわたって植えられた桜並木。期間中は、周辺に出店が立ち並び、桜茶のサービス、バンド演奏やフリーマーケットなど様々なイベントが行われます。東京都心の桜のスポットのように人でごった返すこともなく、ローカルな雰囲気を味わいながら、のんびりゆっくり桜を見られるのが最高です!
陽が落ちるとライトアップも行われ、昼間とはまた違った表情を見せてくれます。美しく浮かび上がった桜を眺めながら、夜の熱海の街歩きをするのもまた楽しいですよ。

◆第10回あたみ桜糸川桜まつり
開催時期:2020年1月11日(土)~2月9日(日)
ライトアップ:16:30~23:00

あたみ桜を満喫するならここ!
“熱海の日常”を味わえる「ゲストハウス マルヤ」


桜まつりの会場から歩いてすぐ、「熱海銀座」という商店街の中にあるのが、2015年にオープンした「guest house MARUYA(ゲストハウス マルヤ)」です。コンセプトは‟旅人と熱海で暮らす人をつなぐ”。入り口はカフェバー「MARUYA Terrace」になっていて、近所の人たちがふらっと立ち寄れる憩いの場としてにぎわっています。


よくドラマなどで、そこに行けばいつも同じメンバーが集っているようなお店、出てきますよね。「こんなお店、本当にあったらなぁ」と憧れてしまうのですが、このゲストハウスは、まさにそんな場所。かといって常連ばかりが内輪で盛り上がって入りにくい、ということはありません。地元の人と宿泊ゲストが自然に混ざり合い、つながり、輪ができていく。そんな心地よい空間で、僕もここで知り合った人と一緒に周辺を観光したり、飲みに行ったり、東京に戻ってきて遊ぶようになったりと、多くのつながりができました。このローカルで親しみやすい雰囲気が、「ゲストハウス マルヤ」の最大の魅力だと思っています。

広々とした共用のリビングスペースでは、設備の整ったカウンターキッチンを使い、自分で料理をすることもできます。大きなソファーやハンモックなんかもあるので、思い思いに時間を過ごすことができ、ついつい長居してしまう空間です。スタッフもここに滞在していることが多いので、自然に会話が弾みます。


客室は上下2段のカプセルタイプ。ゲストハウスのドミトリーとしては珍しく、各ベッドごとに扉がついていて、施錠もできるので、ドミトリーに慣れていない人にも安心です。カプセル内の壁面は、一つひとつ違う柄になっているという遊び心も。


ユニークな特徴のひとつは、朝食。向かいに干物屋が立ち並ぶ立地から、熱海の名物である干物をテラスのBBQグリルで焼いて楽しめるようになっているんです。ご飯と味噌汁、食器は提供してくれるので、あとは自分が好きな干物を選んで買ってくるだけ。相模湾の恵みを受けた、地域に根ざした熱海ならではの食文化。それを最高の環境で楽しめる、ここでしかできない体験です。ぜひ試してみてください。

◆guest house MARUYA(ゲストハウス マルヤ)
住所:静岡県熱海市銀座町7-8
電話:0557‐82‐0389


「ゲストハウス マルヤ」周辺のおすすめスポット



「ゲストハウス マルヤ」のある「熱海銀座」は江戸時代にはメインストリートだった商店街。当時は街道の両脇に数多くの温泉宿が立ち並び、大いににぎわっていました。その頃の名残を今に残すのが、商店街から坂を登ったあたりにある「大湯間歇泉」です。かつては熱海温泉の中心的な源泉で、世界三大間歇泉のひとつに数えられ、1日に何度も噴出していたそう。現在は枯れてしまったのですが、午前8時~午後7時の間は、人工的に4分ごとに3分間噴湯させていて、当時の面影を感じさせてくれます。

◆熱海七湯 大湯間歇泉
住所:静岡県熱海市上宿町3

熱海銀座から徒歩15分ほどの場所にあるのが、熱海屈指のパワースポット・来宮神社。ここの御神木である大楠は、樹齢なんと2000年以上! 平成4年度の調査で全国第2位の巨樹の認定を受け、本州では最大の巨木です。近くで見るとその迫力は圧倒的で、まさに“神々しい”という言葉がふさわしい佇まいです。幹の周りを1周すると寿命が1年伸びる、願いを唱えながら周ると願い事がかなう、というご利益があるそうです。訪れる人の7割は20~40代の女性とのことで、若いカップルにも人気のスポットになっています。

◆来宮神社
住所:静岡県熱海市西山町43-1
電話:0557‐82‐2241


こちらは熱海銀座から徒歩約5分で辿り着くビーチ。白い砂浜と青い空・海のコントラスト、ヤシの並木通りが美しい昼間の雰囲気もいいですが、これからの季節おすすめしたいのは夜の景色。“東洋のモナコ“とも呼ばれる、まるで海外リゾートのような風景が、街の明かりに美しく染まっていく様は必見です。少し先には、ライトアップされた熱海城の姿も!

