特集「令和IPO企業トップに聞く ~ 経済激変時代における上場ストーリーと事業戦略」では、IPOで上場した各社のトップにインタビューを実施。コロナ禍を迎えた激動の時代に上場を果たした企業のこれまでの経緯と今後の戦略や課題について各社の取り組みを紹介する。

(画像=セカンドサイトアナリティカ株式会社)
高山 博和(たかやま ひろかず)――セカンドサイトアナリティカ株式会社代表取締役
京都大学大学院卒業、大手コンサルティングファーム、株式会社グリフィン・ストラテジック・パートナーズを経て、2016年セカンドサイト株式会社(現:セカンドサイトアナリティカ株式会社)設立、取締役就任。2020年4月より代表取締役に就任。設立当初より、アナリティクス技術を活用したクライアントの課題解決支援を推進。
セカンドサイトアナリティカ株式会社
2016年6月設立、2022年4月に東京証券取引所グロース市場に上場。 「データから、新たな価値を。」を経営理念に、アナリティクスとテクノロジーを活用したサービスを提供する専門企業。「AI」の核となる機械学習やディープラーニングなど 新技術のR&Dを行い、様々な業種・分野に対するアナリティクス・コンサルティングサービスと、それを動かすIT基盤やAIサービス(プロダクト)を提供。

創業時からこれまでの事業変遷

ーー まずは、創業から現在に至るまでの変遷についてお伺いさせてください。

セカンドサイトアナリティカ株式会社 代表取締役社長・高山 博和氏(以下、社名・氏名略): 当社は2016年に設立されました。もともと私は別のコンサルティング会社で、当時のお客様である新生銀行グループ様(現 SBI新生銀行グループ)にデータ分析業務の支援を行っていました。そこで金融事業と機械学習・AI技術の相性が非常に良かったということもあり、新生銀行グループ様と合弁会社を作ることになりました。それが当社設立のきっかけになります。

(画像=セカンドサイトアナリティカ株式会社)

当社では、大きく二つの事業を展開しています。一つは、アナリティクスコンサルティング事業で、データ分析や機械学習・AIを使った課題解決支援を行っています。もう一つは、AIプロダクト事業で、アナリティクスコンサルティングで培ったノウハウをもとにプロダクトを開発して提供しています。当初はコンサルティングが収益の大部分を占めていましたが、年々AIプロダクト事業が拡大しており、2022年にグロース上場を果たし、現在に至っています。

ーー 事業自体はどのように広げられていったのでしょうか?

高山: まず、アナリティクスコンサルティング事業がお客様との接点として始まりました。設立時のメンバーが金融業界に明るかったこともあり、設立直後は金融業界をメインにコンサルティングサービスを提供しておりました。ただ、弊社のコア技術は機械学習を含む人工知能技術であるため、特に金融に特化することもなく、徐々に他の業種業態へも広がっていきました。

また、事業形態も労働集約型のコンサルティングサービスから、AIプロダクトを展開する形へと徐々にシフトしてきております。そのため、収益の上がり方もフロー型からストック型という流れにシフトしております。

ーー 今後も業種業態には関係なく、どんどん広げられていくとお考えですか?

高山: はい。例えば金融業界では、金融独自の業務に特化したAIもありますが、近年注目されているLLM(大規模言語モデル)などは、人事・営業・問合せ業務など、様々な企業での共通業務とも相性が良い技術です。LLMは一例ですが、このような様々なAI技術を活用して業種業態は問わず、サービスの提供範囲を広げていこうと考えております。

ーーターゲットとされる企業の規模は、大手企業を今後も拡大されていくというイメージでしょうか?

高山: 弊社のAIプロダクトは「大型パッケージ製品」と小型の「拡販型プロダクト製品」に分かれています。大型パッケージ製品は、お客様のニーズに合わせて弊社AIエンジニアがカスタムしながら導入していくことも多く、一定のコストが掛かるため、大規模な企業様であることが多いです。一方、拡販型プロダクト製品は、カスタムすることはあまりなく、比較的中小規模の企業様にも広く展開していくことを想定しております。

上場を目指された背景や思い

ーー上場の狙いや背景はどのようなものでしたか?

