みなさん、ECOモードって使っていますか?


アクセルに対するエンジンの反応が鈍くなるだけで、


かったるいことこの上なし!


筆者はこれまで、さまざまな広報車をお借りしてきましたが、


まったくと言っていいほど使ったことはありませんでした。


ところが先日、ふとMFカジャー号でECOモードに切り替えたところ……。




レポート日:2018年8月9日


オドメーター:5082km




TEXT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)

意外と使える! カジャーのECOモード

 台風で取材のスケジュール変更などが続き、ほとんど距離を伸ばせていないMFカジャー号だが、ここ数日、都内を走っていてふと気づくことがあったのでご報告したい。




 最近のダウンサイングターボやディーゼルは実に良くできていて、日常使いや高速走行時などに加速で不満を覚えるシーンは一切ない。しかし、もはや言いがかりに近いのだが、あまりに加速が力強すぎて、逆に戸惑うことも少なくなかったりする。




 重箱の隅を突くように説明すると、アクセルを踏み始めた直後に、ほんの僅かにデッドな領域があって、そこからさらに踏み込むとグワワワワ〜と怒濤のような加速を見せるのだ。もちろんかつてのドッカンターボのような“ターボラグ”ではなく、それ自体が気になるような問題ではまったくないのだけれど、そんな、些末ながらも「過給器付きエンジンが持つ宿命」のようなものが、結果として相対的に「予想以上の力強い加速」を感じさせる要因になっているのだろう。




 MFカジャー号も例に漏れず、アクセルを踏み込むと期待以上の加速を見せてくれる。もちろん悪い話ではない。ただ、そんなMFカジャー号に乗っていると、次のようなふたつの相反する気持ちが葛藤を始める。




・やはりこうした大らかなキャラクターのクルマには、自然吸気のようにリニアで穏やかな加速が似合うのでは?


・これだけ力強いと、結局その力強さを活かしたアグレッシブな運転をしてしまう(だから楽しい!)




 前者は理性的な自分、そして後者は本能的な自分である。

カジャーのECOモードはエンジンを切っても維持され、再始動後もECOモードとなる。これはユーザーとしてはうれしいポイントだ。

まるで自然吸気のような上質な加速フィールに

 そんなことに考えを巡らしながら運転していて、ふとECOボタンが目に入ったのである。ほとんどのメーカーに当てはまることだが、ECOモードなどと言いながら燃調マッピングまで変更している例などは稀であり、たいていはアクセル操作に対する実際のスロットルの開度(送り込まれる混合気の量)をノーマルモードよりも鈍くしているだけで、繊細なアクセルワークを心掛ければノーマルモードでも同様の燃費を引き出せることが多い。




 それよりなにより、レスポンスが超絶に鈍くなるからかったるいことこの上なく、かつては加速しないどころかむしろ失速しているんじゃないか、と思わされるモデルまであった。




 ところが、MFカジャー号のECOモードはどうも様子が違う。なによりまず、出足が鈍くない。そして、追い越し時にもとくにECOモードであることを意識させられることなく、スムーズな加速を見せてくれた。




 ではなにが変わったのか?




 過給器エンジンならではの、グオオオオッっていう「過給されている感」が見事に抑えられ、まるで自然吸気エンジンのようにリニアでナチュラルなフィールに変貌したのである。




 これはいい。実にいい。ECOモードがこんな効果をもたらすとは。




 ルノー・カジャーのECOモードは、下記の制御を変更している。


・エンジンの出力特性(前述のアクセル操作に対する反応)


・エアコンの作動状態


・EDCの変速スピード




 とくに目新しいものではないが、それぞれの熟成が進んだということか? 思えばここ数年、メーカーを問わずECOモードというものを真剣にテストすることはなかった。カジャーのみならず、ほかのメーカーのクルマのECOモードも、同じように進化していたりして……(というより、進化しているはずですねスイマセン)。




 とにかく、「燃費なんてECOモードに頼る必要はない。よってECOモードなど必要なし」と断じていて自分にとって、これは目から鱗が落ちる思いであった。熟成が進んだことによりネガティブな部分が消え去り、過給器の二次曲線的な加速が自然吸気のような直線的な加速に変貌するという、新たな価値を生み出していたのだった。




 今後は長距離ドライブで両モードを比較し、実際の燃費の差や、高速走行時の追い越し加速などについてもレポートしたいと思う。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ECOモードの意外な効果〈ルノー・カジャー長期レポートVol.2〉