クーペ風のスタイルだけに注目すると、このクルマの本質を見失うかもしれない。広い空間を用意した後席、使い勝手を考えたラゲッジルーム。さらにはこだわりの視界に乗降性への配慮。きわめて高い実用性もエクリプスクロスで目すべきポイントである。

スタイル最優先でも実用性は犠牲にしない

取材車のプロフィール G Plus Package ボディカラー:レッドダイヤモンド メーカーオプション:電動パノラマサンルーフ、ロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム ディーラーオプション:ドアスイッチパネル、フロントバンパーガーニッシュ、リヤバンパーガーニッシュ、フロントコーナーエクステンション、サイドエクステンション、リヤコーナーエクステンション

タッチパッドコントローラーを初採用

 手元でオーディオ機能付きディスプレイを操れるコントローラーを三菱車初採用。ダッシュボード上部のディスプレイを見ながら各種操作ができる初めての三菱車なのだ。パッド下にはメニューを呼び出す物理スイッチも用意している。

サブウインドウで視界を確保

 下側のサブウインドウや下げると視界を邪魔しない後席ヘッドレストなど、後方視界確保に徹底的にこだわっている。サブウインドウはコストも掛かるし、なくても法規などは問題ないが、開発責任者のこだわりで組み込んだそうだ。

ヘッドアップディスプレイを装備

 HUD(ヘッドアップディスプレイ)も三菱車では初めての採用。メーターフード上部にエンジンのオン/オフに連動して透明のボードが開閉し、そこに車速などの情報をカラーで表示する。前方との視線移動を最小限に情報が確認できるのだ。

運転席まわり  先進性と操作性を兼ね備えたレイアウト

水平基調のダッシュボードとしているのは、悪路走行時に車体の傾きを瞬時に把握しやすいようにという意図。クーペスタイルのクロスオーバーだが、三菱オフローダーの血筋を感じさせる。「G Plus Package」に備わるディスプレイは手元のコントローラーによる操作を前提としており、視認性重視で奥に装着されている印象。

 大きなアナログメーターを並べたシンプルな意匠に加え、常時発光式でコントラストが強いのも見やすさにつながっている。中央のディスプレイはフルカラー。従来の三菱車より表示を一部変更して見栄えを良くしている。

左側はオーディオの操作、カメラの切り替えやハンズフリー通話、そして音声操作の発話スイッチだ。
操作性を求め左右で形状が違う。右は渋滞時の停止保持まで可能な追従型クルコンの操作スイッチで「G」以上に採用。


 シフトレバーは高級感を醸すブーツ付き。前進のレンジは「D」だけで、左側へ倒すと前後の動きでシフトアップ/ダウンするマニュアルモードに入る

「M」のパーキングブレーキはレバータイプ

「G Plus Package」以外はダッシュボード上部にナビ装着スペースを用意。そして「M 」ではパーキングブレーキがレバー式となる。なんとあのランエボと同様に、サイドブレーキをきっかけにしたターンができるように、レバーを引くとセンターデフがフリーになる。

ナビ・AV・空調 スマートフォンとの連携を前提にしたシステム

 ディスプレイは7インチ。タッチパネル操作が行なえるほか、スマホを接続するとステアリングスイッチで音声入力を起動してスマホの音声入力機能が使えるようになる。またホーム画面の呼び出しやアプリ立ち上げの選択、そしてオーディオメニューは左に配置されたスイッチに触れると画面が切り替わる。

 「G Plus Package」には車両周囲360度を見渡せるマルチアラウンドモニターを標準装備。周囲の車両や駐車枠との位置関係が把握しやすく、駐車をサポートするだけでなく、助手席側側面や車両前後など直近の死角まで確認できる安全ツールとしてのメリットも大きい。

 エアコンは全車とも左右独立温度設定式のフルオート。操作はすべてプッシュボタン式だ。ランプがついている「SYNC」のスイッチは、左右独立温度設定ではなく左右の温度を連動させるモード。

HUDの表示

 ヘッドアップディスプレイには車速のほか、クルーズコントロール、ナビの簡易案内、ブレーキの警告などを表示。実際のところ視線を下げてメーターを見なくても、この部分を確認するだけで運転できる。

メーター中央のマルチインフォメーションディスプレイ

AS&Gとは「オートストップ&ゴー」の略で、エンジンを自動停止していた時間をカウントする。エコ運転度が高いほど緑の葉が増えていく。
ヨーモーメントの強さとセンターデフのロック率(前後輪間の作動制限力の強さ)を表示。アウトランダーに比べるとグラフィックが精細になっている。


