1980年12月に本格的な生産が開始されてから、ボッシュは2億5000万台以上のエアバッグコントロールユニットを製造し、その間絶えず技術に磨きをかけてきた。

 衝突、大きな音、そして最悪のシナリオを回避——これがエアバッグのメリットの最も簡単な説明である。この乗員保護のためのエアバッグ展開において重要な役割を果たすのが、エアバッグコントロールユニットで、命を救うインフレータブルクッションのコントロールセンターとして機能する。




 40年前、ボッシュはダイムラー・ベンツ社と共同で、乗員保護を決定的に向上させる世界初の電子式エアバッグコントロールユニットの生産を開始した。「ボッシュは車載エレクトロニクスと安全技術におけるパイオニアです」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーのハラルド・クローガー氏は述べている。「電子式エアバッグコントロールユニットは、私たちが目指す『Invented for life』を体現しています」。




 1980年12月に本格的な生産が開始されてから、ボッシュは2億5000万台以上のエアバッグコントロールユニットを製造し、その間絶えず技術に磨きをかけてきた。ボッシュの事故調査の推定によると、ボッシュのエアバッグコントロールユニットが市場に投入されて以来、ボッシュのシステムにより展開されたフロント、サイド、およびヘッドエアバッグが、世界全体で約90,000人の命を救うことに役立ってきた。このことから、エアバッグコントロールユニットは、交通事故死亡者をゼロにするというボッシュの目標「ビジョン・ゼロ」の重要な要素になっている。

ミリ秒単位の正しい判断

 最新のエアバッグコントロールユニットは、内部加速度センサー、外部加速度センサー、ヨーレートセンサー、および圧力センサーを用いて、事故の種類と重大性を識別し、必要に応じてエアバッグとシートベルトテンショナーを展開する。作動アルゴリズムは、人間のまばたきよりも10倍速い、わずか10ミリ秒でセンサーデータを解釈し、ドライバーがブレーキを踏んだだけなのか、駐車中の車両にぶつかったのか、歩道に乗り上げたのか、それとも車両が激しく衝突したのか、横転のリスクがあるのかを判断する。




 状況が危険な場合、システムは火薬式ガスジェネレーターに点火。30ミリ秒以内にエアバッグが完全に膨張し、ドライバーと同乗者を保護することができる。

 現在の車両には、9個ものエアバッグが装備され、事故シナリオに応じて個別に展開させることができる。衝突後、システムは、燃料供給を遮断するための信号、または電気自動車の場合、高電圧バッテリーとの接続を切るための信号も送信する。さらにこのシステムは、事故に関する情報を他の車両システムにも転送する。その一例であるeCallは、エアバッグが展開された後に自動的に救急サービスに通報する。




 1977年以来、ボッシュのエンジニアは、自動車メーカーと共同で最初の電子式エアバッグコントロールユニットに取り組み、60種類の車両モデルで6,000回以上の衝突試験を実施した。今日では、1つの車両モデルにつき、エアバッグコントロールユニットが実際に量産されるまでに、180万回以上の衝突シミュレーションが必要だ。




 1980年12月に生産が始まり、メルセデス・ベンツSクラスに装備されて発売された初めてのエアバッグシステムは、電圧変換器、エネルギーリザーブ、およびコントロールユニットの3つのコンポーネントで構成され、合計170個の部品が使われていた。これによって制御されるのは、ドライバー用の1個のエアバッグとベルトテンショナーだけで、助手席用はオプションだった。最新の第12世代目のエアバッグコントロールユニットは、わずか半分の部品で構成され、さまざまなフロントおよびサイドエアバッグ、ニーエアバッグ、ベルトテンショナーを含む最大48個の乗員保護装置を管理することができる。

エアバッグコントロールユニットと自動運転

 将来、車両に装備されるセンサーの数は増加し、センサーが収集する情報を利用してエアバッグ、シートベルトテンショナー、およびその他の車両機能をよりよく連携させられるようになるだろう。こうした連携は、次のような姿かもしれない——システムが差し迫った事故を素早く認識すると、たとえば、実際の衝突の前に負傷のリスクを軽減する着座姿勢となるように自動的に乗員を拘束。そして、車内のすべての人に最大限の衝突保護を提供するためのエアバッグとシートベルトテンショナーを展開する。




 こうした将来の姿と関連する分野のひとつが、ますます進化する自動運転である。なぜなら自動運転は、より高いレベルでまったく新しいインテリアコンセプトを切り開き、ドライバーさえも自由に動き回れるように空間を広げるから。シートを回転させたり、他の同乗者の方に顔を向けたり、シートでくつろげるようになるかもしれない。車内の座席の配置がより柔軟になるため、エアバッグとベルトテンショナーを非常に特殊な方法で制御することがよりいっそう重要になる。そうなると、エアバッグコントロールユニットへの要求がますます複雑になる。




 ボッシュは現在すでにこれに取り組んでいる。開発から40年を経てもなお、エアバッグは進化し続けている。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ボッシュ:自動車用電子式エアバッグコントロールユニット、量産開始から40周年