日本自動車輸入組合(JAIA)は1月21日、上野金太郎理事長の定例記者会見を開催。同組合の近況と今後の活動方針を示した。

JAIAの上野金太郎理事長

 会見の冒頭に上野理事長は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の動きが3年目を迎え、グローバルで加速すると見ている。さらに、2020年オリンピックパラリンピックを見据えて、持続可能なモビリティへの取り組みが進む。そして、COP29パリ協定が来年から施行されるのを受け、JAIAはポスト2020年度燃費基準策定に取り組む。日本国内では消費税10%への引き上げがあるが、JAIAとしては自動車税恒久減税が自動車販売への悪影響が回避されるよう注意深く見守っていく。このような中で我々は、新しい価値を持つ自動車とモーターサイクルを、お客様第一でお届けするのに傾注する」と挨拶。




 その後、昨2018年の動向を振り返り、外国メーカー乗用車については、「2018年1年間の販売台数は対前年比1.1%増の309,405台となり、3年連続で前年を、また2年連続で30万台を上回った。年間販売台数としても、324,973台を記録した1996年に次ぐ過去2番目の高水準」となったことを報告した。なお、その要因として、リモート駐車支援やオペレーターサービスなどコネクテッドサービス、幅広い先進安全技術、PHVやクリーンディーゼルを投入した新型車が導入されたことを挙げている。




 だが、「国内販売全体に占める輸入車のシェアは前年横ばいの7.0%と、相対的には依然として小さい」と強調。本年の販売については、駆け込み需要反動減を注視する必要があるものの比較的明るいとの見通しを示した。




 2019年の活動計画については、まず税制改正については「引き続き、より簡素で公平な税制となるよう、関係団体と連携して実現できるよう努力していく」としたほか、市場活性化については、「今年は2年に一度のモーターショー開催年であり、今回も共催団体として参画する。大阪、名古屋、福岡、仙台の地域モーターショーも開催されるので、全国各地のユーザーに最新の輸入車とモーターサイクルを披露していく」計画。




 環境分野については、「本年3月までに新しい燃費基準策定を目指している。自動車がグローバル商品であることから、パワートレインの多様化・高度化や、ユーザーの需要を含めた総合的な検討が必要。電動化に欠かせないインフラ拡充やインセンティブ付与を引き続き求めていく。一方、CO2削減効果の高い内燃機関技術も引き続き重要なので、クリーンディーゼル車も拡充していく」と述べた。




 安全技術については、「ドライバー異常時対応システムなど様々な先進安全技術も拡充が進んでいる。自動運転制度整備大綱が昨年策定されたが、自動運転車が円滑に導入されるよう求めている。また、SIP-ADAS大規模実証実験へのJAIA会員会社の参画をサポートしてきたが、今後も継続していく」と言及。




 国際調和については、「2017年11年に国際連合のWP29(自動車基準調和世界フォーラム)でIWVTA(国際的車両認証制度)に関する手続等を定めた国際規則(国連規則第0号、UNR0)が成立したが、現在“究極のIWVTA”に向けたフェイズ2に向けて取り組んでいる。残りの排ガス基準や型式制度の国際調和による輸入車ユーザーの負担軽減を図っていく」と、その意義を強調している。




 モーターサイクルについても、「基準国際調和と市場活性化を図っていく。近く、灯火取り付け基準の国際調和が採択される見込み。今年もメディア向け試乗会を開催予定。秋開催予定の第7回バイクラブフォーラムにも積極的に協力していく」計画を明らかにした。




 記者会見における主な一問一答は下記の通り。

Q:反動減はどのくらい出ると見ているか。


A:若干楽観的に見ている。クルマの購入形態がリースやファイナンスに傾いているので、反動減があまり出ないように各会員が取り組んでいる。




Q:今年の販売動向は。


A:新車導入が多いので、30万台の世界では明るいと述べた。輸入車は高くて壊れやすいというイメージはだいぶ払拭された。クルマの買い方・乗り方も変わってきた。今年も昨年同様の明るさがあると見ている。ただ、年始は各メーカーとも苦労するので、年間通じての評価をしてほしい。だがいいスタートを切れたのではないかと思っている。




Q:シェアに関する見解と、モーターショーでの輸入車の存在感について。


A:シェア7%は諸外国に対してまだまだ伸びしろがあり、10%程度が適当と考えている。販売店の数やインフラのバランスが国産車と違うので、まだ会員が改良していくことで伸びていくのでは。国産メーカーの数など条件は違うが、韓国は17%の輸入車シェアがあり、日本はまだまだ低い。シェアリングはまだ技術革新が必要だが、自動車に興味がなかった人も興味を示すものと、前向きに取り組んでいきたい。




モーターショーの位置付けは、直近のデトロイトショーもそうだったが、各社が立派なショールームを設けるなど個別の努力をしている中、とても厳しくなっている。会員各社の参加不参加は個別の判断だが、JAIAとしては盛り上げるアイデアを出していきたい。




Q:自動運転に関する日本の状況に関する見解と政府への要望、完成検査不正問題について。


A:自動運転は検討会に積極的に参加しており、日本独自の法規ができないよう要望している。完成検査については、会員会社で問題が発生し、遺憾に思っている。しっかり行うよう指導を続けている。当面は法令遵守を徹底していくが、完成検査の制度は日欧で異なり、欧州はISOに準拠しているが日本は独自の制度となっているので、長期的には当局に必要な調和を求めていく。




Q:2018年の二輪車は2年連続減。四輪車と明暗を分けている。今年の見通しと市場活性化の取り組みの手応えは。


A:新モデルの需要一巡したブランドと、新車効果が出たブランドとがある。日本市場全体では100万台から半減しているが、輸入モーターサイクルは、新しい排気量のモデル導入や販売網拡充を計画しているブランドがあるので、今年は堅調に推移すると見ている。




Q:30万台超の実績を踏まえた今年への期待は。


A:どのメーカーも昨年以上の台数を期待しており、販売網を拡充している。新機能を盛り込むことによる代替促進も進んでいる。認証や新しい仕組みの認可に取り組み、会員のセールスストレスを取り除いていきたい。
情報提供元: MotorFan
記事名:「 JAIAの上野金太郎理事長「排ガス基準や型式制度の国際調和による輸入車ユーザーの負担軽減を図っていく」