きょう9月26日は、歴史に名を残す台風が襲来した日です。1958年には狩野川台風、翌年の1959年には伊勢湾台風が猛威を振るいました。更にさかのぼると1954年には洞爺丸台風が襲来しました。ことし9月は、まだ台風の発生が1個と極端に少ないものの10月に入っても油断はできません。過去の教訓をもとに、日頃からの備えが必要です。

●9月26日 大災害をもたらした狩野川台風、伊勢湾台風、洞爺丸台風

きょう9月26日は、歴史に残す台風が襲来した日です。
1958年には狩野川台風、その翌年の1959年には伊勢湾台風が猛威を振るいました。

狩野川台風は、静岡県や関東地方に大きな被害をもたらした台風です。
台風進路を見ると、1958年9月26日午後9時過ぎには、静岡県伊豆半島の南端をかすめ、27日午前0時頃には神奈川県三浦半島へ、午前1時頃には東京を通過し、早朝に三陸沖に進んで海岸沿いを北上しました。
風による被害は少なかったものの、南海上にあった前線が活発化しながら北上し、東京では日降水量371.9ミリを観測するなど、東海地方や関東地方で土砂災害や河川の氾濫が相次ぐ大雨となりました。 中でも、集中豪雨となった伊豆半島中部では狩野川が氾濫し、伊豆地方だけで1,000名を超える死者が出ました。 また神奈川県や東京都でも、市街地の浸水やがけ崩れが相次ぎ、大きな被害が出ました。

伊勢湾台風は、名前の通り、伊勢湾周辺で記録的な高潮が発生し、死者、行方不明者が5,000人以上にのぼる大災害となりました。中心気圧がたった1日で91hPa下がるなど猛烈に発達し、非常に広い暴風域を伴い、 最盛期を過ぎても衰えずに北上しました。26日午後6時頃に和歌山県潮岬の西に上陸した後、6時間余りで本州を縦断、北陸、東北地方の日本海沿岸を北上しました。

上陸時の勢力が記録的に強く、暴風域も広かったため、明治以降では最悪の被害をもたらしました。上陸時の気圧は929hPaで、1951年の統計開始以来、2番目の低さとなります。
伊良湖(愛知県旧渥美町)で最大風速45.4m/s(最大瞬間風速55.3m/s)、名古屋で37.0m/s(最大瞬間風速45.7m/s)を観測するなど、九州から北海道にかけてのほぼ全国で20m/sを超える最大風速と30m/sを超える最大瞬間風速を観測しました。紀伊半島沿岸一帯と伊勢湾沿岸では高潮、強風、河川の氾濫により甚大な被害を受け、特に愛知県名古屋市や旧弥富町、知多半島で激しい暴風雨の下、高潮による大規模な浸水が起こり、三重県でも桑名市などで高潮による多大な被害を受けました。全国での死者、行方不明者が5,000人以上にのぼる大災害となりました。

また、1954年の同じ9月26日にも、洞爺丸台風によって青函連絡船洞爺丸が沈没し、1,000人以上が犠牲になっています。函館港から出港した洞爺丸を始め、5隻の青函連絡船が暴風と高波で遭難し、洞爺丸の乗員乗客1,139名が死亡するなどの大惨事となりました。

●きょう9月26日の天気図 台風の発生はなし

きょう9月26日の天気図を見ると、台風や熱帯低気圧は見られません。

ことし9月の、台風の発生数はきょう9月26日午後3時の時点で1個と極端に少なくなっています。
1951年以降で、9月の台風発生数が過去最少は2個です。(1951年、1973年、1983年)
このまま台風の発生がないまま9月が終わると、過去最少記録となります。

●10月に入っても台風に油断できず

太平洋高気圧が勢力を弱める秋は、夏に比べて台風が本州に直撃しやすくなるため、注意が必要です。
台風発生数は冬に向けて徐々に減っていきますが、4年前の2019年10月中旬には、令和元年東日本台風(台風19号)が首都圏を含む東日本と東北に猛威を振るっています。

この台風は、10月12日に伊豆半島に上陸し、一時は「大型」で「猛烈な」勢力にまで発達し、「非常に強い」勢力を保ちながら日本に近づきました。1都12県に大雨特別警報が発表されるという異例の事態となり、東海から東北にかけて広範囲に記録的な大雨をもたらしました。

新潟県及び長野県を流れる信濃川水系千曲川や、福島県及び茨城県を流れる久慈川や、福島県及び宮城県を流れる阿武隈川、鳴瀬川水系吉田川、利根川などで記録的な大雨となりました。その結果、複数の第一級河川が決壊するなど関東・東北地方を中心に142か所で堤防が決壊し、20都県にわたり950件を超える土砂災害が発生するなど、甚大な被害を受けました。

これから10月に入ったからと言って、まだ台風に油断はできません。過去の教訓をもとに、日頃からの備えが必要です。

情報提供元: tenki.jp日直予報士