日産/三菱自動車で共通設計とするデイズ/eKシリーズのボンネットフード下に収まるエンジンは、先代と異なり日産主導で開発が進められた。ルノーとも関係の深いそのエンジンの特徴とは。

新興国向けにルノー/日産グループが製造している799cc直列3気筒のBR08系をベースに細部の設計を見直し、ボアを69.0mmから62.7mmに縮小して659ccとしたのがこのBR06系。日産として初の軽自動車用エンジンだ。近年のトレンドどおりロングストローク型で、他社の軽自動車用エンジンが660cc専用設計であるのに対し、1.0lまでを想定するBR系の骨格が持つ剛性の高さを生かすことで優れた静粛性の確保に成功している。




日産が世界で初めて実用化した気筒あたり2本の燃料噴射ノズルを持つデュアルインジェクターも採用し、自然吸気仕様で12.0という高圧縮比を実現。水冷4層積層タイプのEGRクーラーを採用したほか、鏡面加工カムシャフト/クランクシャフトなどでフリクションロスを低減。ターボは電動ウェイストゲートと最新世代に相応しい構成である。

直噴ではなくポート噴射だが1気筒に2本のインジェクターを搭載し、燃料噴射量を分散させることで微粒化と広角噴霧を実現。また燃焼室のより近くにインジェクターを配置することでポート壁面への燃料付着も抑制し、燃焼の安定化を実現している。

自然吸気仕様には、4層式水冷クーラーを備えたEGR(排ガス再循環)システムを採用しポンピングロスを低減。触媒の奥に見えるクーラー部分の左側に伸びる2本のパイプは、上から冷却水が入り、下から温められた冷却水が出ていくレイアウトだ。

ピストンは冠面の裏側にリブ状の突起を設けた独自の形状を採用。このリブにオイルジェットを噴射することで冷却効果を高めノッキングを抑える。クーリングチャンネル付きピストンよりも生産コストが抑えられるという利点がある。

■ BR06


気筒配列 直列3気筒


排気量 659cc


内径×行程 62.7×71.2mm


圧縮比 12.0


最高出力 38kW/6400rpm


最大トルク 60Nm/3600rpm


給気方式 自然吸気


カム配置 DOHC


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 直接駆動


燃料噴射方式 PFI ×2


VVT/VVL In/×


(デイズ)
■ BR06(Turbo)


気筒配列 直列3気筒


排気量 659cc


内径×行程 62.7×71.2mm


圧縮比 9.2


最高出力 47kW/6600rpm


最大トルク 100Nm/2400-4000rpm


給気方式 ターボチャージャー


カム配置 DOHC


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 直接駆動


燃料噴射方式 PFI ×2


VVT/VVL In/×


(デイズ)
情報提供元: MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | 日産の軽自動車用エンジン[BR06]デイズ/eKシリーズの660cc