クルーズコントロール。画面上部にクルーズコントロールの設定車速と設定車間距離が表示される。その下にあるのはバーグラフの瞬間燃費計で「▼」は平均燃費を示している。


居住性&乗降性 スポーティなシートにSUVらしい乗降性を両立

スポーツカーのようにサイドサポートが大きく張り出したシートだが、左右幅が広めなので座ると見た目ほどの窮屈さはない。普段はゆったり、横Gが掛かった時だけしっかり身体を支えてくれる。
着座位置を高めに調整すると見晴らしはいいが、Aピラーがクーペのように迫ってくる。


意外なことに頭上も十分な空間があるし、サイドウインドウの前後長をしっかり確保しているためかクーペスタイルなのに閉塞感がないのが印象的だ。
足元の広さに驚く! C-HRやヴェゼルなどライバルよりも広く、このクルマが“見た目だけ”でないことを実感させられる。


 前席(運転席)は座面を低く調整すると天井までの高さが十分確保され、頭を大きく下げることなくスムーズに乗り降り可能。

 後席は足元が好印象。Bピラーから座面までの間隔が広くて足の出し入れをしやすいのだ。サイドシルは張り出しが少なく、前後とも閉じたドアが覆う形状だから、車体がどんなに汚れていても乗降時にスカートやズボンの裾を汚すことが少ないのがうれしい配慮だ。

室内の収納スペース スマートフォン対応のスペースと電源

1:サンバイザーのカードホルダーはバニティミラーのリッドに組み込むタイプ。洗練された見た目が特徴で、カード1枚がちょうど入るサイズ
2:グローブボックスは上下2段式。下側だけでも広く、十分な容量がある上段には取扱説明書一式を入れておくのも便利な使い方だ。


3:前席のドリンクホルダーはセンターコンソールにあり、飲み物を固定す
4:センターコンソールボックスの深さは約190 ㎜。リッド裏の窪みも含めれば200 ㎜を超える。トレーの底は滑り止め付きだ。


5:フロントドアポケットはB5ノートと1ℓのペットボトルが同時に置ける。冊子収納部も厚めでコンパクトデジカメなど厚みのあるアイテムも収納可。
6:シフトレバーの奥にあるトレーはスマホ置き場にちょうどいい。充電&オーディオに接続しやすいよう近くにUSB端子があるのも便利だ。


7:シートバックポケットは助手席の背面に装備。オーソドックスなタイプだが、A4の冊子も無理なく入るサイズで実用性が高い。
8:後席センターアームレストに2本分のドリンクホルダーが組み込まれている。座った姿勢を変えずに飲み物へ手が届くのがポイントだ。


9:リヤドアハンドルは底があって入れたものが下へ落ちることなく、小物入れとして利用できる。サイズは小さめ。
10:リヤドアのポケットはペットボトルホルダーに特化。斜めなのはスペース上の理由だが、結果として出し入れしやすい。


ラゲッジルーム 4名乗車でも後席スライドで最大448ℓの容量を実現

 握りやすいグリップが特徴のテールゲート。グリップの高さは地上1860㎜。開口部下端の地上高は780㎜と一般的である。後席スライドを最前に寄せたときには床面奥行が970㎜まで広がり、荷室容量は448ℓと広さに定評のあるヴェゼルの393ℓを45ℓも上回る。

 テールゲートを寝かせたクーペスタイルだが実用性はしっかり備えているのが自慢。写真の後席スライド最後端時におけるVDA式測定の荷室容量は341ℓとC-HRの318ℓを凌ぐ。後席背もたれより低い部分で広さを稼いでいるのがポイントだ。ゴルフバッグ積載数は3個(ロックフォード装着車を除く)。

 後席格納は左右6対4分割。背もたれを前に倒せば傾斜は残るが段差のないフロアとなる。床面からトノカバー(ディーラーオプションで用意)までの高さは、最も高い位置で約450㎜。


ニューモデル速報 Vol.567 「三菱エクリプスクロスのすべて」 絶賛発売中

躍動美と走破力を凝縮


意のままに操れるS-AWC、1.5リットル直噴ダウンサイジングターボ搭載。




 久々に登場した三菱のブランニューモデルはスタイリッシュなクーペSUVフォルムを持つコンパクトクロスオーバー。




 新開発のダウンサイジング1.5L直噴ターボは2.4L自然吸気エンジン並みのパワーを発揮。また美しいエクステリアの内側には「SUVの三菱」の名に相応しい高次元の4WDシステム「S-AWC」や、後席の高い居住性、使いやすい荷室などを備えています。


 


 加えて最新のインフォテインメントシステムも搭載。いま最も熱いカテゴリーであるSUVの注目モデルの魅力を全方位から紹介した1冊です。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 三菱エクリプスクロスの使い勝手を徹底チェック!