今年も雪の季節が始まりました。今年は暖冬傾向ですが、それでも一時的に寒気が入ると大雪の可能性があり、対策は必要です。
雪国に住んでいれば「当たり前」のことも、雪の少ない地域に住む人から見ると、興味深い発見がいっぱい!今回は、日本気象協会に勤めている雪国経験者に聞いた雪国ならではの常識や風習などを、2回に分けて、めったに雪が積もらない名古屋市出身の都築がお伝えします!!!
まずは、雪かきについてご紹介!


日本気象協会社員に聞きました!雪かきの道具あれこれ

冬は、西高東低の冬型の気圧配置が続くため、関東より西の太平洋側に住んでいると、晴れて空気がカラカラに乾燥する日が多いという傾向があります。一方で、北海道と東北地方から北陸にかけての日本海側は、冬は雪との戦いです。
雪との戦いといえば、「雪かき」ですよね。中には、朝4時頃に起きて、家の前の雪かきをするという人もいて、朝の貴重な時間を雪かきに費やさなくてはならないのは、まさに戦いです。
そこで、日本気象協会の中で、雪国に住んでいる、または雪国出身の社員に、雪かきの道具を聞いてみました。
だいたいどこの地域でも使っている道具として、スコップがあります。
雪の少ない地域出身の筆者は、スコップの細かい違いや種類なんて、気にしませんでしたが、雪国では、用途別に複数のスコップをそろえていることが多いのです。

スコップの種類は大きく分けて2種類。
①ケンスコ…先がとがっていて、形が三角形もの。剣先スコップの略らしい。雪を切り分けたり、凍った雪を砕くのに使う。
②カクスコ…先が平らで、形が四角いもの。溜まった雪をすくって運ぶのに使うことが多い。

①②を使い分けているのは、日本海側の人が多いようです。
それほど雪が降らない仙台出身の人に雪かきのスコップについて聞いてみると「先がとがったケンスコなんて、雪かきには使えないよ!四角いカクスコで運ぶんだよ!」と言われました。詳しく聞くと、仙台では雪が降り積もって固まることは、ほとんどないため、切り分ける・砕くという役割を持つケンスコは、ほぼ使わないようです。
同じような理由で福島市や伊達市出身の人もカクスコのみでした。

一方、日本海側や北海道では、最初にとがったケンスコで積もった雪を切り分けたり、砕いたりしてから、カクスコで運ぶというのが一般的のようです。北海道で使われている穴の開いたスコップは、雪がスコップにくっつくのを防ぐものだそうです。


北陸の定番!「ママさんダンプ」そのわけは?

北陸では、スコップよりも活躍するものが!
北陸出身や北陸支店の社員に、雪かきに使う道具を聞くと…。
真っ先に「ママさんダンプ」という答えが返ってきました。
ママさんのダンプカー???
聞いたことのない組み合わせの単語ですが、どうやら女性でも使いやすく改良したスノーダンプの商品名だそうです。

なぜ、北陸ではスノーダンプが活躍するのというと、冬型の気圧配置で、湿った重たい雪がドカドカ降るから。
スコップでは追い付かないので、スノーダンプで一気に運ぶのが基本だそうです。

スノーダンプならスノーダンプと言えばいいのに、なぜ「ママさんダンプ」なのか。
ママさんダンプは、新潟県にあるメーカーが付けた商品名だというので、メーカーに問合せてみると…。
そこには、北陸ならではの気候や文化が関係していました。
メーカーによると、1960年代に、石川県の鉄工所が「スノッパ」と呼ばれる鉄製のスノーダンプを開発したのが始まりだそうです。
新潟県では、昔は、冬になると出稼ぎに行く男性が多く、家に残った女性が雪かきをしていたそうですが、鉄製のスノーダンプは、女性には重すぎた上、持ち手の長さも女性には扱いにくかったんだとか。
そこで、1985年に、女性でも手軽に雪かきができるように開発されたのが強化プラスチック製の「ママさんダンプ」。
今ではすっかり定着して、男性用の「パパさんダンプ」もあるそうです。

そのほか、長野県北部では鉄製とプラスチック製のスコップを使い、岐阜県飛騨南部はそれほど雪が降らないため、スコップも一応あるが、竹ぼうきでササッと掃いておしまいという日が多いそうです。

と、ここまでは、なんとなく想像できますが、
北海道では、冬本番は、雪がカチカチに凍るため、「つるはし」が置いてある駐車場もあるそうです。
「固まった雪を、ご自由にお砕きください」という感じでしょうか!?
そして、雪の少ない岐阜県飛騨南部では、普通の竹ぼうきですが、札幌では、毛の部分が頑丈なプラスチックでできている雪かき用のほうきを使って、玄関前や狭いところの雪を払っているそうです。

岐阜県の社員は、スコップとシャベルの表現が他の地域と逆で、雪かき用など大きいものをシャベル、片手で使える小さいものをスコップというそうです。今回の図では、表現を他の地域と合わせています。


個人でも除雪機!?

雪かきの道具について、社員を対象にさらに調査を進めていくと、かつて実家に除雪機があったという人がいました。
福島県会津地方出身で、実家は商売をしていたそうです。

個人で除雪機を所有するなんて、一部の人だけかと思ったら「親戚の家に現役の除雪機がある!」という人がいたため、親戚の方に写真を撮っていただきました。

親戚の方は、札幌市にお住まいだそうです。
左側の黄色いのは、手で押して使うタイプの除雪機で、右のオレンジのは、「ドーザー」(ブルドーザーの略?)と呼んでいるそうです。
「ドーザー」は、もう個人レベルじゃない気がしますね。

去年の冬もドーザーが大活躍。今年もそろそろ本格的な出番です。
この方、自宅の前や庭などを除雪するのはもちろん、市の除雪車が町内を除雪した時、取り残していった雪をボランティアで除雪しているそうです。
普段は会社員。雪が降ると除雪お助けマン的な存在として、もう何年も町内の除雪をされていて、ご近所さんの間では有名人なんだとか。
現在も効率よく除雪するには、どうすれば良いのか、YouTube動画などを見て、日々研究なさっているそうです。

札幌市では、町内に一軒くらいは、手で押して使う小型の除雪機を持っている方がいるそうですが、ここまで本格的なものを持っている方は、少数派。
雪かきで人の役に立つのが、やりがいに繋がっているそうです。
ボランティアで何年も活動なさっているなんて、なかなかできることではないですよね。

今回は、主に日本気象協会の職員に聞いた雪国ならではの常識や風習などを集めてみました。
雪国に住んだことのないみなさんにとっては、新鮮だったのではないでしょうか?
また、雪国にお住まいのみなさんも、自分の家と共通の部分もあるでしょうし、違うなぁということもあると思います。
ですが、雪国のヒミツはまだまだこんなものじゃありません。
次回は、雪が多いからこそ!の常識や文化をお伝えします!お楽しみに~!

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 知られざる雪国のヒミツ①雪かき編