はじめに


台南は、ご飯や店内のレベルが高いのです。台湾中のどのお店を日本に持ち帰りたいかな〜、と考えると、台南のお店ばっかり浮かぶんですよ。あれが美味しすぎて忘れられない、あの空間に心がとろけすぎて引っ越したいくらい、あの食べている時のエピソードが抜群に思い出を楽しくさせてくれる……などなど。
今回は、朝ご飯で特に印象深いお店をご紹介します。普段の生活では一番バタバタしているこの時間を、大切にじっくり味わえるのは旅ならではですよ。

Text&Photo:とまこ

ポップな壁のかわいいカフェで、巨大ティラミスを撮りまくる。正体はモッチモチのあれ!


あぁかわいい。まあるくて、クリームはポッテリしていて……なんてかわいいケーキなんだ。
今、これをケーキだと思ったあなた! お店と書き手の思うツボです、いい人ですよ(笑)。 
実はこれ、パンケーキなんです。ティラミス風味のクリームで盛大に飾り付けた、ティラミスパンケーキ(香甜提拉米蘇煎餅・160元=約590円)! 
運ばれてくると、そのサイズにドキッ! 直径10cm、高さも10cm。ちょっとしたホールケーキではありませんか。子どもの頃、ホールケーキを一人で食べるのに憧れませんでしたか? 思わぬところで叶ってしまった気分です。

さぁケーキ入刀。なんと、パンケーキは5枚重ねです。だから実現する高さなんですね。ケーキの間にはチョコチップがたっぷり。
では、いただきます。うーん、生地のモッチリ感がハンパない! それを包み込むマスカルポーネクリームがちょっと甘じょっぱくて、すんごい滑らか。ふりかけられたココアの苦味が全体を引き締めてくれていて、うっとり。たいそう幸せで倒れそうでした。そんなわけで、ホールケーキ並サイズだけど、あっという間に完食(笑)。

フルーツティー(夏日水果冰茶・100元=約370円)も、忘れられない美味しさです。切りたてのグアバ、桃、いちご、オレンジ、りんごを、パッションフルーツジュースにイン! 贅沢ぅ。ビタミンCもたっぷりですね。
ジュースに、いろんなフルーツの華やかな味がほんのりうつってるし、フルーツにはパッションフルーツジュースが染み込んでるし。飲むのも食べるのも最高です。

お店は二階建てのゆったり空間、壁はポップな色づかい。パンケーキもジュースも店内もかわいいから、何枚も写真を撮りたくなっちゃいますよ。


◆A Week Pancake Cafe
住所:台南市中西區武德街22-1號
営業時間:9:00~18:00
定休日:月曜日

老舗の炭火焼きサンドイッチ屋さんの具材は……コラボレーションが衝撃的すぎる!


赤くてかっこいい武廟の前に、自然と足が向く吸引力抜群の露店があります。
七輪の炭火の上で、食パンサンドを、ポンポン投げ上げてひっくり返してるんですよ、見たいでしょ。

列に並ぶと、ニコニコで日本語のうまいお店のお父さんに、苺ジャム・ピーナッツ・バターどれがいいか聞かれます(どれも35元=約130円)。

「ジャムください」。

お父さんはパンにジャムを塗ると、焼……かない、そして、挟んだ! えぇぇ!!

これこれ、分厚いオムレツを、挟んだ! 
そして、焼くんです。七輪の上にサンドを投げ置いてはひっくり返して。お見事です、技も発想も大胆不敵。見てると、ピーナッツのパンにも、マーガリンのパンにも、もれなくオムレツが挟まれるんです。まぁ、ジャムは3番人気みたいだけど(笑)。
いただくと、懐かしいジャム味と、ふわふわ甘めの卵味がしました、バラバラに。融合一切なし(笑)。横からお父さんが

「おもしろい味でしょ」

売ってる本人が言うとか、お茶目か(笑)。でも、ずっと昔から愛され続ける老舗で、1日に100個売れるというんですから。もう全てが謎なので、ぜひ、行って試してみてください。


◆阿嬤碳烤三明治(本店)
住所:台南市中西區永福路二段227巷3號
※2017年5月現在本店休業、すぐ近くの武廟前の露店で営業
営業時間:7:00~17:00
定休日:月、火曜日

2階の吹き抜け、庭付き、広々空間……住み着きたくなる古民家カフェ。


扉を開けたら、光と緑とそよ風がいっぱいの空間が。屋内なのに、開放感がこぼれるほどに満ちているんです。席に着く前から、「今日は一日ここにいたい」って思う、圧倒的な空間力。むしろもう、この店に出会えたから台南の旅は大成功、と言ってもいいくらい。
古民家をリノベーションした中庭付きの店内には、いろんなタイプのテーブルが点在していて、どこもかしこも魅力的です。
広々カントリー調のソファの席でゆっくり読書したい、窓辺の木のテーブルで仕事したら捗りそう、大きな木とぶら下がる植木鉢がある中庭で女友達とあーだこーだ言いたい。心地良いシーンの数々が頭を駆け巡って、どんどん心がほぐれてくのは、もう魔法みたい。

ご飯もびっくりするクオリティの高さなんです! 蛋餅(220元~=約810円~)という台湾の伝統的なクレープの玉子焼き包みを頼んだら、もっちもちのふわっふわ、一口ごとに目がまん丸になる美味しさ。アァもう、体の芯から幸せ。
来了、参りました。

◆来了
住所:台南市中西区新美街149號
営業時間:10:00~17:00

絶対リピート! 激ウマあっさりスープと弾力抜群な卵麺の海産麺


水仙宮市場というところの奥に大混雑のお店があったんです。この立地でこの人気って、ちょっとすごい。近くまで行ってみると、地元の人たちばっかりの様子。美食の都台南の人を、ここまで夢中にさせるとは。
試しに聞いてみると、オォ、驚異の1時間待ちときた! くじけそうになったけど、整理券があるから、お散歩して待つことに。
戻ると、相席で通され、すぐに頼んでいた海産麺(55元=約200円)が運ばれてきました。


具材が山盛り乗ってて、うれしいな。煮卵、つみれ、豚のレバー、あとイカも少しね。
ん? 海産麺の海産、イカだけ(笑)! 事実に気づいて、ニヤッとしながら、まずはスープを一口。旨味が深~い‼ しかも、後口あっさり。麺は卵麺で、ズズッとすするとコシがすごい! 縮れ気味で、スープがよく絡みつく! うっとり。
海産かはともかく(笑)、いや、そんなネタ込みで、コスパ抜群、再訪決定!


◆麪條王海産麪
住所:台南市中西區神農街6號(水仙宮市場内)
営業時間:8:00~14:00
定休日:月曜日

おわりに


台南のお店は、どこも店内のオシャレ度や趣深さや味のレベルが高くて、きっと行きたくなります。この街を訪れた折には、ぜひとも、これらのお店も訪れてくださいね。外しませんよ!


◆とまこ
明治大学在学中からバックパッカーとしてデビューし、卒業後は秘境ツアーコンダクターに。現在は旅作家&おしゃれパッカーとして本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍中。著書に『離婚して、インド」(幻冬舎文庫)、『世界の国で美しくなる!」(幻冬舎)など多数。2017年9月には『台湾で朝食を 日常よ、さようなら!』(メディアパル)発売予定。



情報提供元: 旅色プラス