高山: 優秀な人材獲得や顧客基盤の拡大をしていくためには、企業としての信用力の向上が必要だろうと思い、上場を行いました。

ーー 顧客基盤の拡大も狙いとのことですが、今後はどのような形で拡大されていこうとお考えでしょうか。

高山: 今後の収益軸は、大きく分けるとアナリティクスコンサルティング、大型パッケージ製品、拡販型プロダクト製品の3つになります。 アナリティクスコンサルティングと大型パッケージ製品は、これまでの成長率を維持しながら今後も成長させていく予定です。拡販型プロダクト製品は、営業体制をきっちりと整えた上で、飛躍的に伸ばしていこうと考えています。 展開先としては、金融領域だけでなく非金融領域にも、国内だけでなく海外にも、順次広げていこうと考えております。

今後の事業戦略や展望

ーー 既存のお客様のサービス提供において、継続率などはいかがでしょうか?

高山: アナリティクスコンサルティングではワンショットで案件をいただいて数ヶ月のコンサルティングを行います。その後継続してご支援させて頂くこともあれば、弊社のAIプロダクトを導入していくこともあります。幸いにもAIプロダクトの継続率は9割程度であり高水準をキープできております。

ーー なるほど。こういった拡大戦略において、協業パートナー強化を掲げられているイメージでしょうか。

高山: はい。協業パートナーにはいくつかの種類がありますが、まず一つ目は、データ活用による協業です。当社が様々なAI技術を検証する際に、協業パートナーが持っているデータを活用し、当社の持つAI技術も合わせることで、協業パートナーも含めて技術向上と先進技術の早期獲得になるという、双方でWin-Winな協業です。

二つ目は、協業パートナーと当社でお客様に共同提案していくパターンです。弊社にはシステム開発人材が多くいるわけではないので、人材リソースを持つ協業パートナーと協力して、新規のお客様に提案するイメージです。これにより、リソースの融合や拡大が双方で図ることができます。

三つ目が、弊社のプロダクト製品を代理店として販売していただく形の協業となります。

ーー なるほど。その三つで新規顧客の獲得や、サービス向上を実施されていくわけですね。海外展開についてはどのように考えていますか?

高山: 海外展開については、現地の協業パートナー(コンサル会社等)と組んで弊社AIプロダクトを展開していくことを考えております。最初は弊社も伴走しながら現地クライアントにAIプロダクトを導入して行くことになると思いますが、最終的には協業パートナーのみでプロダクト導入できる形を目指しております。

今後のファイナンス計画や重要テーマ

ーー上場され、会社価値や更には株式価値を向上させていくために、流動性や売買金額の向上などを考えていかなくてはいけませんが、IRへの注力は今後どのように考えていますか?

高山: IRに関してはできるだけ情報を出していこうと考えています。最近は株式の分割を行い、多くの投資家様に買ってもらいやすくするための取り組みをしています。 上記のような取り組みも重要なのですが、最も大切なのは事業を成長させ、きっちりと売上・利益を上げていくことであり、それが企業価値を向上させることになると考えております。

ZUU onlineのユーザーに??

ーー最後の質問ですが、ZUU onlineのユーザーに向けてメッセージをお願いします。

高山: 当社はまだ若い会社ですが、現在成長の途中にあります。ぜひ長期的な視点で見ていただき、末永く様々な面で応援いただけますと幸いです。これからも成長していくために努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

氏名
高山 博和(たかやま ひろかず)
社名
セカンドサイトアナリティカ株式会社
役職
代表取締役社長
情報提供元: NET MONEY
記事名:「 データ分析からAIプロダクトへ:セカンドサイトアナリティカ高山社長が考える事業戦略とは