今、気になるZ900RS用アフターマフラーをピックアップ。


レーシングライダー戸田隆によるインプレッションとともに


各モデルのキャラクターを分かりやすく解説。


カスタム好きなら必見、マフラー選びにきっと役立つ!




Impression : Takashi Toda Photos : Keigo Kimura, Yosuke Koga Text : Keisuke Asakura




※本企画内の価格はすべて税抜き表示です

【r's gear】最高の素材を用いて一切の妥協を許さず作り上げた至高のマフラー。

アールズギア/WYVERN CLASSIC SingleUP Type Titan Drag Blue……¥238,000

■SPEC


フロントパイプ●チタン Φ42.7mm


テールパイプ●チタン Φ60.5mm


サイレンサー●チタン Φ95mm × L320mm


集合方式●4-2-1


重量●5.3kg


近接排気騒音●89db


加速走行騒音●82db 政府認証取得

 アールズギアのマフラーは、全ての製品に共通する特徴がある。それは“フラットかつ強力なトルク特性”だ。同社を率いる樋渡治氏は、GP500などトップカテゴリーで活躍したレーシングライダー。豊富なレース経験から、いくら強大なパワーがあっても、使いこなせないのなら意味がないことを熟知している。そのポリシーは、Z900RS用マフラーにも確実に息づいている。同社製品のトップブランドであるワイバンは、パイプはおろか、サイレンサーの内部パーツまで贅沢にチタンを使用する。なんとも贅沢だが、細部にいたるまで一切の妥協を許さないのがアールズギアの流儀なのだ。

フロントパイプは長めで、4-1ルックの4-2-1コレクターで集合。

サイレンサーは、クラシカルなイメージを持たせた「ラウンドショート」タイプ。写真のチタンドラッグブルーと、チタンポリッシュが選択可能。

テールアップスタイルを実現するため、専用プレートを使用して、タンデムステップをオフセット。

テールパイプには膨張室を設け、容量を最適化しながらショートフォルムを実現。

高回転域のパワーアップもさることながら、中低速トルクの向上が顕著。

リニアでフラットなパワー特性が、自在のスロットルワークを実現。

 とにかくフラットなパワー特性が素晴らしい。穏やかなだけのキャラクターかと勘違いされそうなのだが、それは間違い。全域でトルクが太く、どこの回転域からスロットルを開けても、ライダーの感覚に遅れることなく加速してくれる。これが実に気持ち良い。


 パワーの立ち上がり方も、自然で違和感を感じない。Z900RSは、ノーマルマフラーでもスロットルを急開させると、ライダーの感覚と実際にパワーが立ち上がってくるタイミングにズレが生じる場合がある。いわゆる“ドン付き” 症状だ。その辺り、アールズギアのワイバン・クラシックは調教が見事。バックトルクも適度で、スロットルを閉じた時も過大なエンジンブレーキはかからない。


 加速時も減速時も、パワーデリバリーが極めてスムーズで、ギクシャク感もなく思う通りにスロットルを開閉できる。乗り手を疲れさせず、しっかりとパワーアップを体感できる。操る楽しさを感じさせてくれるマフラーだ。

【YOSHIMURA】ヨシムラとZの50年にわたる歴史が生み出した“THE 集合管”。

YOSHIMURA/CAFEレーシング手曲ストレートサイクロン「T-SPEC」……¥148,000

■SPEC


フロントパイプ●鉄


テールパイプ●ステンレス


サイレンサー●ステンレス


重量●6.2kg


近接排気騒音●103db/5,500rpm


クローズドサーキット専用マフラー

 ヨシムラは日本を代表するレースコンストラクター。今でこそ、他メーカーのイメージが強いが、黎明期にはZ1で多くのレースを戦ってきた。そんなヨシムラとZの歴史を彷彿とさせるレース専用マフラーが登場。大人気のサンデーレース、テイスト・オブ・ツクバで開催されたZ900RSワンメイクデモレースで、ヨシムラ車に装着されていたマフラーが大反響、その要望に応えてリリースされた。『T-SPEC』というネーミングの“T”には“ツクバ”と“テイスト”の二つの意味が込められている。本気で走りを楽しみたいライダーに向けて、ヨシムラが本気で作りこんだマフラーなのだ。

フロントパイプの材質はスチール製。

ヨシムラ伝統のサイクロン、全ての集合マフラーは、ここから始まった。ルックスこそオーソドックスなストレート管だが、クローズドコース専用マフラーのため、スポーツ性にはこだわりをみせる。集合部からセンターパイプは、可能な限り車体の中央よりに配置し、バンク角を確保している。

ヨシムラを象徴するカタカナロゴのエンブレムが嬉しい。

手曲ならでは優美な曲線が魅力的。

高回転域の伸びの良さは、流石レース管。

“咆哮”という言葉がよく似合う排気音とパワフルな走りが魅力。

 さすがにレース管らしく、全域でパワフル。それも、ただパワーを追ったものではなく、パワーデリバリーはフラットで、実にトルクフル。高回転だけパワフルでも、パワーの繋がりがスムーズでなければ、速く走ることはできない。さすがにヨシムラはわかっている、このマフラーはパワーを効果的に使うことができる。


 速さには関係のない部分かもしれないが、排気音も実に痛快。フロントパイプにスチールを採用しているせいだろうか、太く響きわたるようなエキゾーストノートは乗り手を昂ぶらせてくれるものがある。


 また、相当抜けが良いようでバックトルクは弱め。シフトダウンで過度なエンジンブレーキがかからないところもレーシーだ。重箱の隅をつつくとすれば、スロットルの開け始めがやや神経質なところ。インジェクションのリセッティングを試してみたいところだ。なにしろ、このマフラーはレース対応品。セットアップも楽しみのうちだ。

【AKRAPOVIC】レースでの圧倒的シェアがその高性能を証明。

AKRAPOVIC/SLIP ON LIINE Titan……¥107,000(問:アクティブ)

■SPEC


テールパイプ●チタン


サイレンサー●チタン L280mm


重量●3.0kg


近接排気騒音●92db


加速走行騒音●81db 政府認証取得

 ヨーロッパ最大級のマフラーメーカーであるアクラポヴィッチ。MotoGPやWSBKでの圧倒的な装着率の印象もあり、老舗企業と思われがちだが、実は1990年創業の若いメーカー。理想のマフラーを追求するため、自社でパイプの製造を行うなど、妥協を許さない作り込みが特徴だ。


 このスリップオンマフラーも、かなり高性能。回転数が上がっていくと、比例するようにパワーが盛り上がる。高回転は、なかなかにパワフルだ。ただ、開け始めに神経質さを感じる。まだまだポテンシャルを秘めている感触があるので、燃調のリセッティングを試してみたくなった。

メガホン的なテーパー形状のチタンサイレンサー。オプションのエキゾーストパイプと組み合わせることでフルエキへのシステムアップも可能。

パワーの出方はノーマルに近いが全域でパワーアップ。特に、ノーマルではトルクが落ち込む中回転域でのトルクアップは見逃せない。


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■本編では計10本のマフラーをインプレ<SP TADAO・OVER Racing・BEET・MORIWAKI・K-FACTORYetc.>

情報提供元: MotorFan
記事名:「 【まずはヨシムラ】Z900RS の気になるマフラー<3本>インプレッションしてみた