ちょっと足を延ばして「走り湯」へ。訪問必須の日本三大古湯


熱海銀座からは少し離れますが、ぜひ行ってもらいたい、ちょっと穴場のスポットが伊豆山温泉の「走り湯」です。1300年前に発見された日本でも珍しい横穴式源泉。松山の道後温泉、神戸の有馬温泉と並ぶ日本三大古泉のひとつで、湧き出した湯が飛ぶように走り落ちる様から名付けられた、と言われています。

走り湯の源泉がある洞窟内にはもうもうと湯けむりが立ちこめ、「ゴポゴポ」という温泉が沸く音だけが響き渡る、幻想的で神秘的な空間。高さは1.5m、一番奥まで行っても長さ5mほどの決して大きくない洞窟ですが、あまりにも湯けむりが激しく、入り口からは奥がほとんど見えません。そり進んな中をゆっくんでいくと、突き当りに源泉が見えてきます。70度近い湯が毎分170リットル湧き出ており、岩の中を覗くと源泉が音を出しながら吹きあげている様子を見ることができます。洞窟内は温泉の熱気でムンムンなので、寒い冬にはぴったりのスポット。走り湯の近くには高台になった小さな足湯もあり、熱海の海や遠く房総半島まで、温まりながらゆっくり眺めることができます。
こちらの「走り湯」、実は「伊豆山神社」の参道にあり、古くから「神湯」として信仰されてきました。参道はほとんどが階段で、837段を登ったその先に、伊豆山神社の本殿があります。

かつて「伊豆山大権現」「走湯大権現」とも呼ばれ、空海が修行したとも伝えられる由緒ある神社。源頼朝と北条政子が結ばれた場所としても名高く、縁結びのパワースポットとして多くの人が訪れています。頼朝と政子が恋を語ったという腰掛石、道祖神とともに来たという光石、伊豆山神社のシンボルでもある赤白二龍(せきびゃくにりゅう)などの名所に加え、女優の小泉今日子さんが奉納したとされる鳥居があるなど、気になる要素が盛りだくさん。熱海を一望できる景色も素晴らしいので、ぜひ訪れてほしい場所です。

◆走り湯
住所:静岡県熱海市伊豆山604-10

◆伊豆山神社
住所:静岡県熱海市伊豆山708-1
電話:0557-80-3164

この冬熱海をディープに楽しむなら「ゲストハウス マルヤ」


いかがでしょうか。寒さも厳しい、冬真っただ中の1月に、いち早く花見を楽しめる。しかもそれが東京から簡単に行ける温泉地・熱海。そう言われると、行ってみたいと思う方が多いのではないでしょうか。その魅力をさらにディープに楽しむなら、地元の人との交流を含めて熱海を存分に体感できる「ゲストハウス マルヤ」がおすすめです。

ゲストハウスのある「熱海銀座」は、一時はシャッター商店街となっていましたが、ここ数年再び活気を取り戻し、若者を中心に盛り上がりを見せている今注目のエリア。大正時代から続く和菓子専門店に加え、おしゃれなカフェや行列のできるプリン専門店、ジェラート専門店 など、女性が集まる人気スポットになっています。周辺にはパワースポットやビーチ、少し足を延ばせば日本三大古泉と、見どころがたくさん。街歩きをするもよし、たっぷり温泉を楽しむもよし、今回のプランを参考に冬の熱海を満喫してくれたら嬉しいです。
◆Jin
国内外の宿を渡り歩くゲストハウスマニア。旅好き、さらにゲストハウス好きが高じて、個人でゲストハウスを開業するために勤めていた会社を退職、東京都心でオープン準備を進める。諸事情で開業を断念した後、インバウンド向けホテルの企画・運営会社にジョイン。マーケティング/プロモーション/企画運営マネジャーとして、現在は新たな宿泊施設の開業プロジェクトを進行中。

情報提供元: 旅色プラス