日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員としても活躍する、自動車ライターの工藤貴宏さん。かつて日産シルビアやポルシェ・ボクスターを所有するなどスポーツカー好きの一面も持つ工藤さんが選んだ3台は、それぞれがひとかたならぬ走りのキャラクターを有する。筆頭に挙げられたアルピーヌA110は、そのピュアなハンドリングが大のお気に入りのようだ。




TEXT●諸星陽一(MOROHOSHI Yoichi)

1台目:ケータハム スーパーセブン

写真は、久々に「スーパーセブン」の名が復活した「スーパーセブン1600」で、価格は621万5000円。1.6ℓフォード製シグマエンジンは135psながら、車重565kgと軽量なボディには必要十分以上。0-100km/h加速は5秒の俊足ぶり。

最新モデルには乗っていないが、超シンプルな構造にはものすごく魅力である。私が乗ったモデルのなかでもっとも古く、シンプルなのはシリーズ2と呼ばれるものだった。できることなら、キットで手に入れてコツコツと自分で組み上げて、それを車検場に持っていってナンバーを取得したいものだが、今の日本ではそれはほぼ不可能。だが、完成車の整備はできる。自分で全部できることが最高の楽しみなのである。じつはケータハムと並んで候補なのが、コブラのレプリカ。これもキットカーがあるんだよなあ。

2台目:日産GT-R

初期モデルは走行中、常に機械音が車内に響いており、それはそれでやる気にさせられたものだが、13年という時間がGT-Rの懐をさらに深くした。写真のNISMOはR35型GT-Rの集大成と言える1台で、価格は2420万円。

日産GT-Rは世界的に誇れるスーパーカーだと言える。これほどのハイパフォーマンスなモデルが日本で作られているというのは本当に誇れる事態だと言っていいだろう。10年以上前にデビューしたクルマなので、システム的に古いことは間違いないのだが、その熟成具合はかなり高い。初期からしばらくはサーキットモデルだったが、最新モデルは公道での扱いやすさをアップしていて、さらに好感がもてる。

3台目:日産セレナP-SV

日産ピーズフィールドクラフトが販売する簡易キャンパーの1台がセレナP-SVだ。開閉式のポップアップルーフを装備しており、価格は326万9200円〜。

人生最後にというお題に対して、いろいろと想いを馳せてみた。そうしたときに自分だけのことを考えるのもどうなのだろう...という気持ちも出てきた。自分の最後が見えてきた状態なら、家族との濃密な時間を求めるのではないか? と考えたのだ。そうしたときに候補となるのがキャンピングカーだった。アメリカなら、大型のキャンピングカーもいいのだろうけど日本を旅するのであればやはり5ナンバーのキャンピングカーだろう、ということでこのモデルを選んだ。




セレナを選んだのは、プロパイロットがけっこうしっかりしているからだ。しかし、よくよく考えてみると、プロパイロットはけっこうセンシティブだから架装して車重や重心が変わると、正確に作動するかが心配だ。

■諸星陽一(もろほし・よういち)




23歳で某自動車雑誌編集部員となるが、1年を待たずに独立。その後フリーランスのライター、カメラマン、編集者として活動。29歳からは富士フレッシュマンレース(シリーズ途中からチャンピオンレース)に7年間参戦。国内自動車メーカーの安全運転講習会のインストラクターなども務めた経験を持つ。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

あとどれだけクルマに乗れるだろうか。一度きりの人生ならば、好きなクルマのアクセルを全開にしてから死にたいもの。ということで、『乗らずに後悔したくない! 人生最後に乗るならこの3台』と題して、現行モデルのなかから3台を、これから毎日、自動車評論家・業界関係者の方々に選んでいただく。明日の更新もお楽しみに。(モーターファン.jp編集部より)

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【毎日更新企画】人生最後の3台を選ぶ:ケーターハム・スーパーセブン/日産GT-R/日産セレナP-SV(諸星陽一)