間違いなく世界最大の自動車市場で開催される世界最大のショー。それが北京モーターショーだ。今年も世界中の自動車メーカーが北京に集結した。今回のトレンドは、「電動化」のひと言。そして、主役は中国メーカーだった。さて、今年の北京モーターショー、どんなショーでどんな意味があったのか、あらためて考えてみたい。


TEXT &PHOTO:鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)

中国初のEVスタートアップが電動化に勢いをつける

正道汽車のハイエンドEV、HKG GT。伊・ピニンファリーナとタッグを組む。

 世界中でモーターショーの地位低下が著しい。デトロイトしかり、東京しかり、フランクフルトしかり。しかし、中国のモーターショーは例外である。一年毎に交互開催される北京と上海のモーターショーは、掛け値なく世界最大のモーターショーである。日米欧の主要全メーカーが顔を揃えるモーターショーは、北京と上海だけと言っても過言ではない。日米欧に加えて、韓国、そして中国の自動車メーカーが揃うのだから、ここに来れば「いまの自動車のトレンド」がわかるというものだ。


 筆者は、2002年から毎年4月に中国のモーターショーを取材してきたが、この3年ほど取材に赴くことができなかった。今回は3年ぶりの北京モーターショー取材だ。


 北京の地下鉄15号線「国展駅」に隣接する中国国際展覧中心新館は相変わらず広く、すべてのブースを見て回るのは物理的にも時間的にも難しい。久しぶりに行って驚いたのは、中国メーカーの躍進ぶりと、知らない中国ブランド、メーカーが数多く出展していたことだ。しかも、その多くがかなりレベルの高い展示を行なっていた。中国の民族系自動車メーカー(第一汽車、上海汽車、東風汽車、長安汽車、奇瑞汽車など)のほかに、いわゆるスタートアップと呼ばれる新興勢力の勢いが凄い。




 現在、中国国外の自動車メーカーは、現地の合弁事業に50%までしか出資できない外資規制が設けられている。これを習近平政権は、できる限り早期に撤廃すると表明したばかりだ。また、2017年10月28日、「乗用車企業の平均燃費および新エネ車クレジット並行管理実施弁法」、通称「NEV(新エネルギー車)規制」が公表された。これにより、中国で年3万台以上の乗用車を製造、輸入販売するメーカーは、すべての生産・輸入販売台数の内、EV、PHV、FCEV(燃料電池車)の一定比率の製造・輸入が義務付けられることになった。ハイブリッド車はNEVに含まれない。


 今回の北京モーターショーは、外資(中国メーカー以外)が、どんな戦略で、NEVに対応するのかがわかるという意味でも注目度が高かった。

3台のEVをデビューさせたHybrid Kinetic Group 。香港に本拠を置くEVスタートアップ企業の正道汽車は、3台のニューモデルを北京に持ち込んだ。このH500と電気SUVのK350である。生産は2020年開始だという。ピニンファリーナとタッグを組む。

観致汽車(Qoros Auto)は野心的なMILEプロジェクトを始動した。もちろんEV 奇瑞汽車とイスラエル企業による合弁で設立された観致汽車(Qoros Auto)は、MILEというプロジェクトを発表。MILE1という高性能インテリジェント電動クーペコンセプトを公開した。航続距離600km、最高時速255km/hを標榜する電気スーパーカーだ。5Gの通信に対応するのも特徴だ。

中国の新興ブランドBYTON(ベイトン)。今年1月のCESででデビューを飾ったスタートアップ企業、Future Mobilityが立ち上げたブランドだ。BYTONは自動運転機能を持つスマートEVコンセプトだが、同社は19~22年を目標に3種類のEVの発売を予定している。

 ショーのキーワードは「電動化」のひと言だ。各自動車メーカーは、こぞってNEVのニューモデル、コンセプトカーをお披露目した。各ブースのターンテーブルに載っているクルマは、ことごとく電動車でコンベンショナルなエンジン車は皆無と言っていい。自動運転やコネクテッドカーの影も見えないわけではなかったが、もうとにかく「電動、電動、電動」だ。


 ほんの6~8年前まで、中国メーカーのEVやPHEVは、書いてある性能が出せるとはとても見えず、実際張りぼてのクルマも多かった。ところが、今回のショーでは中国メーカーの新型EV、コンセプトカーの完成度が飛躍的に上がっていた。まだ、デザインを真似たコピー車もあるし、明らかに低品質なコンセプトカーを出展する中国メーカーも存在する。が、そこを見ていては全体を見誤るだろう。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 中国の『勢い』が世界の自動車のトレンドを変えていく。目を背けている時間はもうない。中国メーカーの実力