エンジンは走っている時だけ必要なのであって、停止時に動いている必要はない。必要がないどころかただ燃料を捨てているのだから無駄そのものだ。そこで、必要な気筒だけ働かせてあとは休ませればいい、という発想が出てくる。今回は、「気筒休止」を取り上げる。

スペックが何百馬力あっても、巡航時に必要な出力はせいぜい30ps。そうした時にでもエンジンは回り続け、フリクションの総量はそれほど変化しない。そうした状況で複数あるシリンダーのうちいくつかを燃料供給だけでなく機能的に停止できれば損失を防げるという目的の気筒休止システムは、1980 年代には実用化されている。現在の主流はいくつかの気筒のバルブを閉状態で停止させてポンプロスをなくす方式。マルチシリンダーなら比較的容易な手段だが、気筒数が少なくなると点火タイミングが変わるため振動面での対策が必要となる。最近ではHEVを代表に完全にエンジンを止めてしまう例も増えてきた。

アウディ・AVS |カムシャフトの周囲に中空軸のカム山部分があり、カム山は左右に移動できるようになっている。カム山横に刻まれたらせん状の溝に油圧でピンが押し込まれるとカム山は横に動いてロッカーアームと離されバルブの動きが停止する。

ホンダ・VCM | カム切替型VTEC の技術を転用。ロッカーアームを2分割し片方のロッカーカム山が接触、もう片方がバルブを駆動。通常は両方のロッカーが同時に動くが、気筒休止時には双方が分割されカムが当たってもバルブは動かない。

GM・DoD | アメ車特有、というよりOHV 特有の技術。カムシャフトとプッシュロッドの中間にスプリングと油圧機構を仕込んだエクステンションロッドを挟み込み、気筒停止時にはカムとプッシュロッド間の動きを遮断、バルブを閉じ状態に保つ。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | 気筒休止のテクノロジー エンジンの全機能の内「必用なもの」だけを使う工夫